「他社と比べて採用にコストをかけすぎているのではないか…」
「年々採用費があがり続けているが、今までよりも採用人数が増えたわけでも、優秀な人が来るようになったわけでもない…」
「このまま同じ採用手法に投資し続けたら、近いうちに経営が悪化するのではないか…」
このように思ったことはありませんか?
実は近年、採用コストや人材不足が原因で倒産する企業が増えており、帝国データバンクの調査によると、2025年度には427件もの企業が、人材不足によって倒産しています。そのうち52件は物流業です。
そして人口減少が続く日本では、今後もこの傾向は続きます。
そこで本記事では、中小企業の採用コストに焦点をあてて、採用コストの削減方法を細かく解説します。
実際の相場に比べて30~50万円のコスト削減を実現してきたミズサキの手法を解禁するので、ぜひ最後までご覧ください。
採用コストの削減ならミズサキの採用代行
中小企業の採用コスト相場・新卒と中途の1人あたり単価
大企業と比較した場合、中小企業の採用コストは高止まりする傾向にあります。
採用人数が少ない中小企業のほうが、採用人数あたりの固定費が高くなってしまうのは必然です。
まずは、中小企業における採用コストの相場を見ていきましょう。
新卒採用における中小企業の採用コスト相場
新卒採用1人あたりの採用コスト相場は約56.8万円とされていますが、現在はさらに高騰している傾向にあります。
マイナビ2024年卒企業新卒内定状況調査によると、近年の新卒採用コスト相場は以下の通りです。
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企業区分
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1人あたりの採用コスト
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全体平均
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約56.8万円
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上場企業
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約49.0万円
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非上場企業
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約57.5万円
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上場企業は多額の予算を投じても、採用人数が多いため単価が抑えられる一方、大半が非上場企業である中小企業は採用人数が少なく固定費が重くのしかかるため、上記のように単価が割高になります。
さらに、2026年卒マイナビ企業新卒内定状況調査によると、2026年卒の採用充足率は69.7パーセントと過去最低水準を記録しています。
予定人数を確保できない企業が急増していることから、母集団形成や内定辞退防止への追加投資が避けられず、現在の実質的な採用単価は表の数値をさらに上回っていると考えられます。
中途採用における中小企業の採用コスト相場
中途採用における1人あたりの単価相場は、全体平均で約31.3万円と推計されるものの、利用する採用手法によって20万円から100万円超まで大きく変動します。
これは、選択する採用手法によって発生するコストの仕組みが根本的に異なるためです。
株式会社マイナビが公表した中途採用状況調査2025年版によると、企業全体の年間の中途採用費用総額は平均650.6万円、採用人数の平均は20.8人となっています。
この数値を基にすると、全体の平均単価は約31.3万円と算出されます。しかし、この数値にはハローワークなどの無料手法を利用して単価を抑えたケースも含まれています。
実際には、求人広告媒体を利用した場合は20万円から30万円台に収まるのに対し、人材紹介エージェントを利用した場合、一般的には採用決定者の想定年収の30パーセントから35パーセント程度の手数料が成功報酬として発生します。
想定年収が400万円の候補者を採用した際の手数料は120万円から140万円となり、採用単価は100万円を容易に超過します。
職種別や業種別に見る採用コストの目安と難易度
労働市場における需要と供給のバランスが採用難易度と直結するため、採用コストは募集する職種や業種によっても大きく変動します。

自社が求める職種や業種の採用難易度を客観的に把握し、それに応じた適切な採用予算の確保が重要です。
その採用コストは適正か?内訳と採用単価の計算方法
