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運送業の採用ブランディング完全ガイド|SNS戦略から成功事例まで徹底解説

運送業の採用ブランディング完全ガイド|SNS戦略から成功事例まで徹底解説
  • 公開日:2025/12/15
  • 更新日:2025/12/15
藤村俊太郎
この記事を書いた人
藤村俊太郎

愛知県知多市出身。愛知県立明和高校→慶應義塾大学卒業。高卒採用・大卒採用・中途採用のプロフェッショナル。年間4,000件以上の採用をマッチングさせる転職サービスの開発・運用を経験。自社採用部署における、新卒採用の立ち上げ・採用広報部署の立ち上げ・社員定着戦略/仕組みの構築を行う。採用戦略の構築とインハウス化が得意。

求人媒体に数十万円の掲載費を払っても、応募が1件も来ない。
やっと面接に来てくれたと思ったら、翌日に辞退の連絡が入る。
採用コストばかりが積み上がり、現場は慢性的な人手不足で疲弊している。

運送業界の経営者様や採用担当者様から、このような切実な悩みをよく伺います。「うちは大手のように高い給料が出せないから」「仕事がきついから仕方がない」と、半ば諦めてしまってはいないでしょうか?

しかし、応募が来ない本当の原因は、給与や待遇の差だけではありません。最大のボトルネックは、自社の魅力が正しく伝わっていない、あるいは知られていないことにあります。

この記事では、実際に成果を出している運送会社の成功事例を徹底分析し、採用ブランディングの戦略から、明日すぐに実践できるSNS発信のネタまでを網羅的に解説します。最新のWeb活用トレンドに基づいた、運送業ならではの勝ち筋をお伝えします。

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[ 目次 ]

  1. なぜ今、運送業に「採用ブランディング」が不可欠なのか?
    1. 「給与条件」だけでは選ばれない?求職者の情報収集行動の変化
    2. 2024年問題とドライバー高齢化を勝ち抜く「選ばれる会社」の条件
  2. 運送会社の採用ブランディング導入・3つのメリット
    1. 母集団形成:潜在層への認知拡大と応募数アップ
    2. マッチング精度向上:ミスマッチによる早期離職の防止
    3. インナーブランディング:既存ドライバーの誇りと定着率向上
  3. 【実践編】運送業の採用ブランディング構築・3ステップ
    1. STEP1:自社の「らしさ」の棚卸し(コンセプト設計)
    2. STEP2:誰に刺すか?ターゲット別の「訴求軸」設計【具体例あり】
    3. STEP3:最適な「伝える場所」を選ぶ(Webサイト・SNS・動画)
  4. 応募が殺到する!運送業ブランディングの「キラーコンテンツ」とは
    1. 「トラック・車両」は最強の武器!設備を魅せるビジュアル戦略
    2. 「現場のリアル」こそ信頼の証!社員インタビューと日常風景
  5. Webサイト×SNS×地図対策の「トリプルメディア戦略」
    1. SNS(Instagram/TikTok)で「認知」と「親近感」を獲得する
    2. 採用サイト(オウンドメディア)で「信頼」と「応募」を決める
    3. Googleビジネスプロフィール(MEO)で「地元の評判」を制する
  6. 中小運送会社でもできる!採用ブランディング・スモールスタートの始め方
    1. 予算がなくても大丈夫?まずはスマホ1台からの情報発信
    2. 失敗しないための注意点:継続性と「盛らない」勇気
  7. 運送業の採用ブランディングに関するよくある質問(FAQ)
    1. 採用ブランディングは制作会社に頼むべきですか?自社でやるべきですか?
    2. SNSをやっても炎上が怖いです。対策はありますか?
    3. 効果が出るまでにどのくらいの期間が必要ですか?
  8. まとめ:採用ブランディングは「会社の未来」への投資

なぜ今、運送業に「採用ブランディング」が不可欠なのか?

