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ドライバー採用単価の相場は30万円?車種別の平均コストと費用を抑える5つの手法

ドライバー採用単価の相場は30万円?車種別の平均コストと費用を抑える5つの手法
  • 公開日:2025/12/12
  • 更新日:2025/12/12
藤村俊太郎
この記事を書いた人
藤村俊太郎

愛知県知多市出身。愛知県立明和高校→慶應義塾大学卒業。高卒採用・大卒採用・中途採用のプロフェッショナル。年間4,000件以上の採用をマッチングさせる転職サービスの開発・運用を経験。自社採用部署における、新卒採用の立ち上げ・採用広報部署の立ち上げ・社員定着戦略/仕組みの構築を行う。採用戦略の構築とインハウス化が得意。

「求人を出してもまったく応募が来ない」
「採用エージェントの見積もりが高すぎて、とても予算が降りない」
「やっと採用できたと思ったら1ヶ月で辞めてしまい、採用コストがすべて水の泡になった」

ドライバー採用を担当されている方なら、このような悩みに直面したことが一度はあるのではないでしょうか。経営層からは「コストを抑えろ」と言われ、現場からは「早く人を入れろ」と急かされる。板挟みの中で頭を抱える日々は、本当に苦しいものです。

従来のやり方では人が採れないのは、業界全体の避けられない課題です。

この記事では、曖昧になりがちな「ドライバー採用単価」について、厚生労働省の統計や最新の市場トレンドをもとに徹底的に解説します。

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藤村
単なる平均値だけでなく、「車種別」「手法別」のリアルな適正コストと、採用費を抑えつつ定着率を高めるための具体的なノウハウをお伝えします。

[ 目次 ]

  1. ドライバー採用単価の平均相場は?【手法別比較表あり】
    1. 【一覧表】手法別ドライバー採用コストの相場と特徴
    2. 車種・職種によっても相場は変わる(タクシー・トラック・配送)
  2. なぜ高い?ドライバーの採用費が高騰し続ける3つの理由
    1. 【データ解説】有効求人倍率の推移と「2024年問題」
    2. 構造的な人手不足:高齢化と若手・女性比率の低さ
    3. EC市場拡大による物流需要の増加
  3. 採用コストを無駄にしない!費用を抑える5つのポイント
    1. 自社に最適な「採用媒体」を見極める(専門サイト・検索エンジン)
    2. 求人票(原稿)の「解像度」を極限まで高める【Before/After事例】
    3. 自社サイト・SNS・リファラルで「資産型」の採用を行う
    4. ターゲット(ペルソナ)を絞り込み、歩留まりを改善する
    5. 助成金・支援制度を賢く活用する
  4. 「採用単価」の安さだけで判断してはいけない理由
    1. 「採用単価」より怖い「早期離職コスト」と「教育コスト」
    2. 定着率こそが最強のコスト削減策である
  5. 実際に採用コスト削減・応募増に成功した事例
    1. 事例1:ターゲット設定と媒体選定で応募数増加
    2. 事例2:求人検索エンジンの最適化で採用コストを半減
  6. ドライバー採用に関するよくある質問(FAQ)
    1. タクシードライバーとトラックドライバーで採用単価は違いますか?
    2. ドライバーの中途採用で最も効果的な時期はいつですか?
    3. 未経験ドライバーを採用する際のリスクと対策は?
  7. まとめ
成果報酬型のドライバー採用ならミズサキ

ドライバー採用単価の平均相場は?【手法別比較表あり】

ドライバー1人を採用するためにかかる費用の平均相場は、一般的に「約30万円から」と言われています。

これは、株式会社マイナビの「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」で公表された、業種「運輸・交通・物流・倉庫」の採用者1人あたりの求人広告費が「30.5万円」とされていることから来ていると考えられます。

ただし、この数字をそのまま鵜呑みにするのは危険です。なぜなら、この金額は求人広告費だけで算出したデータであり、さらに全体を均した目安に過ぎないからです。

採用手法別コスト比較マップ

実際には、利用する採用手法によって変わります。ハローワークだけで採用できれば「0円」で済むこともあり、人材紹介会社を利用すると「100万円以上」かかるケースもあります。

