ハローワークの求人票には50項目以上の記載欄がありますが、どんな内容を書いたら良いかわからなかったり、どの項目も同じような内容になってしまったりしていないでしょうか?
この記事では、ハローワークの求職者の心をつかむために特に重要な6つの項目を取り上げ、それぞれの書き方のポイント・例文を紹介していきます。
以下に当てはまる方におすすめの内容です
- ハローワークの求人票を初めて書く人
- ハローワークからの応募数を増やしたい方
- 求人票作成には慣れているけど、仕事内容や特記事項など特定の項目の書き方を改善したい方
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重要項目の1つ目は職種名欄。
ハローワークで求人検索をしている求職者が一番最初に目にする箇所です。
職種名は最大28文字・1行で記載することができます。
単に「営業」「事務」「経理」といった名称だけを記載するだけではなく、職種名以外の情報を盛り込み、いかに求職者に興味を持ってもらえるかがポイントです。
なぜ、職種名に名称以外の情報を記載する必要があるのでしょうか。
それは、求職者が求人票の詳細を見る前の段階で、最も注目するポイントが「職種名」だからです。
実際にハローワークで求人を検索すると、以下のような内容が表示されます。

求職者はハローワークで求人を検索する際、まず最初に希望職種を条件設定し求人票を絞り込みます。
求職者が営業職を希望する場合、「営業」で絞り込みますので、ハローワークの求人一覧ページの職種名には同じような「営業」「営業職」の文字がずらっと並びます。
職種名に情報を盛り込むと、この段階で求職者に、他社よりもインパクトを与えられます。
職種名欄では、ひと目で「仕事内容+αの特徴や魅力」が伝わるように、求人内容の特徴や労働条件などからあなたがアピールしたいキーワードを盛り込みましょう。
この際、ただキーワードを入れるのでなく、求職者が惹きつけられるようなキャッチコピーになるよう意識します。
職種名の例
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看護師 看護師/就業時間は柔軟に対応可/未経験OK/土日祝休み
事務職 事務職/外回りなし/デスクでお菓子自由/託児所あり
作業員 作業員/モノづくりが好きなら未経験OK/資格取得支援あり
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重要項目の2つ目は仕事内容欄。
仕事内容は求職者が求人票で最も時間をかけて閲覧する項目です。
また、中途の場合には転職の理由にも多くなる箇所です。
仕事内容欄は360文字=30文字×12行記載可能です。
一般的に文字数が多いほうが応募者も多くなると言われています。
期待をもって求人票を確認し始めた求職者に応えるため、出来るだけ文字数を最大限活用しましょう。
また、仕事内容欄の最初の3行分最大90文字は、求職者が求人検索時に表示する「求人一覧画面」に表示されるため、この最初の30文字は特に気合いを入れて興味関心を惹く内容にしてください。
▼求人一覧画面の表示内容
求職者は仕事内容欄の情報から、単にどのような仕事をするかだけでなく、「仕事をしている将来の自分の姿」をイメージしようとします。
分かる!+出来る!+面白そう(やってみたい)!が合わさる内容を意識しましょう。
さらに、仕事内容欄では必ずしも仕事内容だけを記載しなければいけない、というわけではありません。
求職者が知りたいと思っている仕事内容以外の情報も必要に応じて盛り込みましょう。
たとえば、「経験者歓迎」の場合には「どの程度のレベルの技術を持っている人か」や「何年この業界で働いたことがあるか」な具体的に記載することが効果的です。
仕事のやりがいや社会貢献性を記載するのも良いでしょう。
仕事内容の例(建築業の場合)
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小さいころ工作に夢中になったことはありませんか。 作りたいものを図面に書き起こし、部品を作成・加工し、組み立てる建築作業員の募集です。
■業務の概要 宮大工技術を学んだ若い棟梁のもとで、伝統的な日本建築の建物を作ります。 木材の切り出し・加工・組み立て・材料や機材の運搬を行います。
■社会的な意義 我々が目指すのは、日本建築の伝統的な技術を取り入れた「日本の気候風土」「日本人の身体的特徴」「日本人の生活様式」に100%マッチした家を作ることです。
この理念に共感してくれる方であれば、経験を問いません!
