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求人票作成時に気をつけるべき6つの法律

求人票作成時に気をつけるべき6つの法律
  • 公開日:2024/06/27
  • 更新日:2024/10/19
藤村俊太郎
この記事を書いた人
藤村俊太郎

愛知県知多市出身。愛知県立明和高校→慶應義塾大学卒業。高卒採用のプロフェッショナル。年間5000件以上の採用をマッチングさせる転職サービスの開発・運用を経験。自社採用部署における、新卒採用の立ち上げ・採用広報部署の立ち上げ・社員定着戦略/仕組みの構築を行う。採用戦略の構築とインハウス化が得意。

求人票は原則何を書いても良いもので、求職者の知りたいであろう情報は積極的に盛り込むべきとお伝えしました。

ただ、「法律目線」は守らなければなりません。
ハローワークは公的機関です。提出された求人票はチェックされています。法律を遵守した上で、自由に求人原稿を書いていきましょう。

今回は求人原稿作成時に、特に気を付けるべき法律を6つご紹介します。

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1.労働基準法

労働者の労働条件の最低基準を定めている法律です。
たとえ労働者、求職者が納得した上で労働契約を結び働いていたとしても、労働基準を下回る条件は無効になります。

労働基準法は全ての労働者が対象となるため、常勤、非常勤いずれにも適用されます。

労働基準法の中でも特に抑えるべき内容は下記の7つです。

賃金の支払いについて

賃金の支払いは通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、定められた期日に支払わなければなりません。
物や株で支払うということは出来ません。
また、求人作成時には、「必ず支払うことができる」支払日を記載しなければなりません。

労働・休息時間について

労働者には、原則1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない規定があります。
休息時間は、労働時間が6時間を超える場合は45分8時間を超える場合は少なくとも1時間の休息時間を与えなければなりません。

時間外・休日労働について

残業と呼ばれる時間外労働や休日での勤務をさせる場合には、36協定と呼ばれる時間外・休日労働に関する使用者と労働者間の協定を締結した上で、事前に所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。

したがって、求人作成時には求人票の「時間外労働時間」欄に協定内容を基にした情報を記載することが求められます。

割増賃金について

時間外労働をさせる場合には割増賃金の支払が必要になります。
時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の25%以上となります。
休日労働に対する割増賃金は、通常の賃金の35%以上です。

午後10時から翌日午前5時までの間に労働させることを深夜業と言いますが、深夜業に対する割増賃金は時間外労働と同じく25%以上となります。

解雇予告について

労働者を解雇する際に、解雇前にあらかじめ解雇を予告しなければならない決まりです。
従業員を解雇するときは、少なくとも30日前に予告することが義務付けられています。
ただし、解雇予告手当を支払うことにより、予告しないで解雇することも可能です。

有期労働契約について

契約期間に定めのある労働契約(有期労働契約)の期間は、原則として上限は3年です。
例外的に、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約については上限が5年とされています。

使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる場合は、その目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。
また、契約期間に定めのある労働者については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において労働者を解雇することができません。

年次有給休暇について

業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならない決まりです。

年次有給休暇の付与日数の上限は6年6ヵ月以降、継続勤務した場合に最大20日間です。
また、継続して3年6ヶ月勤務した場合は年に10日の有給休暇が付与され、この年から有給取得年5日の義務が適用されます。

2.職業安定法

働く権利に関する法律で、国民が自由に職業を選択できるように定められています。
求人者は求職者に対して、仕事内容、賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなければなりません。
さらに、労働条件の明示は、求職者に誤解を与えないよう、分かりやすい言葉で行わなければなりません。

求人原稿作成時には、明瞭に記載することを意識してください。

3.男女雇用機会均等法

求人者は募集や採用に際して性別を理由とする差別をしてはなりません。
男女均等な取り扱いをすることが定められています。

また、業務上の合理的な理由がない場合において、労働者の身長・体重、体力や、転居を伴う転勤への対応を必要な条件とすることは間接差別として禁止されています。

求人作成時にはこうした差別と捉えられる記載をすることはできません。

  <記載例>一方の性を排除していないことが分かる表現をする
  • 営業マン→営業スタッフ
  • カメラマン→撮影スタッフ
  • 看護婦→看護師
  • 女将→支配人