平均値だけで予算を組んでしまうと、いざ採用活動を始めたときに「資金が足りない」という事態になりかねません。

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藤村
まずは、採用手法ごとのリアルな費用感と特徴を整理しましょう。

【一覧表】手法別ドライバー採用コストの相場と特徴

採用手法は大きく分けて5つあります。それぞれの費用相場とメリット・デメリットを以下の表にまとめました。自社の予算感や緊急度と照らし合わせてご覧ください。

採用手法

費用相場

メリット

デメリット

向いている企業

ハローワーク

0円

・コストが一切かからない
・地元の求職者にリーチできる

・採用難易度が非常に高い
・若年層の利用者が少ない

・予算が限られている企業
・シニア層を採用したい企業

求人検索エンジン

Indeed
求人ボックス等

数万円〜数十万円
(クリック課金など)

・少額からスタートできる
・求人内容の修正が容易

・運用ノウハウが必要
・放置すると効果が出にくい

・自社でこまめに運用できる企業
・Web採用を強化したい企業

求人媒体

ドラEVER
求人誌等

20〜50万円
(掲載期間による)

・一定期間の露出が保証される
・ドライバー特化型なら質が高い

・採用できなくても費用が発生する
・掛け捨てのリスクがある

・まとまった採用予算がある企業
・特定の期間で募集したい企業

人材紹介・エージェント

年収の30〜35%

・成功報酬型で無駄がない
・面接の手間を省ける

・1人あたりの単価が最も高い
・紹介数が確約されない場合も

・資金力があり即戦力が欲しい企業
・採用担当者の工数を減らしたい企業

リファラル採用・社員紹介

数万円〜10万円
(紹介謝礼のみ)

・マッチ度が高く定着しやすい
・採用コストが非常に安い

・紹介数に限界がある
・人間関係への配慮が必要

・社員満足度が高い企業
・長期的に組織を作りたい企業

車種・職種によっても相場は変わる(タクシー・トラック・配送)

採用単価を左右するのは手法だけではありません。「何のドライバーか」によっても、採用難易度と相場は大きく異なります。ここを見誤ると、適切な媒体を選んでも応募が来ないというミスマッチが起きます。

車種・職種 採用費用相場
タクシー(ハイヤー・タクシー乗務員)

二種免許が必要です。会社側で免許取得費用を負担するケースが多いため、実質的な採用コストは高くなりがちです。

未経験者歓迎の求人も多いですが、接客スキルも求められるため、適性のある人材を見つけるコストがかかります。

大型・中型トラック(長距離・ルート配送)

現在、最も採用難易度が高い領域です。大型免許やフォークリフト免許が必要なケースが多い、経験者が高齢化して引退しているため、即戦力の奪い合いになっています。

人材紹介を利用する場合、紹介手数料が100万円近くになるケースも珍しくありません。

軽貨物・配送(ラストワンマイル)

普通免許(AT限定可)で始められるため、未経験者の母集団形成は比較的容易です。求人検索エンジンやSNS広告などを活用すれば、数万円程度の低コストで採用できる可能性があります。

ただし、競合他社も多いため、労働条件での差別化が必須です。

また、エリアによる格差も無視できません。都市部は求職者も多いですが競合も多く、広告費が高騰しやすい傾向にあります。一方、地方では競合は少ないものの、そもそも労働人口が少ないため、ハローワークだけでは全く人が来ないという事態が頻発します。

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自社が求める人材要件(車種・資格・経験)と、ターゲットとなるエリアの特性をかけ合わせて、最適な予算を設定することが重要です。

なぜ高い?ドライバーの採用費が高騰し続ける3つの理由

「なぜこんなに採用コストがかかるんだ?もっと安くできないのか?」

上司や経営層からこのように詰められ、返答に窮してしまった経験はありませんか。現場の感覚として「人がいない」とは分かっていても、それを論理的に説明するのは難しいものです。

ドライバーの採用費が高騰し続けている背景には、一企業の努力だけではどうにもならない、日本全体の構造的な要因があります。ここでは、社内会議や稟議書でも使える客観的なデータを用いて、その理由を3つの視点から解説します。

