「社内広報の担当になったけれど、具体的に何から始めればいいのか分からない」
「一生懸命に社内報を作っても反応が薄く、『これって意味あるの?』と思われていないか不安だ」
このような悩みを抱えていませんか。
社内広報の仕事は、外部からは見えにくいうえに、直接的な売上を作るわけではありません。そのため、成果を証明するのが難しく、通常業務との兼務でリソースも限られる中で、手探りで運用している担当者が非常に多いのが実情です。
この記事は、そんな悩める担当者のための社内広報の教科書です。社内広報の基礎知識はもちろん、明日からすぐに使える「面白い企画ネタ」、上司を説得するための「効果測定の指標」、そして成果を出している企業の「成功事例」まで、現場で必要な情報をすべて網羅しました。
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社内広報とは何か?社外広報との違いや重要性を正しく理解する
社内広報とは、単なる社内へのお知らせ係ではありません。経営戦略を実現するための重要な機能であり、組織の円滑な運営を支える役割を果たします。
まずはその定義と、社外広報との違いを明確に理解することから始めましょう。
社内広報の意味とインターナルコミュニケーションの定義
社内広報の本質は、企業と従業員、あるいは従業員同士の相互理解を深めることにあります。これは専門用語で「インターナルコミュニケーション」とも呼ばれます。
単に人事情報や経営方針を一方的に伝達するだけでは、社内広報とは言えません。経営陣の想いを現場に浸透させ、逆に現場の声を経営陣に届ける。そして、部署の壁を越えて社員同士がつながるきっかけを作る。このように、組織内の情報の流通を促進し、信頼関係を構築することが本来の役割です。

血管が詰まれば身体が機能不全に陥るように、社内広報が機能していない組織は、経営方針が伝わらず、現場の不満が溜まり、やがて組織全体のパフォーマンス低下を招きます。
つまり社内広報は、組織の健康状態を維持し、成長させるための生命線なのです。
【比較表】社内広報と社外広報の違い
社内広報と社外広報は、同じ「広報」という言葉がついていても、その目的やアプローチはまったく異なります。この違いを整理して説明できなければ、施策の軸がぶれてしまいます。
以下の比較表で、それぞれの違いを確認しましょう。
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項目
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社外広報(PR)
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社内広報(IC)
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主なターゲット
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顧客、メディア、投資家、社会全般
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従業員、その家族
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最大の目的
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売上拡大、認知向上、社会的信用の獲得
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エンゲージメント向上、企業文化の醸成
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重視する成果(KPI)
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メディア掲載数、広告換算額、ブランド認知度
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社内報読了率、イベント参加率、離職率低下
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発信内容の傾向
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ニュース性のある新情報、完成された成果
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経営の背景、社員の物語、プロセスや苦労話