ただし、業務の正常な遂行上、一方の性が適していると認められる場合には性別を指定した募集が可能です。

また、「ポジティブアクション」のための特別措置では、性別の指定が可能です。

ポジティブアクション:男女の均等な機会、待遇の確保の支障となっている事情を改善するために取り扱う措置。
たとえば、女性労働者の割合が4割を下回っている場合は事実上の格差が生じていると認められ、ポジティブアクションを講じることができます。

4.雇用対策法

経済・社会の発展・完全雇用の達成、労働者の職業の安定に資することを目的とした法律です。
応募者が年齢ではなく本人の能力や適正に応じて活躍の機会が得られるように、年齢制限の禁止が定められています。

したがって、基本的に求人原稿中に年齢制限の記載をすることはできません。

  <記載例>職場の状況や事実、業務に必要な能力として表現する
  • 若い男性歓迎→20代の男性が60%を占める職場です。
  • 高齢女性歓迎→お客さんは高齢な女性が9割で、お客さんの気持ちを経験として取り入れた提案を行っています。
  • 体力のある方歓迎→40キロ程度の荷物の上げ下ろしがあります。

5.最低賃金法

労働者の賃金の最低限度を定めているものです。
最低賃金は、都道府県ごとに最低賃金審議会の調査審議に基づき毎年決定されます。

求人作成時にはこの最低賃金を下回ることは出来ません。

 

2024年度最新版での各都道府県の最低賃金は下記の通りです。
最低賃金と月の労働時間をかけ合わせた金額を、月給の下限で下回らないようにしましょう。

また、月給の振れ幅が大きいと求職者は「実際の金額はいくらなのか?」と疑問や不信感を持ってしまうことがあります。
採用人物像から導き出した適正な賃金の幅を設定しましょう。

都道府県

最低賃金

北海道 1,010円

青森県

953円
岩手県 952円
宮城県 973円
秋田県 951円
山形県 955円
福島県

955円

茨城県 1,005円
栃木県 1,004円
群馬県

985円

埼玉県 1,078円
千葉県 1,076円
東京都 1,163円
神奈川県 1,162円
新潟県 985円

富山県

998円
石川県 984円
福井県 984円
山梨県 988円
長野県 998円
岐阜県 1,001円
静岡県

1,034円

愛知県 1,077円
三重県 1,023円
滋賀県 1,017円
京都府 1,058円
大阪府 1,114円
兵庫県 1,052円
奈良県 986円
和歌山県 980円
鳥取県 957円
島根県 962円
岡山県 982円
広島県

1,020円

山口県 979円
徳島県 980円
香川県 970円
愛媛県 956円
高知県 952円
福岡県 992円
佐賀県 956円
長崎県 953円
熊本県 952円
大分県 954円
宮崎県 952円
鹿児島県 953円
沖縄県 952円

▼最低賃金の計算はこちらから▼

6.若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)

若者自らが自分に合った仕事を選択することができ、スキルアップや開発を進められるようにすることを目的とした決まりです。
この法律を基にして、厚生労働省では若者を募集・採用する求人者が講ずべき措置を指針としてまとめています。

職場情報について、企業規模を問わず、(ⅰ)幅広い情報提供を努力義務化、(ⅱ)応募者等から求めがあった場合は、以下の3類型ごとに1つ以上の情報提供を義務としています。

提供する情報:(ア)募集・採用に関する状況、(イ)職業能力の開発・向上に関する取組の実施状況、(ウ)職場への定着の促進に関する取組の実施状況

特に若者を採用する場合には、求人作成時に上記の情報を意識的に記載することが大事です。

 

求人票作成時に気をつけるべき6つの法律をご紹介しました。
ルールを守ったうえで、最大限の効果を発揮する求人原稿を自由に作っていきましょう。

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