自社の採用コストが適正かを判断するためには、まずコストの全体像と正確な算出方法を把握することから始めましょう。
まずは自社の採用コストの内訳と計算方法を正しく理解し、現状を具体的な数値として可視化することが大切です。
採用コストの全体像 外部コストと内部コストの違い
採用コストは、外部コストと内部コストの2つに分けて考えるのが鉄則です。
外部へ支払う明確な費用と、社内で発生する見えにくい費用を分けて管理しなければ、正確な総コストを把握できません。
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コストの種類
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概要
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具体例
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外部コスト
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外部のサービス利用に対して直接支払う明確な費用
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・求人広告費 ・人材紹介エージェントへの紹介手数料 ・イベント出展費(合同説明会など)
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内部コスト
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社内で発生する見えにくい費用
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・採用担当者の人件費 ・面接官が選考に割く時間的拘束による人件費 ・リファラル採用における社員への紹介インセンティブ
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特に内部コストは見落とされがちですが、時給換算で3,000円の面接官3人が1時間ずつ面接を10回行った場合、それだけで計9万円の人件費が発生する計算です。
自社の採用コストを正確に把握するためには、目に見えやすい外部コストだけでなく、ブラックボックスになりがちな内部コストも漏れなく計上することが重要です。
1人あたりの採用単価を算出する計算式
採用単価は、以下の計算式を用いて算出します。
発生した総費用を実際に採用できた人数で割ることで、1人の人材を獲得するために自社がいくら投資したかが明確になります。
例えば、ある期間において外部コストが200万円、内部コストが100万円かかり、その結果として3人を採用できたとします。この場合、外部コスト200万円と内部コスト100万円を足した300万円を、採用人数の3人で割る形となり、1人あたりの採用単価は100万円と算出されます。
中小企業の採用コストが高くなる3つの原因
自社の採用コストを算出し、相場よりも高いと感じた場合、中小企業特有の3つの原因が潜んでいる傾向にあります。
大企業とは異なり、知名度や社内リソースといった経営資源に制限があるためです。
具体的には、以下の3つが挙げられます。
採用コストを適正化するためには、まず自社のコストを高騰させている根本的な原因を特定しましょう。
原因1. 企業認知度が低く母集団形成に費用がかかる
1つ目の原因は、企業認知度が低く、応募者を集める母集団形成に余分な外部コストがかかることです。
中小企業は一般的に大企業に比べて知名度が低く、求職者が自発的に検索して応募してくるケースが稀であるためです。
このように、知名度の低さを資金力でカバーしようとする動きが、結果として1人あたりの採用単価を押し上げる大きな要因となります。
原因2. 採用担当者のリソース不足による外部依存
2つ目の原因は、採用担当者のリソース不足による、高額な外部サービスへの過度な依存です。
中小企業においては専任の人事担当者を配置することが難しく、経営層や現場の社員が通常業務と兼任で採用活動を担うケースが非常に多いためです。
Indeed Japan株式会社が実施した「採用担当者の業務実態」に関する調査によると、採用担当者について全員が他業務と兼任していると回答した企業は全体の72.4パーセント。約7割の企業が専任担当者を置けていない実態が明らかになっています。
採用に割ける時間が週に数時間しかない兼任担当者の場合、求人票の作成や応募者対応の手間を省くため、成果報酬型で手軽に依頼できる人材紹介エージェントに頼りきりになる傾向があります。
社内の人手不足を補うために手軽な外部サービスへ依存する構造が、採用コストの高騰を招くことになるのです。
