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「工業高校出身者しか採用しない」は機会損失? 工業高校生徒の動向と高卒採用を成功させるためのヒント

「工業高校出身者しか採用しない」は機会損失?  工業高校生徒の動向と 高卒採用を成功させるためのヒント
  • 公開日:2024/11/03
  • 更新日:2024/11/03
藤村俊太郎
この記事を書いた人
藤村俊太郎

愛知県知多市出身。愛知県立明和高校→慶應義塾大学卒業。高卒採用・大卒採用・中途採用のプロフェッショナル。年間5000件以上の採用をマッチングさせる転職サービスの開発・運用を経験。自社採用部署における、新卒採用の立ち上げ・採用広報部署の立ち上げ・社員定着戦略/仕組みの構築を行う。採用戦略の構築とインハウス化が得意。

少子化で労働力不足が慢性化し、高卒採用に目を向ける企業が増えてきています。
なかでも就職希望者が多く、人気が集まっているのが工業高校。

製造業や建築業など、モノづくりに関わる企業では、「工業高校出身者しか採用しない」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、これは必ずしも正しいとは言えません。
今回は工業高校の生徒の動向と、採用するにあたっての注意すべきポイントを紹介します。

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高校新卒 学科別就職人数の割合

工業、製造関係の企業では、「工業高校出身の子しか採用しない」と決めて採用活動をしている場合が多いのではないでしょうか。

しかし、高卒採用をこれから始める企業や、始めたばかりの企業が工業高校のみにターゲットを絞ってしまうと、採用活動に苦戦する場合があります。

2023年10月末時点での高校新卒の就職希望者の学科別割合は以下の通り(文部科学省から発表されているデータをもとに作成)。

 

高校新卒全体で129,301人の就職希望者に対して、工業系の学校(学科)の就職希望者数は40,762です。

つまり、工業高校からの採用に限定してしまうと、高校新卒全体の3割の生徒に絞って採用活動をすることになり、多くの優秀な人材を逃してしまう可能性があるのです。

また、学科の割合として最も高い普通科の高校生は「製造業を希望しないのではないか?」と思われることが多いですが、実際は普通科から工業、製造業に行きたいと考える高校生もたくさんいます。

高卒採用初年度の企業や、まだ始めたばかりで高校との関係構築が進んでいない企業は、ターゲットの高校を狭めずに広くアプローチしていくことをお勧めします。

工業高校の求人倍率は?

では、工業高校の求人倍率はどうでしょうか。
全国工業高等学校長協会の調査結果を基にまとめた高校新卒全体、大学新卒、工業広告ごとの求人倍率は下の画像の通り。

近年の高校新卒全体の求人倍率は緩やかに伸びていますが、工業高校の求人倍率はそれを大きく上回っています。

2024年で見れば、高校新卒全体が3.52倍、大学新卒が1.71倍に対して、工業高校新卒は27.2倍
1人の工業高校生徒に対して約27件の求人募集がある計算になります。

工業高校への求人は、整備士などの技能職のイメージが強いですが、設計、施工を担う技術職やオフィスワークもあります。
大卒でも入社が難しい大手企業の求人も増えてきている結果、求人倍率が高まり、生徒側からすると充実した進路が選択できるようになっています。

企業側が高校新卒を検討する際には、工業高校生徒に対しては特に”他社に埋もれない”求人募集を心がける必要があります。
採用戦略設計については、下記の記事を参考にしてみてください。

工業高校の生徒の動向

工業高校への採用活動を始める第一歩。
工業高校生徒の現在の状況と動向を見てみましょう。
状況と動向を把握することで、自社がアプローチすべきか、またどのように採用活動をしていくかの準備ができます。

2024年3月の工業高校(学科)の卒業生数は66,041人(男性:58,274人、女性:7,767人)

工業高校の就職率推移は以下の通りです(令和6年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和5年10月末現在)に関する調査を基に作成)。

近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり若干のマイナス傾向でしたが、概ね6割程度の工業高校生徒が進路選択の結果就職しています。

就職内定率は例年98%~99%で、進学率は30~35%です。

また、同調査によると、工業高校生徒の就職先は製造業が53.5%を占め圧倒的に多く、建設業(17.3%)運輸業・情報通信(5.8%)卸売業・小売業(4.4%)公務(他に分類されるものを除く)(4%)サービス業(3.7%)と続きます。

工業高校生徒の就活の特徴

工業高校の生徒は、早い段階から将来の進路について真剣に考え、具体的な就職活動を進めています。
先ほど見た通り、6割以上の生徒が就職をしますので、早い段階から就職に対する関心が高いのです。

そのため、高校側も生徒の就職活動のフォローを開始する時期が非常に早いという傾向があります。

普通科では2年生の終わり頃に三者面談をし、将来のことについて考える機会を設け始めるケースが多いですが、工業高校では、1年生の頃から業界研究が始まることが多く、卒業後の進路を意識した学習を進めています。

また、2年生になると、具体的な企業の求人票を参考に、自分の進路を決め始める生徒もいます

なので、3年生の7月から高校に採用のアプローチを始めたとしても、生徒はすでに興味のある企業を絞り込んでおり、他の企業の説明会に参加する可能性は低いと言えます。

以上を踏まえ、工業高校生徒の採用を成功させるためのポイントはこちらです↓

 

早めの情報提供: 生徒が1年生の頃から、採用PR物を送付したり、企業説明会やインターンシップなどの情報を提供し、興味を持ってもらうことが大切です。

・学校との連携: 学校の先生と連携し、生徒の進路相談に乗るなど、信頼関係を築くことが重要です。

・企業の魅力を伝える: 自社の魅力を分かりやすく伝え、生徒の興味を引きつけることが大切です。

本当に工業高校からの採用だけで十分?

以上の動向を踏まえ、工業高校の生徒採用一本で取り組むか、もう一度考えてみましょう。
あなたの会社が高校新卒者に求めることは何か?

高校の新卒採用は、その人の将来性を期待して行う「ポテンシャル採用」です。
そこで、具体的にどのような人物像を求めているのか、改めて考えてみましょう。

今一度、あなたの会社の仕事で必要となるスキルを書き出してみてください。
そして、そのスキルを身につけるために、必ずしも工業系の専門知識が必要かどうかを検討してみましょう。

たとえば、「新しいことを学ぶ意欲」や「チームで協力する能力」といったスキルは、どの学科の学生にも備わっている可能性があります。

高卒の新卒社員の大きな特徴は、「素直さ」と「吸収力」です。
専門知識がなくても、学ぶ姿勢さえあれば、短期間で成長することができます。

工業高校だけでなく、普通科や総合学科など、様々な高校に目を向けることで、より多くの優秀な人材と出会うことができます。

採用人物像の設計については、以下の記事を参考にしてみてください。

まとめ

今回は工業高校の生徒の動向と採用するにあたって注すべきポイントをご紹介しました。
高卒採用を始めたばかりの企業にとって、工業高校生徒の採用は、経験豊富な企業と比べて難しいことが多いです。
会社が求める人物像を再確認し、工業高校だけでなく、様々な高校に目を向けてみましょう。

幅広い高校にアプローチして採用実績を作り、その後、工業高校に絞った採用活動を行うのも一つの方法です。
多くの先生、高校生は、企業の採用実績を参考に進路を決める傾向にあります。
そのため、まずは実績を積み重ねることも重要なのです。

高卒採用は、焦らずじっくりと進めることが大切です。
まずは、様々な高校にアプローチし、自社のことを知ってもらう機会を増やしましょう。

 

ミズサキ株式会社では採用支援、採用設計を行っております。
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