【データ解説】有効求人倍率の推移と「2024年問題」

最大の要因は、異常とも言える有効求人倍率の高さです。

厚生労働省の一般職業紹介状況などのデータを見ると、全職種の有効求人倍率が1倍台前半で推移しているのに対し、自動車運転の職業(ドライバー職)は2倍から3倍近い水準で高止まりしています。これは、「ドライバーになりたい人1人」に対して、「ドライバーを欲しがっている企業が2社も3社もある」という状態です。

自動車運転事業者の有効求人倍率の高さ

これだけでも採用難易度の高さが分かりますが、ここに追い打ちをかけたのが「2024年問題」です。働き方改革関連法により、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に「年960時間」という上限規制が適用されました。

●自動車運転の業務
①時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間となります。
②臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)は、
・時間外労働は年960時間以内となります。

引用元:令和6年4月1日から、建設事業、自動車運転の業務についても、時間外労働の上限規制が適用されます。(厚生労働省)

ドライバーの労働時間が制限されるということは、1人が1日に運べる距離や荷物量が減ることを意味します。これまで1人で運べていた荷物を運ぶために、1.2人、1.3人とより多くの人員が必要になりました。法規制を守りつつ事業を維持するために、どの企業も必死で採用活動を行っており、結果として採用単価の相場全体が押し上げられているのです。

構造的な人手不足:高齢化と若手・女性比率の低さ

次に、働き手の「質」の変化による構造的な問題があります。現在の運送業界は、著しい高齢化と若手不足に直面しています。

国土交通省等の統計によると、トラックドライバーの平均年齢は全産業平均と比較して高く、特に大型トラックドライバーでは50歳前後がボリュームゾーンとなっています。一方で、29歳以下の若年層ドライバーの割合は全産業平均を下回っており、新しいなり手が育っていません。

また、女性比率の低さも課題です。全産業では女性就業者が半数近くを占める一方で、トラック運送業における女性比率は数パーセント程度にとどまっています。

  • トラック業界で働く人のうち、約45.2%は40~54歳。
  • 一方、29歳以下の若年層は全体の10%以下。
  • 女性の割合は2.5%と、全産業と比べて極めて低い状況

引用元:トラック運送業の現状等について(国土交通省)

つまり、現在のドライバー採用市場は「減りゆくベテラン経験者」という限られたパイを、多くの企業で奪い合っている状態です。希少価値が高い経験者を採用しようとすれば、当然ながら紹介手数料や広告費は高騰します。この構造が変わらない限り、経験者採用のコストが下がることはないでしょう。

EC市場拡大による物流需要の増加

ドライバー(供給)が減っている一方で、運ぶ荷物(需要)は増え続けています。その主因がEC(電子商取引)市場の拡大です。

ネット通販の利用が日常化したことで、宅配便の取扱個数は右肩上がりに増加しています。

事実、国土交通省が公表している「宅配便取扱実績」によると、宅配便の取扱個数は50億個を超える規模まで拡大を続けており、この10年で物流需要が爆発的に増加していることが裏付けられています。

特に個人宅への配送は、企業間輸送に比べて小口で頻度が高く、再配達の手間も発生するため、配送効率が良くありません。

「運び手は減り、労働時間は制限され、それでも荷物は増え続ける」

この需給ギャップこそが、採用単価高騰の正体です。2025年以降もこのトレンドは続くと予測されており、もはや「いつか相場が下がるだろう」という楽観的な観測は通用しません。

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今の相場が高いのではなく、これが「新しい基準」なのだと認識を改め、早期に対策を打つ必要があります。

採用コストを無駄にしない!費用を抑える5つのポイント

ここまで、ドライバー採用の相場が高騰している背景について解説しました。「構造的に高いなら、もう諦めるしかないのか」と不安に思われたかもしれません。

しかし、諦める必要はありません。相場全体が高騰している中でも、工夫次第で採用単価を平均の半分以下に抑えている企業は存在します。成功している企業に共通しているのは、「ただ漫然と広告費を払う」のではなく、「自社に合った戦略で賢く投資している」という点です。

ここからは、すぐに実践できる具体的なアクションプランを5つ紹介します。

1. 自社に最適な「採用媒体」を見極める(専門サイト・検索エンジン)