原因3. 採用手法のミスマッチと無駄な選考プロセス
3つ目の原因は、採用手法のミスマッチと、それに伴う無駄な選考プロセスによる内部コストの浪費です。
求める人物像が不明確なまま手当たり次第に求人媒体を利用すると、自社のターゲットとは異なる層からの応募が急増してしまいます。
例として、経験5年以上のエンジニアを採用する状況を想像してみてください。
自社のターゲットに合わない手法で採用活動を進めることは、無駄な応募者対応を増やし、見えにくい内部コストを著しく圧迫する原因となります。
中小企業が採用コストを削減する具体的な8つの手法
自社の採用コストを高騰させている原因を特定した後は、具体的な削減手法を実行に移すことが重要です。
ここからは、中小企業が明日から実践できる8つの具体的な削減手法を解説します。自社の状況と照らし合わせて最適な手法を選択してください。
手法1. 社員紹介を活用するリファラル採用
経営者や人事担当者の方にとって、リファラル採用という言葉は、もはや聞き飽きた理想論に近いかもしれません。
「そんなの、できるならもうやってるよ!」という心の声が聞こえてきそうですが、実際、多くの企業が「手法は知っているが、勝ち筋が見えていない」という足踏み状態にあります。
リファラル採用を「形だけ」で終わらせないためには、「周知・報酬・期限・具体性」という4つのピースを揃える必要があります。
社員が紹介をためらう理由で意外に多いのが、「どんな人を連れてきたらいいか分からない」という迷いです。
「良い人がいたら紹介して」という依頼は、最も紹介しにくい頼み方です。
欲しい人物像を、誰でもイメージできるレベルまで具体化して伝えてください。
手法2. 自社採用サイトとSNS・noteを活用した手軽な採用広報
採用広報を実施する際は、まず現在利用している求人媒体やスカウトサービスの効果を底上げすることを意識しましょう。
最初から、直接応募を増やして外部サービスへの依存を減らそうと意欲的に取り組むと、多くの場合で成果が出る前に挫折してしまいます。
まだ知名度のない企業が求職者に存在を見つけてもらう機能については、noteやSNSよりも、求人媒体やスカウトサービスのほうが圧倒的に優れているためです。
一方で、認知された後の応募率の向上や、選考中の意欲維持、そして内定承諾の後押しとして機能するのは、採用広報を通じて発信される情報に他なりません。
つまり、採用広報の真の狙いは、現在の投資コストを維持したまま採用人数を最大化させる仕組みを構築することにあります。
手法3. 企業から直接アプローチするダイレクトリクルーティング
エージェントを介さず外部コストを抑える攻めの手法として、ダイレクトリクルーティングの活用も効果的です。
企業が自らデータベース上の求職者へ直接スカウトを送るため、高額な紹介手数料の支払いが発生しません。
人材紹介エージェントに1人あたり120万円を支払う代わりに、年間利用料が60万円から80万円程度のダイレクトリクルーティングサービスを導入します。人事担当者が直接スカウト文面を作成し配信する手間はかかりますが、このシステムを通じて3人を採用できれば、1人あたりの外部コストは約20万円から26万円程度に抑えられます。
内部コストである担当者の工数はかかりますが、ダイレクトリクルーティングは外部コストを大幅に圧縮できる強力な手法です。
手法4. ターゲットを絞り込んだ無料求人メディアの活用
採用予算が限られている場合は、無料求人メディアを有効に活用することが基本となります。
無料で利用できる媒体であっても、単に募集要項を羅列するだけでは応募は集まりません。未経験の若手営業職をターゲットとする場合、具体的な情報を詳細に記載し、自社を魅力的に見せる工夫を施します。
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記載項目
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悪い例
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良い例
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業務内容
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法人向けルート営業
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既存顧客への定期訪問による提案営業で、新規の飛び込み営業はありません。
・既に商品を購入したことのある企業に訪問します。 ・各企業に月に1回程度訪問します。 ・1日の訪問件数は3件程度です。
