求める人物像の作成は採用活動の根幹になります。
採用において「求める人物像」の作成とは、どのような能力や資質、行動特性を持った人物が会社に必要となるのかを明確に示すことです。
「求める人物像」を設定することによって、採用のミスマッチを防げるだけでなく、選考もより効率的、効果的になります。
また、自社に合った人材を採用することで、社内での活躍に期待できます。
今回は求める人物像の具体的な作成方法をお伝えします。
求める人物像の作成前に、あなたの会社で確認し、取り掛かって欲しいことが4つあります。
採用をして、ただ入社してもらうことだけがゴールなら、採用活動は簡単です。
しかし、それであなたの会社は満足でしょうか?
多くの会社では、入社してもらうだけでは不十分だと思います。
「入社後に職場でグングン成長し、活躍する」人材を採用できる。
そしてその人が会社や仕事、周りの社員を好きになり長く働いてもらうことができた時、初めて採用が成功したと言えます。
そのためにはまず、あなたの会社が求めている人物像を満たす求職者に、あなたの会社と求人内容に魅力を感じてもらう必要があります。
そして入社後も、求人票とのギャップがなく生き生きと仕事ができる環境を用意しておかなければなりません。
まずは大前提として、下記の4点の確認、見直しを行ってください。
あなたの会社で働くことで得られるやりがいや意義がなければ、求職者に興味を持ってもらうことも、入職後に会社の期待以上に活躍してもらうこともかないません。
入職者に対して、あなたの会社を好きになってもらい、長く働いてもらうために重要なことです。
モチベーションアップ、ストレスの軽減を会社が積極的に取り組むという姿勢がポイントです。
入職者にとって、会社が満足のいくものでなくなってしまったタイミングで、離職が発生してしまいます。
社員にアンケートをとったり、離職した社員に退職理由を聞き、日々職場環境を改善していきましょう。
労働基準法をはじめ、選考、労働に係る法律が守られているか確認しましょう。
法律が守られていなければ、その時点で求職者が離脱してしまいます。
特に給与、労働日数・時間、残業代等の主要な労働条件に係る部分に問題がないかチェックしましょう。
以上4つの準備と確認が完了してから(採用の土台が十分に出来てから)、いよいよ求める人物像を作成しましょう。
明確な求める人物像なくして自社に合う人材を採用することはできません。
その作成方法をご紹介しますので、是非ご活用ください。
求める人物は、3分野で構成されます。
それがMUST(必須)、BETTER(あれば良いね!)、OUT(採用見送り)の3つ。
この3分野の割合や何が具体的に入るかは、会社がどのような人を採用したいかや採用計画等によって変わってきますが、大枠としてまず用意します。
MUST(必須)はあなたの会社の社員として必ず持っていて欲しい内容です。
このMUST部分に「経歴」や「スキル」を入れてしまうと、「経歴」「スキル」といった表面的な肩書きでの採用になってしまい、入社後のミスマッチに繋がりやすくなります。
実は、採用時に最も見ておくべき求職者の側面は、「人間力」です。
スキルや経験は教育や実践を通して入社後に培ってもらうことが可能です。
しかし、この「人間力」を育てることはなかなか難しいです。
20年以上の生活や友人関係、社会経験から形成された求職者の「人間力」は簡単には変わりません。
そして、この「人間力」が、入社後の成長に大きく影響します。
人間力とは「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」を意味しますが、これを構成する要素を求める人物像のMUST(必須)として用意していきましょう。
BETTER(あれば良いね!)は面接時の加点ポイントになります。
社内で特に活躍している社員が持っている要素や、スキル・経験を入れます。
面接官がこの高評価人物になるポイントを把握しており、かつその他の面接官とも基準が共有されていることが重要です。
活躍人材の採用基準ができることで、”良い採用”に再現性を持たせることができます。
面接官ごとの属人性が解消されるのです。
OUT(採用見送り)はこの要素があれば、他にどれだけ良い要素があっても不採用にするという基準を設けることです。
採用の失敗は会社にとって大きなコストになります。
また、求職者にとっても時間を費やして選考をし、せっかく入職しても合っていない職場ですぐ退職というのは不利益です。