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コミュニケーション
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戦略的かつ公式的な情報発信
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双方向性や共感、温度感を重視
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なぜ社内広報が必要なのか?3つの社会的背景
近年、多くの企業が社内広報に力を入れ始めています。その重要性が急速に高まっている背景には、現代の組織が直面している3つの大きな変化があります。
1. テレワークやハイブリッドワークの普及
オフィスで顔を合わせる機会が減ったことで、雑談や偶発的なコミュニケーションが激減しました。「隣の人が何をしているか分からない」という状況は、帰属意識の低下を招きます。
事実、パーソル総合研究所の「第九回・テレワークに関する調査」によると、テレワークに関する主要な困りごととして、「チームに一体感が感じられない」「会話が減ってさびしさを感じる」など、自分と組織の関係性の悪化が注目されています。
物理的に離れていても心理的なつながりを保つために、意図的な情報共有の仕組みが不可欠になっているのです。
2. 雇用の流動化による人材獲得競争の激化
転職が当たり前になった今、給与や待遇だけで優秀な人材を引き留めることは難しくなりました。「この会社で働く意義」や「魅力的な企業文化」を感じられなければ、社員は簡単に離れてしまいます。
離職を防ぎ、定着率を高めるための手段として、社内広報によるエンゲージメント向上が求められているのです。
3. 人的資本経営やダイバーシティへの対応
外国人労働者や時短勤務者など、働く人のバックグラウンドは多様化しています。価値観が異なるメンバーを一つの方向に束ねるには、求心力となる「経営ビジョン」や「共通の価値観」を丁寧に伝え続ける必要があります。
多様性のある組織だからこそ、共通言語を作る社内広報の役割がこれまで以上に重要になっているのです。
組織を強くする社内広報の3つの目的とメリット
「とりあえず社内報を出していればいいだろう」
「イベントをやれば何となく盛り上がるはずだ」
このような漠然とした意識で運営していると、社内広報はすぐに形骸化します。忙しい社員にとって、目的の分からない情報はノイズでしかないからです。
社内広報を成功させるには、何のために行うのかという目的を明確にする必要があります。
1. 企業理念や経営方針の浸透(コンパスを合わせる)
1つ目の目的は、会社の進むべき方向性を示す「企業理念」や「経営方針」を、社員一人ひとりに浸透させることです。
経営陣が発する言葉は、現場の社員にとっては抽象的で分かりにくいことが少なくありません。そこで社内広報が「翻訳者」となり、その言葉の背景や意図を噛み砕いて伝える必要があります。
たとえば、単に「売上目標10億円」という数字を伝えるのではなく、「なぜ今その目標を目指すのか」「達成することで社会にどんな価値を提供できるのか」というストーリーを伝えます。すると、社員は自分の仕事が会社全体の目標とどう繋がっているかを理解できます。
理念や方針が浸透すると、現場での判断基準が統一されます。上司に確認しなくても「この判断は自社の理念に合っているか」を社員自身が考えられるようになり、意思決定のスピードと質が劇的に向上します。
2. 従業員エンゲージメントの向上(離職率低下)
2つ目の目的は、従業員エンゲージメントを高め、離職率を低下させることです。エンゲージメントとは、会社への愛着心や貢献意欲のことを指します。
心理学には「ザイオンス効果(単純接触効果)」という法則があります。人は相手のことを知れば知るほど、好意や信頼を抱きやすくなるというものです。これは会社組織にも当てはまります。
事実、Gallup社による調査によると、エンゲージメントスコアが下位25%のチームは、上位25%のチームと比較して、離職率が21~51%も高いことが判明しています。

経営陣の人柄、他部署の仲間の頑張り、自社製品への顧客からの感謝の声。こうした情報を社内広報を通じて知ることで、社員は会社に対して「信頼」や「誇り」を感じるようになります。「自分はこの組織の一員である」という帰属意識が育まれるのです。
3. 社内コミュニケーションの活性化(情報の非対称性解消)