<提案商品> ・〇〇 ・△△
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教育体制
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研修あり
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■入社後のサポート 入社後3ヶ月は先輩社員に同行し、独り立ちまで専任メンターがサポートします。 4ヶ月目からは1人で訪問しますが、オフィスに常駐しているサポートスタッフにいつでも相談可能です。(Slackでいつでも連絡可能です。)
■1on1面談でキャリアや不安を相談できる 毎月直属の上司と1対1で面談を60分実施。業務で上手くいかないことや今後のキャリアなど、直接相談できる機会を設けています。
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勤務時間
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9:00~18:00(休憩60分)
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9:00~18:00(休憩60分) 月の平均残業時間は20時間程度です。
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1日の流れ
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記載なし
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09:00 朝礼 10:00 顧客訪問(3件) 16:00 帰社して資料作成 18:00 退社
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こうした求職者の不安を払拭する情報を記載することで、有料媒体と同等の応募数を獲得できる可能性があります。
コストを抑えつつ十分な母集団を形成するためには、無料求人メディアの特性を理解し、ターゲットに刺さる求人票を作成することが重要です。
手法5. 採用管理システムの導入判断と内部コストの削減
採用担当者の工数という内部コストを削減するためには、採用管理システム(ATS)の導入を検討します。ただし、自社の状況に合わせ慎重に判断しましょう。
システムを導入すれば必ずコスト圧縮できるわけではなく、採用規模によってはシステム利用料が無駄になるケースがあるためです。
例えば、年間採用人数が10人で3つ以上の求人媒体を運用している企業の場合、各媒体から自社の管理表への応募者情報の転記や、毎月30件から40件発生する面接の日程調整、社内面接官への履歴書共有といった手作業に、合計で月間20時間以上の事務工数が発生するケースも珍しくありません。
ATSを導入してこれらの一元管理を自動化すれば、この分の内部コストを削減でき、十分な費用対効果が見込めます。一方で、年間の採用予定人数が1人から2人の少人数採用の場合、月額数万円のシステム利用料のみがかかり、削減できる工数よりもコストが上回ってしまいかねません。
ATSは強力な業務効率化ツールですが、自社の採用規模と削減できる内部コストのバランスを見極めて導入を判断してください。
手法6. 中小企業が利用できる採用助成金や補助金の活用
採用にかかる実質的な金銭負担を減らす方法として、厚生労働省の公式ホームページなどで案内されている国や自治体が提供する助成金や補助金の活用が挙げられます。
一定の要件を満たす人材を採用し、適切な雇用管理を行うことで、返済不要の資金を受け取れます。
要件を満たして対象者1人を採用し規定の期間定着した場合、50万円から60万円の助成金を受給でき、結果として採用コストを実質的に相殺できるケースがあります。
自社が利用できる制度を事前に調査し、助成金や補助金を活用することで、採用活動における財務的な負担を大幅に軽減できるでしょう。
手法7. 選考プロセスと歩留まりの改善による無駄なコストの排除
見えにくい内部コストの浪費を防ぐためには、選考プロセスと歩留まりの改善による離脱防止に取り組みましょう。
書類選考や一次面接を通過した候補者に辞退されると、そこまでにかかった面接官の時間的拘束という内部コストが全て無駄になってしまいます。
歩留まりを改善する施策として、具体的には以下のような取り組みがあります。
求職者の不安を払拭することで、選考中の辞退率を大幅に改善できる傾向にあります。
加えて、オンライン面接を導入して文字起こしツールを有効活用すれば、次回の面接官への申し送りや社内共有にかかる手間を大幅に削減できます。