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重要項目の3つ目は就業時間に関する特記事項欄。
就業時間は単に働く時間を示すだけでなく、求職者の働き方を決める重要な情報です。
120文字=30文字×4行記載可能です。
就業時間に関する特記事項は、出来るだけ具体的な説明をすることで求職者との行き違いを防ぐことができます。
変形労働時間制の場合には、繁忙期や閑散期における具体的な時間を紹介しましょう。
早番、遅番、夜勤があるようなシフト制の場合には、ひと月で各シフトに入る回数を記載すると求職者にとって分かりやすいでしょう。
時間外労働がある場合には、決算期は多い、といったような時間外労働の発生パターンや特徴を紹介しましょう。
また、子育てなどの求職者のライフステージにあった仕事とプライベートとの両立に配慮した記載を入れられると素晴らしいです。
就業時間に関する特記事項欄の例
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シフトは原則2週間サイクルで組みますが、希望のある場合は前月10日までに申し出てください。
夜勤は月に4回程度あります。
1日30分程度の時間外勤務がありますが、3月の繁忙期であっても19時には退社しています。
お子さまの学校行事等に配慮しますので、遠慮なくご相談ください。
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重要項目の4つ目は休日欄。
ワークライフバランス志向が高まっている近年の求職者にとって非常に気になる情報です。
60文字=30文字×2行記載可能です。
求職者としては休日について「いつ、どのような方法で、何日休めるか」と具体的に知りたいです。
そこで休日欄には、単に日数だけを記載するのではなく求職者が1週間、1か月、1年間の働き方と生活をイメージできるように記載します。
「月8日~9日休み」や「シフトによる」という記載では休み方が分からないため、標準的な休日モデルやルールを紹介しましょう。
GW、夏季休暇、年末年始休暇、独自の休暇制度は昨年度実績または本年の予定を具体的に記載します。
また、年次有給休暇取得率も参考情報として記載するのが効果的です。
休日の例 |
4週8休で毎週日曜日と他の曜日が必ず休みになります。 繁忙期の3月には2回程度休日出勤があります(振替休日あり) 夏季休暇8/12~8/16、年末年始休暇12/30~1/3 昨年度の有給休暇取得率は85%です。 |
重要項目の5つ目は事業内容と会社の特長欄。
90文字=30文字×3行記載可能です。
求職者はあなたの会社の事業内容や会社の特長から、同業他社と比べて何が違うか、どのような特徴があるのか等、あなたの会社の個性を把握し比較検討しています。
また、求職者は就職、転職先を決める際に親やパートナー、友人に相談するケースがあります。求職者がまわりに説明、説得しやすくなるのは、この事業内容と会社の特長が多く担う役割です。
なので、事業内容と会社の特長を簡潔に記載するのはもったいないです。
別の会社では置き換えられない、汎用性のない記載をしましょう。
そのためには、固有名詞や数字、実績を用いた具体的で客観的な表現が効果的です。
事業内容の例 |
宮大工で修行した棟梁が2023年に法人化しました。目指しているのは、日本建築の伝統を取り入れた、「日本人の美的感覚」にマッチした家を作ること。年間10棟の日本家屋を作っています。 |
重要項目の6つ目は求人に関する特記事項欄。
600文字=30文字×20行記載可能です。
600文字記載可能というのは、求人票の中では最大のスペースになります。
仕事内容で記載しきれなかった情報を追加・補足し、求職者の仕事に対する多様なニーズに応えられるようにしましょう。
また、特記事項欄の充実度は、求人に対する会社の本気度合いの証として求職者に伝わります。
さらに、ハローワーク職員にも伝えることが出来れば、求職者の紹介に繋がりやすくなります。
求職者の疑問や不安に対して、丁寧に答えるような情報を発信していきます。
たとえば、職場の様子、入社後の教育制度、資格取得の支援などの求職者の応募動機になる情報は効果的です。
また、募集の背景や入社後に求職者に期待していることなど、求職者の背中を押すようなメッセージを記載するのもおすすめです。
以上、ハローワーク求人票作成で特に重要な6つの項目の作成ポイントを紹介しました。
紹介した項目に限らず、ハローワークの求人票作成で共通するポイントは、文字数が限られた入力欄を目いっぱい使いきること、そして具体的な情報を詳細まで記載することです。
ハローワークは日本で最も多くの求人が掲載されている求人情報サービスです。
意識している人は少ないかもしれませんが、多くの求人情報サービスは掲載される求人が、職業安定法や男女雇用機会均等法などの雇用に関するルールに準拠しているか審査を行っています。
公的機関が運営するハローワークは特に法律に厳格な審査を行う必要がありますが、毎日大量の求人票を審査するには機械的に処理できる仕組みにする必要があり、そのために情報の入力制限が設けられているのです。
このような理由からハローワークの求人票では文字数制限が非常に厳しく、多くの企業は魅力をアピールするのではなく、あくまで給与額や休日数などの無機質な情報だけを記載しようとするケースが少なくありません。
逆に言えば、あなたの会社がどんなに小さな零細企業であっても、労働条件が大手にかなわない中小企業であっても、求人原稿の内容ひとつで他社よりも求職者を魅了することができる、ということです。
実際に我々ミズサキ株式会社が支援した従業員数3名の個人事業主のお客様は、もともとはハローワークからの応募は1件もない状態でしたが、求人票の改善後わずか3ヶ月という期間でハローワークから採用につながっています。
ハローワークはまだまだライバルが有効活用しきれていない採用領域なので、戦い方次第では有益な採用チャネルになる可能性があります。
ハローワークでの採用を成功に導く第一歩が、求人票の書き方を改善することです。
まずは今回紹介したポイントを押さえて、今の求人票の見直し、ハローワークの導入を検討してみてください。