3つ目の目的は、部署間の壁(サイロ化)を取り払い、社内の風通しを良くすることです。
組織が大きくなると、どうしても「隣の部署が何をしているか分からない」という情報の非対称性が生まれます。これは業務の重複や連携ミスを招くだけでなく、イノベーションの阻害要因にもなります。新しいアイデアは、異なる知見の掛け合わせから生まれることが多いからです。

社内広報がハブとなり、各部署の取り組みやノウハウを共有することで、横の繋がりが生まれます。たとえば、開発部門の苦労話を営業部門が知ることで、顧客への提案の説得力が増すといったシナジー効果が期待できます。
誰がどんな専門知識を持っているかが可視化されれば、困ったときに相談できる相手がすぐに見つかります。結果として組織全体の業務効率が上がり、生産性の向上に直結します。社内広報は、組織を円滑に動かすための潤滑油なのです。
担当者が知っておくべき社内広報の具体的な仕事内容
社内広報の目的が整理できたところで、次は具体的にどんな業務を行うのかを見ていきましょう。
「広報」と聞くと華やかなイメージを持つかもしれませんが、実際の業務は地道な作業の積み重ねです。未経験の方でもイメージが湧くように、主な3つの仕事内容を具体的なタスクレベルで解説します。これらを把握することで、必要なスキルやリソース配分が見えてくるはずです。
社内報・Webメディアの企画制作
社内広報の中心となる業務は、やはり社内報やWebメディアを通じた情報発信です。これは単に文章を書くだけの仕事ではありません。小さな出版社の編集長のように、企画から発行までの一連のプロセスを回す必要があります。
具体的な流れとしては、まず「今月は何を伝えるべきか」を決める企画会議から始まります。次に、対象となる部署や社員へのアポイント取り、インタビュー取材、写真撮影、原稿執筆、そしてデザイン編集へと進みます。最後に誤字脱字の校正を経て、全社員へ配信します。
かつては紙の冊子が主流でしたが、現在はスマホで読めるWeb社内報や専用アプリ、または1分程度のショート動画でニュースを届けるスタイルなど、媒体は多様化しています。自社の社員が最もアクセスしやすい形式を選び、定期的に鮮度の高い情報を届け続ける持続力が求められます。
社内イベントの企画・運営
テキストや画像だけでは伝えきれない「熱量」や「一体感」を醸成するために、社内イベントの企画・運営も重要な仕事です。
代表的なものとして、半期や四半期ごとに行う「全社総会」があります。ここでは経営方針の発表だけでなく、活躍した社員を称える「表彰式・アワード」を同時に行う企業が増えています。スポットライトを浴びて涙する受賞者の姿は、見ている社員のモチベーションを刺激するからです。
また、業務以外の交流を促す「シャッフルランチ」や、社員の家族をオフィスに招待する「ファミリーデー」なども効果的です。こうしたイベントは、会場の手配から当日の進行台本作りまで準備が膨大ですが、社員の笑顔や反応をダイレクトに感じられるため、広報担当者にとって最もやりがいを感じる瞬間でもあります。
社内ポータル・SNSの運用管理と「広聴」活動
3つ目は、日常的なコミュニケーションのインフラ整備と、社員の声を拾う活動です。
社内ポータルサイトやビジネスチャット、社内SNSなどのツールを管理し、情報が探しやすい状態を保ちます。必要な情報にすぐアクセスできる環境は、社員のストレスを減らし、業務効率を支える基盤となります。
そして忘れてはならないのが、「広聴」と呼ばれる活動です。「広報」が情報を発信(アウトプット)することなら、「広聴」は情報を聴く(インプット)ことです。
具体的には、定期的なエンゲージメントサーベイやアンケートを実施して組織の状態を数値化したり、目安箱を設置して現場の不満や提案を吸い上げたりします。
もうネタ切れに困らない!社内広報の面白いネタと企画アイデア20選
社内広報担当者にとって最大の悩み、それは「ネタ切れ」ではないでしょうか。毎月の企画会議が近づくと、「もう書くことがない」「いつも同じような内容になってしまう」と頭を抱える方は少なくありません。
しかし、社内にはまだ掘り起こされていない面白いストーリーがたくさん眠っています。ここでは、明日からそのまま企画書に使える具体的なネタやタイトル案を厳選しました。
読了率が上がる「人」にフォーカスした社員紹介ネタ
最も読まれやすく、社内コミュニケーションのきっかけになりやすいのが「社員紹介」です。ただし、単なる経歴紹介では面白くありません。その人の「人間味」や「意外な一面」を引き出す切り口が重要です。
| 社員紹介企画ネタ |
効果・意図 |
| 突撃!新入社員の「カバンの中身」見せてください |