一つ目は、採用媒体選びです。知名度があるからといって、テレビCMを流しているような大手総合求人サイトにとりあえず掲載していませんか。

総合サイトは閲覧数こそ多いものの、事務職や営業職を希望するユーザーも多く含まれています。ドライバー志望者にピンポイントで届けるには効率が悪く、結果として「応募単価」が高くなりやすい傾向があります。

ドライバー採用においては、「ドラEVER」や「ドラピタ」といったドライバー特化型の専門サイトの活用を検討してください。これらのサイトには、すでに免許を持っていて転職意欲が高い層が集まっているため、無駄打ちが少なくなります。

また、「求人ボックス」や「Indeed」といった求人検索エンジン(アグリゲーションサイト)の併用も必須です。これらはクリック課金型などで少額から始められる運用型広告が多く、効果を見ながら柔軟に予算を調整できる点が強みです。

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「大手サイトなら安心」という思考停止を捨て、自社の予算とターゲットに最も近い媒体を選び抜くことがコスト削減の第一歩です。

2. 求人票(原稿)の「解像度」を極限まで高める【Before/After事例】

二つ目は、求人原稿の質を上げることです。実はお金をかけずに最も効果が出るのがこの施策です。多くの企業が、「詳細を書くと応募が減るのではないか」と恐れて曖昧な表現を使っていますが、これは逆効果です。今の求職者は失敗を恐れており、情報が少ない求人はスルーします。

以下の「悪い例」と「良い例」を見比べてみてください。

悪い求人例 良い求人例
月給25万円〜
アットホームな職場です。
未経験者歓迎!ドライバー募集。
月収32万円可能(基本給25万円+歩合7万円/入社1年目の平均実績)
1日の配送件数は約15件。手積み手下ろしはなく、カゴ車を利用するため体力の不安はありません。
40代で飲食業から未経験入社した先輩が、全体の8割活躍中です。

良い例のほうが、自分が働いている姿を具体的にイメージできるはずです。

具体的な数字や事実を書くことで、本気度の高い求職者の目に留まりやすくなります。「とりあえず応募」のような質の低い応募を減らし、マッチ度の高い人材からの応募率を高めることが、結果的に採用単価(CPA)を下げることにつながります。

3. 自社サイト・SNS・リファラルで「資産型」の採用を行う

三つ目は、掛け捨ての広告費に依存しない体制作りです。求人媒体への掲載は即効性がありますが、掲載期間が終われば情報は消え、効果はゼロになります。これを続けている限り、永遠にコストがかかり続けます。

一方で、自社の採用サイト(LP)やSNSアカウントは、一度作れば企業の「資産」として残ります。特に自社採用サイトを充実させておくと、検索エンジンに自動で読み込まれる(クローリングされる)ようになり、広告費をかけずに流入を得られるチャンスが広がります。

また、社員に知人を紹介してもらう「リファラル採用」も強力な資産型手法です。紹介してくれた社員に数万円から10万円程度の謝礼を支払ったとしても、紹介会社に数十万円払うよりはるかに安価です。さらに、社員が「うちの会社いいよ」と紹介するわけですから、入社後の定着率も極めて高いのが特徴です。

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藤村

自社の採用サイトをすぐに用意できない場合は、文章での情報発信とSNSでの拡散が容易な「note」のアカウントを開設しましょう。採用ブログとして運用すると、応募率や早期退職に効果的です。

noteで採用ブログを運用するノウハウは、以下の記事で詳しく解説しています。

4. ターゲット(ペルソナ)を絞り込み、歩留まりを改善する

四つ目は、ターゲットの絞り込みや採用ペルソナの作成です。「誰でもいいから来てほしい」というスタンスは、結局「誰にも刺さらない」求人になります。

また、ターゲットを広げすぎると、自社の条件に合わない人からの応募対応や、面接での見極めに膨大な時間(人件費)を取られることになります。これでは見えないコストが膨らむばかりです。

「30代の即戦力」が欲しいのか、「40代・50代の未経験者」でも良いのか。後者であれば、研修制度の充実をアピールすることで、競合他社が取りこぼしている層を安く採用できるかもしれません。

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藤村
ターゲットを明確にすることで、採用プロセスの歩留まりを改善し、効率的な採用を実現しましょう。

