近年の高校新卒の有効求人倍率は3~4倍。高校新卒採用に意欲的に取り組む企業が増えています。
高校新卒採用にはそれだけ魅力があります。
今回はそんな高校新卒採用のメリットとデメリットについてご紹介します。
高校新卒採用は大学新卒採用や中途採用と比べると少し独特です。
高校新卒だけのいくつかの傾向や特色があります。独自のルールなどもあるため、しっかりと把握しておくことが大切です。
高校生の就職活動では、社会経験がまだ浅い彼らを保護するために学業を優先させるなど、特別なルールが定められています。
企業は、高校生を『育成すべき』という視点で採用活動を行うことが求められています。
これらのルールは、高校生が将来、社会の一員として活躍できるよう、健全な就職活動を支援するためのものです。
大前提として、高校新卒採用はこの視点に立って制度設計されていると考えましょう。下記のような一見不可解なルールも、その意図や目的がご理解いただけるはずです。
たとえば、一見不可解なルールとして、1次募集では1人1社しか応募できないというルールがあります。
これは、高校生が安易に複数の企業に手を出して、最終的にどの企業も選べないという事態を防ぐためです。
また、多忙な就職活動や過度な競争により、そこに支障が出ないようにという配慮もあります。
企業は、一人ひとりの学生と真剣に向き合い、じっくりと関係を築くことが求められるのです。
高卒採用には下に挙げるようないくつかの独自ルールがあり、高校生を守る視点から行政・企業・学校の三者間で取り決めがされています。
一般に「三者間ルール」や「三者協定」と呼ばれています。
高校生の就職活動は、学校が中心的な役割を担っています。
企業は、学校に求人を提出することで高校生にアプローチします。
高校生は応募先を見つける時には企業に直接問い合わせるのではなく、学校から提供された、ハローワークの確認を得た求人情報をもとに応募し選考を受けます。
この制度は、まだ社会経験が浅い高校生が、学業に集中しながら、将来のキャリアを考える時間を確保するため、学校が積極的に関与するよう促しているものです。
高校生の就職活動では、「1人1社制」というルールがあり、一度に一つの企業にしか応募できません。
正確には、高校新卒採用は一次募集・二次募集に分かれており、一次募集は1社のみ、二次募集からは複数企業に応募できるようになります。
しかし、高卒で就職活動を行う学生の約8割は一次募集で就職先が決まるため、実質1人1社のみ選考を受けるというのが今の高卒採用の状況です。
1人1社制とも関係していますが、採用企業は高校新卒の就活生を書類選考で不採用にすることはできません。
特に高校新卒の就職活動において、採用企業は公正かつ適正な選考を行うことが求められており、適性検査や一般常識テスト・作文などを併せて実施する企業も多いようです。
企業は、高校生の就職スケジュールと高卒採用の独自ルールを理解した上で活動を行うことが求められます。
高校新卒採用で決められている採用活動の期間のうち、主なものは下の通りです。
・6月1日:ハローワークが求人申込書の受付を開始(求職者が提出)
・6月中:求人票提出
・7月1日:採用活動解禁。
企業による高校への求人票送付、訪問、高校生による応募前職場見学がスタート
・9月:応募受付開始。選考および採用内定の開始
・10月以降:二次募集開始
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これまでご紹介したように、高卒採用には独自のルールが存在します。
これが高校新卒採用のメリットを生み出している一方で、同時にデメリットも存在しているのが事実です。
それぞれ見てみましょう。
リクルートワークスが発表している大卒の求人倍率は全企業を対象にして2025年卒で1.75倍。
従業員規模300人未満の中小企業に絞った大卒の求人倍率は6.5倍。
中小企業は、大企業と同じように大手求人メディアや紹介会社を活用したとしても、大手企業に人材がとられるか、中小企業間で一人の求職者に対して6社を超えるライバルがいるわけです。
また、中小企業にとっての大卒の求人倍率は、コロナが明け始めた2022年から毎年上昇しています。
これに対して、厚労省の発表によると2023年の高校新卒の求人倍率は約3.8倍。中小企業にとっては求人倍率だけを見ても、高校新卒はまだまだブルーオーシャンなのです。
高校生の場合はバイトすらしていない生徒が多いです。
働いたことがないからこそ、何色にも染まっておらず、あなたの会社に合わせてぐんぐんと育つポテンシャルのある生徒が多いのです。
”良い人材”に育てやすいと言うこともできるでしょう。
高校新卒の同級生たちが大学を卒業して社会人となる22歳ごろには、18歳から4年間育った高校新卒の社員が既に役職と部下を持ち、若手の主力社員として活躍しているということも珍しくないのです。
就職みらい研究所「就職プロセス調査」によると、大学新卒の2023年卒の内定辞退率は約65.8%。
3人に内定を出したとしても、2人からは辞退される状況です。
これは大企業も含めた数字ですので、中小企業に絞るとさらに割合は高くなるかも知れません。
これに対して高校新卒の内定辞退はほとんどないと言って良いレベルです。
なぜ高校新卒だと内定辞退がないのか?