仕事道具へのこだわりや、意外な私物からその人の個性が一瞬で伝わります。 |
| あの人の「勝負ランチ」探訪 |
普段どんなものを食べているのかという食の話題は、会話の糸口として最強です。 |
| 実は私、〇〇オタクです(私の偏愛遍歴) |
業務とは無関係なディープな趣味を熱く語ってもらうことで、親近感が湧きます。 |
| リレー形式の他己紹介「隣の席の〇〇さんはこんな人」 |
本人が自己紹介するのではなく、同僚が紹介することで、客観的な信頼関係が伝わります。 |
| あの時の「大失敗」と、そこから学んだこと |
成功談よりも失敗談のほうが共感を呼び、若手社員の心理的なハードルを下げます。 |
経営層と現場の距離を縮めるトップメッセージネタ
経営陣のメッセージは重要ですが、堅苦しい訓示ばかりでは社員も読む気が失せてしまいます。雲の上の存在だと思われがちな経営層を、身近な「先輩」として感じさせる企画が効果的です。
| 社員紹介企画ネタ |
効果・意図 |
| 社長の若手時代の「赤面」失敗談 |
今の地位にある社長にも、未熟な時代があったことを伝え、挑戦することの勇気を与えます。 |
| 経営陣が選ぶ「人生を変えたおすすめの一冊」 |
思考の源泉となっている本を紹介することで、経営視点を学ぶきっかけを作ります。 |
| 創業メンバーが語る「創業前夜」の秘話 |
今のオフィスの快適さが当たり前ではないことや、創業時の熱量をストーリーとして伝えます。 |
| 役員の「休日ルーティン」とリフレッシュ法 |
仕事以外の顔を見せることで、親しみやすさを醸成します。 |
| 社長への直撃Q&A「これってどうしてですか?」 |
現場が抱く素朴な疑問に、社長が本音で答えるコーナーは注目度抜群です。 |
組織の一体感を高めるプロジェクト・部署紹介ネタ
他部署への無関心やセクショナリズムを解消するには、互いの仕事へのリスペクトを生む企画が必要です。表面的な業務紹介ではなく、その裏にある「苦労」や「プロ意識」に光を当てましょう。
| 社員紹介企画ネタ |
効果・意図 |
| プロジェクトX:あの大ヒット商品の開発裏話 |
華々しいリリースの裏にあった、地道な試行錯誤やトラブル対応のドラマを描きます。 |
| 縁の下の力持ち!経理部(総務部)の1日に完全密着 |
普段目立たないバックオフィス部門のプロフェッショナルな仕事ぶりを紹介し、感謝を伝えます。 |
| 数字で見る我が社(コーヒー消費量から有休取得率まで) |
売上などの堅い数字だけでなく、社内の実態をユニークな数字で可視化します。 |
| あの部署の「あるある」ネタ |
「営業車あるある」「エンジニアあるある」など、職種特有の文化を面白おかしく紹介します。 |
| 新プロジェクトメンバーの「決意表明」 |
これから始まるプロジェクトへの意気込みを発信し、全社的な応援ムードを作ります。 |
社外の評価を共有するメディア掲載・顧客の声ネタ
自分たちの仕事が社会でどう役立っているかを知ることは、社員の誇り(プライド)に直結します。社内からの視点だけでなく、社外からの客観的な評価を積極的に共有しましょう。
| 社員紹介企画ネタ |
効果・意図 |
| お客様から届いた「感動のサンクスメール」全文公開 |
クレーム対応だけでなく、感謝された事例を共有することで、仕事の意義を再確認します。 |
| SNSで見つけた!自社サービスの嬉しい評判まとめ |
X(旧Twitter)やInstagramでのユーザーのリアルな反応を紹介します。 |
| メディア掲載の舞台裏と広報担当の奮闘記 |
テレビや雑誌に取り上げられた際、その結果だけでなく、取材対応の裏側も見せます。 |
| 株主総会での質疑応答レポート |
投資家からどのような期待が寄せられているのかを分かりやすく解説します。 |
| 採用面接で学生から言われた「当社の魅力」 |
外から見た自社の魅力に気づかせ、愛社精神を高めます。 |
成功企業から学ぶ社内広報の事例5選【アナログからデジタルまで】
「ネタのアイデアは分かったけれど、実際に運用して成果が出るのかイメージが湧かない」
そのような疑問を解消するために、他社の成功事例を見ていきましょう。社内広報に正解はありませんが、成果を出している企業には自社の課題に合わせた最適な手段を選んでいるという共通点があります。
ここでは、最新のデジタル技術を活用した事例から、あえてアナログにこだわった事例まで、5つのパターンを紹介します。自社の風土に合いそうなものを参考にしてください。
【事例1】「Web社内報」を社外にも公開し、採用に繋げる
企業名:エン株式会社(媒体名:ensoku!)