新たな人材を集めること以上に、今いる応募者を確実に採用へ繋げる選考プロセスの最適化が、無駄なコストの排除に直結します。
手法8. リソース不足を補う採用代行の活用と外注先の見直し
社内の人的リソースが不足している場合、採用代行(RPO)の活用を検討しましょう。
高額な人材紹介サービスに依存し続けるよりも、一部の業務を専門業者へ外注する方がトータルのコストを抑えられる可能性があります。
専任担当者がいないために1人あたり120万円の人材紹介を利用している場合、スカウト配信や面接日程調整といったノンコア業務を、月額30万円程度の採用代行へ依頼します。
これにより、自社社員は面接などのコア業務に集中でき、ダイレクトリクルーティングや無料媒体を併用した攻めの採用が可能となり、結果として採用単価を引き下げられます。
リソース不足を理由に手軽な高額サービスへ依存するのではなく、採用代行を適切に活用して外注先を見直すことが、持続可能なコスト削減の要となります。
採用コスト削減に成功した中小企業の事例
自社の課題に合わせた手法を選択することで、中小企業でも採用コストの削減は可能ですが、知識として手法を知るだけでなく、他社がどのように自社の課題を解決したかという具体的な道筋を把握することが重要です。
ここでは、限られたリソースの中で採用コストの削減に成功した2つの具体的な事例を解説します。
人材紹介への依存から脱却し大幅なコスト削減を実現した事例
採用手法を人材紹介エージェントからリファラル採用と自社媒体へ切り替えることで、採用の質を維持したままコストを劇的に削減できた事例があります。
Webマーケティング事業などを展開する中小企業「パスクリエイト株式会社」の取り組みは、その非常にわかりやすい成功例です。
同社はかつて、人材紹介エージェントに採用の大部分を依存していましたが、高額な紹介手数料が採用予算を圧迫するだけでなく、入社後のカルチャーミスマッチによる早期離職にも悩まされていました。
そこで同社は、採用手法を「Wantedly」と「リファラル採用」の2軸へと大きく転換し、以下の施策に注力しました。
結果として、同社はWebデザイナーやエンジニア、マーケターなど計10名の採用に成功。
採用の主軸を自社媒体とリファラル経由に切り替えたことで、以前の人材紹介依存時と比較して採用コストを実に89%も削減することに成功しました。
さらに特筆すべきは、記事を通じて事前にカルチャーフィットを確認してから応募・入社に至るため、マッチング度(定着や活躍の度合い)が90%以上と、採用の「質」の面でも劇的な改善が見られた点です。
(参考記事)
小売・流通業界でもリブランディングで採用費を80%削減
IT業界だけでなく、採用難とされる小売・流通業界でも同様の成功を収めているのが、大阪・名古屋で八百屋を展開する株式会社八百鮮です。
かつての同社は、大手求人媒体や人材紹介に頼り切り、年間約1,500万円もの採用予算を投じていましたが、多額の費用をかけても「八百屋=きつい」という先入観から応募が少なく、入社後の早期離職にも悩まされていました。
パスクリエイト社と同じく、同社も「条件面ではなくカルチャーで選ばれる」戦略へ転換しました。
結果として、年間採用コストは約1,500万円から約300万円と、80%もの削減に成功し、20代中心の優秀層を採用することに成功しています。
(参考記事)
早期離職を防ぎ採用コストを投資に変える定着化戦略
採用活動においては、コストを抑えて入社させるだけでなく、入社後の早期離職を防ぐ定着化戦略が求められます。
せっかく採用してもすぐに退職してしまうと、それまでにかかった採用費や教育費が全て無駄になり、実質的なコストが膨れ上がってしまいます。
採用した人材が定着し、自社の利益に貢献して初めて採用コストは投資として成立するため、定着化を見据えた戦略の構築が大切です。
見えないコスト 早期離職がもたらす実質的な採用コストの損失
早期離職は、企業に甚大な見えないコストの損失をもたらします。
採用単価を安く抑えられたとしても、入社直後に退職されれば、採用にかかった外部コストや内部コストに加え、入社後の教育に費やした時間や人件費が丸ごと無駄になるためです。
採用単価20万円で入社した社員が3ヶ月で退職した場合、20万円の採用費に加えて、3ヶ月分の給与90万円、さらに教育担当者の人件費30万円を合算すると、実質的な損失は140万円に上ります。再び同じポジションを採用するためにさらに20万円がかかり、総コストは膨れ上がります。
表面的な採用単価の安さだけを追求するのではなく、入社後の早期離職を防ぎ、実質的な採用コストの損失を回避することがきわめて重要です。
入社後のミスマッチを防ぐ選考プロセスの見直しと情報開示
早期離職を防ぐためには、入社後のミスマッチをなくす選考プロセスの見直しと、リアルな情報開示が必要です。