自社に合わない応募者をできるだけ見抜くために用意します。
このOUTには、これまでの退職者の情報が参考になります。
社内でまったく馴染まなかった、活躍しなかった、居心地が悪かったというマイナスな原因で退職した社員の特徴や、その社員の日頃の傾向から分析します。
また、OUTを用意する理由としては、活躍人材の評価点と早期離職者の非評価点の分野が異なる場合をカバーすることができるようになります。
たとえば、あなたの会社の活躍人材が持つ要素として「明確な将来像」があったとして、明確な将来像のない社員でも活躍している社員はいるかも知れません。
反対に、遅刻をする社員はお客さんに対しても不誠実であるため、遅刻はマイナスポイントとなりますが、遅刻を一切しない社員がすなわち活躍する人材とは言い切れません。
このように、活躍する人材の持つ要素と、会社に合わない人材の持つ要素とが異なる分野にあるケースをカバーできるのです。
どのような人が社内で評価が高いか、活躍するかというのは、会社ごとに違いますし、さらに言うと会社の中の部署やチームによっても変わってきます。
会社の社風によって異なるものもあれば、各部署の文化によって合う人材が変わってくることもあるのです。
そこで大事になってくるのが、求める人物像の作成はなるべく社内の該当部署社員、現場社員を巻き込んで作っていくことです。
社員から挙がってきた活躍人材の特長や、「こういう人と一緒に働きたい」という声は大事な参考点になります。
採用した社員が会社や配属先に馴染めるか、また既存社員がしっかりと受け入れられるかに作用します。
積極的に既にいる社員の意見を取り入れていきましょう。
さらに、社員にこのように「実際に採用設計に加わってもらうこと」は、社員のエンゲージメント向上にも繋がります。
先ほどのMUST、BETTER、OUTの中では、OUTが採用しない人物の要件でした。
MUST、BETTERの項目においては、用意したものと反対の表現、特に行動も併せて記載しておくと基準の解像度が高まります。
たとえば、コミュニケーション力が高い ⇔ 面接時に質問が一切ない、といった感じです。
採用したい要素の反対になる行動を用意しておくと、面接官による判断のレベルがぐっと高まります。
さて、ここまで求める人物像の作成方法をご紹介してきました。
最後に、MUST(必須)に入れるべきと筆者が思う項目を理由と共にご紹介します。
もちろん、各項目は会社ごとにそれぞれで構いません。
ただ、多くの会社で共通して使えるような人間力関連の項目があるな、とも筆者は感じています。
ご参考にしていただければと思います。
「コミュニケーション力」の中の一要素です。
話の聞き手に対して、「理解しやすく、聞き取りやすく、行動に移しやすい」話しのできる力です。
先回りして行動できる人です。
相手が考えていることや次に何をしたいかを予想し、その人のために行動する力です。
仕事がうまくいかなかった時の原因を自らに向けて考えることができる人です。
反省し、次に生かしていくことが出来る方で、早い成長に期待できます。
また、自らに原因を求める姿勢を持つ方は、周りからも慕われやすく、結果的に社内での人間関係も良くなる傾向にあります。
目的に向かって周りを巻き込み、周りの行動を喚起する経験をした方です。
仮にリーダーのポジションではなくメンバーのポジションでの活躍を期待している場合にも、リーダー経験があるかを見るのがおすすめです。
リーダーとして組織をまとめたり、推進をした経験があるかどうかが、仕事における目標達成の力、当事者意識に関係するためです。
自分事として働くメンバーが多いチームの方がマネジメントしやすく、成果も出しやすいです。
お客さんや社内で好かれるタイプの要素を持っている方です。
要素の例は下記の通りです。
<好かれる要素>
- 裏表がなく素直
- 話の際には聞きに徹し、まず理解につとめる
- 否定から入らない
- 相手を素直に褒められる
- 感謝が上手
- さわやか、明るい
- 話し上手、聞き上手
- 損得以外でも行動できる
- 不機嫌そうにしない
- 情がある
- 言行一致
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以上、求める人物像の作成方法をご紹介しました。
ミズサキ株式会社では今回のような求める人物像作成を含む採用支援、採用設計を行っております。
また、ご相談を無料で受け付けております。是非お問い合わせください。