従来の一方通行な広報から脱却し、社員が参加できる「双方向型」へシフトして成功した事例です。 同社のWeb社内報「ensoku!(エンソク)」は、専任の担当者だけでなく、社員自身がライターとなって記事を執筆しています。

最大の特徴は、社内報を「オープン社内報」として社外にも公開している点です。ありのままの社風や社員の様子を求職者が見れるようにしたことで、入社後のミスマッチを防ぐ効果を発揮しています。
エン株式会社の社内報「ensoku!」はこちら
【事例2】IT企業があえて選んだ「トイレの壁新聞」
企業名:株式会社イノベーション(媒体名:いの新聞)
DXやデジタルツールが普及する中で、あえて「超アナログ」な手法で成果を出しているのが株式会社イノベーションです。 同社では、社内報「いの新聞」をオフィスのトイレや壁に掲示しています。
「トイレでほっこり」をコンセプトに、社員のプライベートなニュースや他己紹介などを手作り感のある紙面で発信。デジタルツールでは情報が流れてしまいがちですが、トイレという「必ず立ち寄り、一息つく場所」に掲示することで、高い閲覧率を確保し、社内コミュニケーションのきっかけを作っています。
参考記事:昔ながらの壁新聞が実現する到達度の高い社内報(株式会社イノベーション)(社内報ナビ)
【事例3】家族に紙の社内報を送り、家庭からの支援を得る
企業名:グリー株式会社(媒体名:ジーマガ)
IT企業のグリー株式会社では、Web全盛の時代にあえて「紙の社内報」を作成し、希望する社員の実家や家庭に郵送しています。 その目的は、社員を支えてくれている家族に、会社の様子や仕事の内容を知ってもらうことです。
Webに不慣れな親世代でも手に取りやすい紙媒体を活用することで、「息子・娘がどんな会社で働いているのか」という安心感を醸成しています。家族からの応援は社員のエンゲージメントを支える大きな基盤となります。デジタルとアナログを相手に合わせて使い分ける好例です。
参考記事:なぜIT企業が紙の社内報を作るのか。グリーの社内報冊子「ジーマガ」誕生の秘密(6 deGREEs)
【事例4】「やさしい日本語」で多国籍チームの壁をなくす
企業名:株式会社メルカリ
多国籍な社員が働くメルカリでは、情報の「言語の壁」をなくすためのユニークな取り組みを行っています。 単に英語へ翻訳するだけでなく、日本語を母語としない社員にも伝わりやすい「やさしい日本語」の使用を推奨しています。
例えば「可及的速やかに」を「できるだけ早く」と言い換えるなど、社内広報やコミュニケーションにおいて、難しい熟語や曖昧な表現を避ける文化を醸成。翻訳ツールへの依存だけでなく、歩み寄るコミュニケーションスタンスそのものを変革することで、ダイバーシティ(多様性)のある強い組織を作っています。
参考記事:日本語話者も英語話者も歩みよる、インクルーシブなコミュニケーション実現のためのメルカリ独自の言語支援施策(mercan)
【事例5】動画コンテンツで「温度感」と「ノウハウ」を共有
企業名:SB C&S株式会社
テキストだけでは伝わりにくい「熱量」や「複雑な情報」を伝えるために、動画を活用している事例です。 SB C&S株式会社では、経営メッセージや社内イベントの様子だけでなく、勉強会などのナレッジ共有も動画コンテンツとして発信しています。
制作した動画本数は数千本にのぼり、社員は自分の好きなタイミングで視聴が可能。テキストを読む時間が取れない忙しい社員でも、耳や目から直感的に情報を得られるため、情報の到達率が高まります。特にリモートワーク環境下では、動画による「人の顔が見える発信」が安心感につながります。
参考記事:社内外へ向けたSB C&S独自の映像コンテンツ提供総数が3,000本を突破!(SB C&S株式会社)
効率的な運用を実現するおすすめ社内広報ツールと選び方
社内広報を効率よく進めるうえで、専用ツールの導入は非常に有効な手段です。しかし、世の中には数えきれないほどのサービスが存在し、「どれを選べばいいか分からない」「導入したけれど誰も使っていない」という失敗談も後を絶ちません。
ツールはあくまで「手段」であり、導入することがゴールではありません。自社の組織課題や働き方にフィットするものを選ぶ必要があります。ここでは、ツールの種類と選び方のポイントを解説します。
自社に合うのはどれ?ツールの種類と特徴(Web・SNS・動画・サイネージ)
まずは、社内広報ツールの主要なカテゴリと、それぞれの得意領域を理解しましょう。自社の課題がどこにあるかによって、選ぶべき種類が変わります。
| ツールの種類 |
ツールの特徴 |
| 1. Web社内報ツール(ストック型) |
記事を蓄積できるため、過去の情報をさかのぼりやすく、検索性に優れています。経営理念や社長メッセージなど、長く読み継がれてほしい情報の管理に適しています。デザイン性が高く、読む楽しみを提供しやすいのも特徴です。 |