5. 助成金・支援制度を賢く活用する

五つ目は、国や自治体の制度活用です。採用にかかる実質的なキャッシュアウトを抑えるために、助成金は見逃せません。

例えば、職業経験の不足などにより就職が困難な求職者を、ハローワーク等の紹介で一定期間試行雇用する場合に支給される「トライアル雇用助成金」があります。また、雇用管理制度の導入等によって離職率を低下させた事業主に支給される「人材確保等支援助成金」なども存在します。

これらの手続きには多少の手間がかかりますが、数十万円単位で受給できるケースもあり、採用コストを補填する大きな助けとなります。使える制度がないか、社会保険労務士やハローワークに相談してみることを強くおすすめします。

「採用単価」の安さだけで判断してはいけない理由

前章では採用コストを抑えるテクニックをお伝えしましたが、ここで一つ、非常に重要な視点をお伝えしなければなりません。

それは、「採用単価(1人採用するのにかかった費用)」の安さだけを追い求めてはいけない、ということです。

経営会議などで「A社は30万円かかるが、B社なら5万円で済む」となれば、当然B社を選びたくなるでしょう。しかし、ここに大きな落とし穴があります。もしB社で採用した人がすぐに辞めてしまったらどうなるでしょうか。目に見える採用費以外にも、企業には多大なダメージが残ります。

「採用単価」より怖い「早期離職コスト」と「教育コスト」

「ハローワークで無料で採用できたからラッキーだ」と思っていたドライバーが、入社1ヶ月で「思っていた仕事と違う」と言って辞めてしまった。このケースで会社が被る損失をシミュレーションしてみましょう。

まず、採用単価は0円です。しかし、入社手続きや健康診断、制服や安全靴の支給で5万円程度の経費がかかります。さらに痛いのが教育コストです。未経験者の場合、先輩ドライバーが横に乗って指導する「同乗研修」が必須です。指導役の先輩は自分の配送効率を落として指導にあたるため、その人件費や機会損失は1ヶ月で20万円から30万円相当に上ることもあります。

「目先のコスト」だけでなく「隠れたコスト」にも注目しましょう

これらを合計すると、たとえ採用費が0円でも、1ヶ月で辞められれば30万円以上の赤字が確定します。さらに、また一から募集をかけ直す手間と時間も発生します。

一方で、紹介会社に50万円を支払って採用したとしても、その人が3年、5年と定着し、無事故で稼いでくれるなら、長期的なコストパフォーマンスは圧倒的に良くなります。

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「採用単価」はあくまで入り口のコストに過ぎません。「定着して戦力化するまでの総コスト」で見なければ、安物買いの銭失いになってしまうリスクがあることを、常に意識しておく必要があります。

定着率こそが最強のコスト削減策である

極論を言えば、今いるドライバーが誰も辞めなければ、採用コストはゼロになります。つまり、定着率を高めることこそが、最も確実で効果的なコスト削減策なのです。

運送業界では長年「仕事は見て覚えろ」という職人気質の指導が一般的でしたが、今の時代、それでは若手や未経験者は定着しません。

教育マニュアルを整備して教える内容を標準化したり、入社後3ヶ月間は定期的に面談を行って不安を解消したりといった「手間」をかけてください。一見遠回りに見えますが、これらの施策によって離職率を10%下げるだけで、年間数百万円規模の採用コスト削減につながる事例も珍しくありません。

採用(入り口)と定着(出口)をセットで考え、LTV(従業員が生涯で生み出す価値)を最大化させる視点を持つことが、採用難時代を生き抜く唯一の道です。

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実際に採用コスト削減・応募増に成功した事例

「理屈はわかったけれど、本当にそんなにうまくいくのか?」と思われる方もいるかもしれません。

ここでは、弊社ミズサキが実際にコンサルティング・採用代行を担当した企業の事例をもとに、「媒体選び」と「伝え方」を変えることで、採用難を乗り越えた具体的な成功事例を2つ紹介します。