求職者が抱く入社前の期待と入社後の現実にギャップが生じることが、早期離職の最大の原因となる傾向にあるためです。
本選考の前に現場社員とのカジュアル面談を導入し、残業時間の平均値や現在の組織課題といったネガティブな情報も包み隠さず伝えます。事前に厳しい側面を理解した上で入社を決意した人材は、入社後に困難に直面しても離職しにくく、定着率が20パーセント以上改善した事例が存在します。
会社の良い面だけでなく課題も正直に伝える情報開示を徹底し、選考プロセスを見直すことが、入社後のミスマッチを防ぐ有効な手段です。
経営陣を説得する 採用予算の稟議を通すための投資回収シミュレーション
経営陣から採用予算の承認を得るためには、単なる費用ではなく投資回収シミュレーションとして提示しましょう。
経営陣は採用をコストとして捉えがちですが、事業成長に必要な投資としてリターンを数値化することで、稟議の通過率が飛躍的に高まります。
ここでは、担当者の悩みの種である予算承認のハードルを越えるために、経営者目線の投資回収シミュレーションを提示する方法を解説します。
採用単価だけでなく3年後の粗利で回収を考える
稟議を通すためには、採用単価という一時的な支出だけでなく、入社後3年間の粗利で投資を回収するという視点を持つことが重要です。
目先の100万円の出費を渋ることで、将来生み出されるはずだった数1,000万円の利益を逃す機会損失の大きさを経営陣に理解してもらう必要があります。

年収400万円の即戦力営業職を、人材紹介エージェント経由で採用費120万円をかけて獲得したとします。この人材が定着し、2年目以降に年間2,000万円の粗利を生み出した場合、3年間での累計粗利は数1,000万円に達します。初期投資の120万円は1年以内で十分に回収でき、中長期的には企業に莫大な利益をもたらします。
採用費を単なる支出として提示するのではなく、3年後の粗利というリターンを含めた経営者目線の費用対効果の試算を用いることが、経営陣を説得する強力な材料となります。
ポジションの難易度や緊急度に応じた採用予算のシミュレーション
経営陣へ現実的な予算枠を提示するためには、ポジションの採用難易度や緊急度に応じたシミュレーションを用意することが有効です。
いつまでに何人必要かという採用期間や時期の条件によって、選択すべき採用手法と必要な予算が大きく変動することを論理的に示さなければならないからです。
欠員補充のため1ヶ月以内に即戦力の経理担当が1名必要な場合、短期決戦となるため人材紹介エージェントを利用し、予算として100万円を計上します。一方、1年後の事業拡大に向けて未経験の営業職を3名採用する場合であれば、SNSや無料求人メディアを中心に時間をかけて母集団を形成するため、予算は30万円に抑えられるでしょう。
採用期間や時期の制約を説明し、ポジションの難易度と緊急度に応じて予算が変わることを場合分けして提示することで、経営陣から納得を得やすくなります。
採用コスト最適化に向けた経営陣への説得材料と伝え方
採用コストの最適化を提案する際は、目先のコスト削減だけでなく、機会損失や早期離職リスクを交えて論理的に説明することが重要です。
予算を削りすぎて採用活動が長期化したり、妥協した採用によって早期離職を招いたりすることの方が、企業にとってダメージとなるからです。
ただ「採用予算を半分に削ります」ではなく、下記のように伝えましょう。
・「予算を適正化しつつ、採用できなかった場合の月間500万円の売上損失リスクを回避します」
・「安価な媒体だけでなく、定着率の高いリファラル採用へ予算を再配分し、早期離職による150万円の損失を防ぎます」
必要に応じて、社内稟議用の投資回収シミュレーションシートを作成し、具体的な数値を提示します。
機会損失や早期離職リスクといった経営上のリスクとセットで説明し、論理的な説得材料を用意することが、採用予算の稟議をスムーズに通すための秘訣です。
中小企業の採用コストに関するよくある質問
中小企業の採用コスト最適化を進めるにあたり、多くの採用担当者が共通して抱く疑問にお答えします。
まとめ 限られた予算で優秀な人材を獲得するために
限られた予算で優秀な人材を獲得するためには、採用コストを単なる出費ではなく、企業の未来を創る投資として捉え直しましょう。
現状のコスト構造を正確に把握し、無駄を削ぎ落とす一方で、定着化を見据えた必要な投資を惜しまない姿勢が事業の成長をしてくれるはずです。
採用コスト最適化のポイントをおさらいしましょう。
現状のコスト把握と削減手法の実行、そして定着化までの仕組みづくりを徹底することが、中小企業の採用活動を成功に導き、強い組織を作るための鍵です。
まずは、現在の採用プロセスに潜む『見えないコスト』を可視化することから、貴社の新しい組織づくりをスタートさせてみてください。