| 2. ビジネスチャット・社内SNS(フロー型) |
SlackやMicrosoft Teams、LINE WORKSなどが該当します。速報性に優れており、リアルタイムな情報共有や気軽な雑談に適しています。一方で、情報はどんどん流れていってしまうため、重要なメッセージが埋もれやすい欠点があります。 |
| 3. 動画配信・社内ラジオ |
文字を読むのが苦手な社員や、感情や温度感を伝えたい場合に有効です。YouTubeのようにアーカイブを残せるものや、ポッドキャストのように音声だけで配信できるものがあります。 |
| 4. デジタルサイネージ(掲示板型) |
PCやスマホを持たない現場社員(工場、店舗、倉庫など)が多い組織に最適です。休憩所や食堂に設置することで、受動的に情報を届けることができます。 |
導入実績が豊富な代表的な社内広報ツール
数あるツールの中でも、特に導入実績が豊富で、多くの企業で成果を上げている代表的なサービスを3つ紹介します。
TUNAG(ツナグ)

株式会社スタメンが提供するエンゲージメント経営プラットフォームです。最大の特徴は、社内SNS、チャット、日報、ワークフローといった機能に加え、会社の状態に合わせてアプリ上で自在に設計できるカスタマイズ性の高さです。
PCだけでなくスマホアプリの使い勝手が良く、店舗や工場などデスクワーク以外の従業員が多い組織でも高い利用率を誇ります。導入後は専任スタッフによるコンサルティング支援があり、組織課題に合わせた運用定着まで伴走してくれる点も心強いポイントです。
TUNAGの公式サイトはこちら
ourly(アワリー)

ourly株式会社が提供する、分析機能に特化したWeb社内報サービスです。まるでオウンドメディアのような洗練されたデザインの記事を、専門知識なしで直感的に作成・配信できます。
特筆すべきは業界最高レベルの分析機能です。誰が・どの記事を読んだか詳細に可視化できるため、「出したけど読まれない」という課題に対し、データに基づいた改善(PDCA)が可能になります。感覚的な運用から脱却し、確実にメッセージを届けたい企業に最適です。
ourlyの公式サイトはこちら
THANKS GIFT(サンクスギフト)

株式会社Take Actionが提供するエンゲージメントクラウドです。「感謝」と「称賛」の文化醸成に特化しており、デジタルのサンクスカードと共に、社内コイン(社内通貨)を送り合う仕組みが特徴です。
営業成績などの数字には表れにくい「縁の下の力持ち」としての貢献や、企業理念を体現した行動を可視化・評価できます。社内報機能や掲示板機能も備えており、ポジティブなコミュニケーションを活性化させ、心理的安全性の高い組織風土を作りたい企業におすすめです。
THANKS GIFTの公式サイトはこちら
失敗しないツール選定の3つのポイント
高機能なツールを導入しても、現場の社員に使われなければ投資は無駄になります。ツール選びで失敗しないために、必ず確認すべき3つのチェックポイントを紹介します。
1. 現場の社員が直感的に使いこなせるUIか
ITリテラシーが高くない社員でも、マニュアルなしで操作できるかどうかが最も重要です。特にスマホアプリの使い勝手は定着率を左右します。トライアル期間を利用して、現場社員に実際に触ってもらいましょう。
2. 分析機能は充実しているか
「PV数」だけでなく、「読了率(どこまで読んだか)」「部署ごとの閲覧率」「未読者リスト」などが確認できるかチェックしてください。効果測定ができなければ、施策の改善ができず、経営陣への報告も説得力を欠いてしまいます。
3. 運用サポート体制はあるか
ツールを入れて終わりではなく、他社の成功事例の共有や、定例ミーティングでの改善提案など、伴走型のサポートがあるベンダーを選ぶと安心です。特に社内広報の専任担当者がいない場合、プロのサポートは強力な武器になります。
社内広報を成功させるためのステップ
社内広報の立ち上げやリニューアルを行う際、多くの担当者が陥りがちな失敗があります。それは、最初から「経営理念の浸透」のような高尚なゴールを目指して、堅苦しいコンテンツばかりを発信してしまうことです。
組織の文化は一朝一夕には変わりません。社員の関心度合いに合わせて、段階的にアプローチを変えていく戦略が必要です。
ここでは、社内広報を「文化」として定着させるための3つのフェーズと、成果を可視化する方法を解説します。
フェーズ1:認知・興味(まずは読まれる土台作り)
最初のステップは、とにかく「社内報が存在すること」を知ってもらい、「面白そうだから読んでみよう」と思ってもらう段階です。このフェーズでは、高尚なメッセージよりも「面白さ」や「親しみやすさ」を優先してください。