自社に置き換えてシミュレーションしてみてください。

事例1:ターゲット設定と媒体選定で応募数増加

東京都にある運送会社では、正社員ドライバーの応募がほとんどなく、業務委託のドライバーから正社員に登用するという方法で人材を確保していました。

弊社がヒアリングを行い、採用ターゲットを2タイプに分類。ターゲットごとに求人原稿での訴求内容を変更。ターゲットにあわせて掲載求人媒体も選定し直しました。

その結果、正社員求人で募者を獲得。特に30代の若手ドライバーを中心に採用を実現しています。

事例2:求人検索エンジンの最適化で採用コストを半減

福岡県の運送会社では、求人サイトを利用しても応募が入らず、人材紹介会社の高額な採用単価にコストを圧迫されていました。

弊社が実施した施策は、Indeedを中心とした求人検索エンジンのテコ入れです。原稿には車種ごとの仕事内容と入社するメリットを詳細に記載して、求人を見た求職者が魅力を感じる求人に改変しました。

結果、目標通りの採用に成功しつつ、採用コストを人材紹介の約半分まで削減することに成功。人材紹介だけに頼らず、運用型広告を賢く使い分けた好例です。

ドライバー採用に関するよくある質問(FAQ)

最後に、ドライバー採用について現場の担当者様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。疑問を解消して、自信を持って次のアクションへ進んでください。

Q. タクシードライバーとトラックドライバーで採用単価は違いますか?

A. はい、傾向は異なります。一般的にタクシードライバーの採用単価は、トラックドライバーよりも高くなりやすい傾向にあります。

理由は主に2つあります。1つ目は資格取得コストです。タクシー業務には「二種免許」が必須ですが、未経験者を採用する場合、その取得費用(20万円から30万円程度)や、教習期間中の給与を会社側が負担することが多いため、初期投資が膨らみます。2つ目は、接客業としての適性も求められるため、単純な運転スキルだけでは採用できず、母集団形成にコストがかかる点です。

Q. ドライバーの中途採用で最も効果的な時期はいつですか?

A. 求職者が活発に動くのは、一般企業のボーナス支給後にあたる「1月〜2月」と「7月〜8月」です。この時期は転職サイトへのアクセス数が増えるため、求人を掲載するタイミングとして狙い目です。

また、物流業界全体の繁忙期(3月、7月、12月など)の直前は、競合他社も一斉に募集をかけるため、採用単価が高騰しやすくなります。あえてその時期を外し、閑散期にじっくりと良い人材を探して教育しておくというのも、賢い戦略の一つです。

Q. 未経験ドライバーを採用する際のリスクと対策は?

A. 未経験者採用の最大のリスクは「事故」と「早期離職」です。運転に慣れていないことによる接触事故や、体力的なきつさに耐えられずすぐに辞めてしまうケースが懸念されます。

対策としては、研修期間を長めに設定することです。先輩ドライバーが助手席に乗って指導する「同乗研修」を、本人が自信を持つまで十分に行うことが事故防止につながります。また、メンター制度を導入し、業務以外の悩みも相談できる環境を作ることで、孤独感を和らげ、定着率を高めることができます。

まとめ

この記事では、ドライバー採用単価の相場とその内訳、そしてコストを抑えながら良い人材を採用するための戦略について解説してきました。

ポイントを改めて整理します。

この記事のポイント
  • ドライバー採用単価の相場は約30万円と言われている。
  • ハローワークから人材紹介まで手法によって0円から100万円以上まで幅がある。
  • 採用費高騰は今後も続くと予測される。
  • コストを抑えるには、知名度だけで媒体を選ばないこと。
  • 自社のターゲットに合った専門サイトや検索エンジンを使い分けることが重要。
  • 最も効果的なコスト削減策は、求人原稿の解像度を高めてミスマッチを防ぐこと。

「うちは予算がないから無理だ」と諦める必要はありません。まずは今ある求人票を見直すことから始めてみてください。

「月給◯◯万円〜」とだけ書かれた箇所に、具体的なモデル月収を書き加えてみる。「ドライバー募集」というタイトルに、「未経験でも安心の同乗研修あり」と一言付け加えてみる。

そんな小さな改善の積み重ねが、採用単価を劇的に下げ、会社の未来を支える優秀なドライバーとの出会いを引き寄せます。ぜひ今日から、できる一歩を踏み出してください。

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