これは、先ほど説明した通り高校新卒採用では「学校斡旋」という仕組みがあり、企業がハローワークを通して高校に求人票を届け、生徒が教員や保護者と相談して、最終的に学校から推薦を受ける形で1社のみ応募をする「1人1社制」が存在するためです。
高校生は、最初の1社に応募したあとでほかに応募したい企業が出てきた場合、1社目の結果が出てからでなくては応募ができません。
さらに、学校と企業との間の信頼関係がありますので、「推薦」を受けた学生は簡単には内定辞退が出来ない現状なのです。
この「1人1社制」は、企業側にとっては内定辞退率が低く採用計画が立てやすくなり、生徒側にとってはライバルが減ることで応募した企業からの内定を獲得しやすいというメリットがあります。
高校新卒採用の「学校斡旋」を極めていくことで、年を追うごとに優秀な人材が集まってくるようになります。
これは、多くの高校で、特定の企業に複数人の生徒から応募希望が出た際に、「校内選考」を実施しているためです。
「校内選考」とは、生徒の成績や学校生活態度、出席日数を考慮して高校から企業に推薦する生徒を絞るもので、企業の選考前に高校が選抜した優秀な生徒が案内されるようになるのです。
高卒採用は、ハローワークと学校を介して行われるので、大規模な求人広告や専門の採用ツールを利用する必要がありません。
このため、大学新卒採用と比較して、採用にかかる費用を抑えることができます。
厚生労働省の調査によると、高校新卒の離職率は1年目で15.1%、2年目で11.7%、3年目で10.2%。合計で37.0%が3年以内に辞めていることになります。
対して大学新卒では1年目で10.6%、2年目で11.3%、3年目で10.4%、3年以内での離職率はトータル32.3%です。
3年以内の離職率で見れば大卒と高卒には5%程の差しかないのは事実です。
しかし、特に最初の1年でこの5%の差が出ているわけですので、1年以内で会社を辞めてしまう人が多いというデメリットがあります。
これは1人1社制(複数を見て判断するケースが少ない)のためミスマッチが発生しやすく早期離職が多い傾向にあるのだと思われます。
仕事内容や職場環境を入念に伝えて、入社後のギャップがないように努めることで解消しましょう。
高卒採用は、大卒採用と比べると情報が少ないため、企業が独自の採用戦略を立てにくいのが現状です。
具体的なノウハウを共有できる情報が少ないため、多くの企業が手探りで進めているのが実情です。
このデメリットは裏返すとノウハウが浸透していない分「他社との差別化が図りやすい」とも言えます。
高校新卒採用を成功させるには、下のポイントを抑える必要があります。
・高校生の就活方法を理解する
・就職指導教員の気持ちを理解した採用広報を行う
・高校新卒採用スケジュールを把握し適切なタイミングでPRをする
・採用PR物やハローワークの求人票を作りこむ
・高校が作成している求人票一覧で目立つ。そして「専用ファイル」に割り振ってもらう
詳しくは【ゼロから始める】高校新卒採用は有力な採用手段に!の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
以上、高校新卒採用のメリットとデメリットを紹介してきました。
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