例えば、社員食堂の人気メニューランキングや、新入社員のプロフィール紹介など、業務とは直接関係のない「柔らかいネタ」で構いません。まずは社内報を開くという行動を習慣化させることが目的だからです。
ここで無理に経営方針などの堅い情報を詰め込むと、「また会社が何か言っている」と敬遠され、読者は離れてしまいます。
まずは「広報からのメールを開くと、ちょっと面白い情報がある」という信頼残高を貯めることに集中しましょう。接触頻度を高め、ザイオンス効果(単純接触効果)を狙うのがこの時期の勝ち筋です。
フェーズ2:理解・共感(コンテンツの質を高める)
一定の閲覧数が稼げるようになり、社員の間に「社内報を見る習慣」がついたら、次のステップへ進みます。ここではコンテンツの質を高め、会社の価値観や仲間の想いに触れてもらう段階です。
具体的には、プロジェクトの成功事例の裏側にある苦労話や、経営陣が意思決定に至った背景などを深掘りして伝えます。単なる事実やニュースだけでなく、そこにある物語・ストーリーを伝えることで、読み手の感情を動かし、共感を生み出します。
「なぜ私たちはこの仕事をしているのか」「隣の部署はどんな想いで働いているのか」といった本質的な問いへの答えを提示することで、社員の会社に対する理解度は格段に深まります。
フェーズ1で築いた土台があるからこそ、こうした真面目なコンテンツも読まれるようになるのです。
フェーズ3:参加・行動(文化として定着させる)
最終的なゴールは、広報担当者だけでなく、社員全員が発信者となる状態です。ここまで来れば、社内広報は施策ではなく「文化」になります。
このフェーズでは、社員からの投稿を募集したり、コメント欄でのディスカッションを促したりと、参加型の企画を増やします。例えば、「私の部署の自慢」をリレー形式で社員がつないでいく企画などは、現場の主体性を引き出すのに最適です。
社員が自ら情報を発信し、互いに称賛し合う空気が生まれれば、広報担当者が手取り足取り主導しなくても、自走する組織へと変わっていきます。一方通行の情報伝達が、双方向のコミュニケーションへと進化した瞬間です。
成果を可視化する効果測定とKPIツリーの設計
「社内広報の成果が見えにくい」という課題を解決するには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。しかし、単に「PV数(閲覧数)」だけを追っていても、経営層を納得させることはできません。
重要なのは、最終的なゴール(KGI)である「エンゲージメント向上」に至るまでの因果関係を整理することです。以下のようなKPIツリーをイメージして、指標を設計してみてください。

| KPIのカテゴリー |
主要なKPI |
| 1. 認知指標(届いているか) |
PV数、開封率、ログイン率 |
| 2. 共感指標(読まれているか) |
読了率(スクロール率)、滞在時間、いいね数 |
| 3. 行動指標(動いているか) |
コメント数、イベント参加率、アンケート回答率 |
例えば、「読了率が高い記事は、エンゲージメントスコアの高い部署でよく読まれている」といった相関関係が見えれば、社内広報の貢献度を定量的に証明できます。
社内広報に関するよくある質問(FAQ)
社内広報の運用を続けていると、時には厳しい意見や、新たな課題に直面することもあります。ここでは、多くの担当者がぶつかる代表的な3つの疑問について回答します。
社内広報は組織の血流。まずは小さな「面白い」から始めよう
ここまで、社内広報の目的から具体的なネタ、成功事例、ツールの選び方まで、多角的に解説してきました。
社内広報という仕事は、即効性のある特効薬ではありません。どれだけ良い記事を書いても、翌日に売上が倍増することはありませんし、離職率が急にゼロになることもないでしょう。地道な種まきの連続であり、時には周囲から理解されないこともあるかもしれません。
経営者の熱い想いや、現場社員のひたむきな努力といった「酸素」を、組織の隅々まで運び続けること。それこそが、強く健全な組織を作る唯一の方法です。血流が滞れば身体が動かなくなるのと同じように、対話のない組織はいずれ活力を失います。あなたが届ける一つひとつの情報は、組織を生かすエネルギーそのものなのです。
いきなり完璧なWeb社内報システムを導入したり、プロのような記事を書いたりする必要はありません。
まずは、今月の社内報で、隣の席の同僚の「意外な趣味」を紹介することから始めてみませんか。あるいは、全社員に向けたメールの冒頭に、ちょっとした「季節の雑談」を加えてみるだけでも構いません。
そんな小さな「面白い」や「共感」の積み重ねが、やがて大きな信頼関係となり、揺るぎない組織文化へと育っていくはずです。