運送業界における採用難は、単なる人口減少だけの問題ではありません。より深刻なのは、求職者の仕事選びにおける「行動心理」が劇的に変化している点です。

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藤村
ここでは、なぜ従来のやり方が通用しなくなったのか、そして今なぜブランディングに取り組む必要があるのかを解説します。

「給与条件」だけでは選ばれない?求職者の情報収集行動の変化

求職者の仕事探しにおける情報収集行動の変化と裏取り検索の図解

かつて、ドライバーの採用活動といえば、紙の求人誌や折込チラシに条件を載せ、電話を待つのが主流でした。給与と休みの日数さえ良ければ、応募が集まった時代です。

しかし、現在はまったく状況が異なります。求職者は求人サイトで気になる会社を見つけると、応募ボタンを押す前に必ずと言っていいほど「裏取り」を行います。

具体的には、以下の3つの行動をとります。

スマホで「会社名」を検索し、ホームページがあるか確認する

SNS(InstagramやTikTok)で検索し、社長や社員の顔、職場の雰囲気を探る

Googleマップの口コミを見て、評判や悪口がないかチェックする

事実、エン・ジャパン株式会社の調査によると、転職活動中に口コミを見る人は約半数。そのうちのほとんどが応募前に見ていることがわかっています。

もし、Web上に自社の情報がほとんど出てこなかった場合、求職者はどう感じるでしょうか。「この会社、実態があるのかな?」「情報を隠しているブラック企業かもしれない」と不安を抱き、その時点で選択肢から外してしまいます。

約7割が、社員クチコミの影響で応募や選考、内定を「辞退をしたことがある」と回答。

つまり、現代の採用市場において、Web上で自社の情報を発信していないことは「存在しない」のと同じ意味を持つのです。給与条件で勝負する以前に、土俵にすら上がれていない可能性があります。これが、採用ブランディングが不可欠である最大の理由です。

2024年問題とドライバー高齢化を勝ち抜く「選ばれる会社」の条件

2024年問題による労働時間の規制や、ドライバーの高齢化に伴い、人材獲得競争は激化の一途をたどっています。

この状況下で、多くの企業が「賃上げ」による人材確保に動いています。しかし、資金力のある大手企業ならいざ知らず、中小運送会社が給与の金額だけで勝負を挑むには限界があります。無理な賃上げは経営を圧迫し、持続可能ではありません。

そこで重要になるのが、「条件競争」からの脱却です。採用ブランディングによって「この会社の雰囲気が好きだ」「この社長の下で働きたい」「ここのトラックに乗りたい」という独自の価値を伝えることができれば、他社より給与が多少安くても、あるいは同条件であっても、選ばれる確率が格段に高まります。

これを「指名応募」と呼びます。ブランディングに成功している企業は、この指名応募の割合が高く、結果として採用コストを抑えながら質の高い人材を確保できています。

採用ブランディングは、単なる見栄えの良い広告を作ることではありません。自社独自の価値を伝え、共感してくれる仲間を集めるための、運送会社にとって唯一の生存戦略といえます。

運送会社の採用ブランディング導入・3つのメリット

採用ブランディングに取り組むことは、単に見た目を良くすることではありません。経営者の視点で言えば、明確なリターンが見込める「投資」です。

ここでは、ブランディングを導入することで得られる、経営インパクトの大きい3つのメリットを解説します。

1. 母集団形成:潜在層への認知拡大と応募数アップ

最大のメリットは、求人媒体だけでは出会えなかった層にアプローチできる点です。

一般的な求人サイトや折り込みチラシを見ているのは、今すぐ転職したいと考えている「顕在層」だけです。しかし、この層は競合他社との奪い合いが激しく、採用単価も高騰しがちです。

一方で、採用ブランディング、特にSNSを活用した情報発信は「潜在層」に届きます。潜在層とは、今は積極的に転職活動をしていないものの、「今の会社に少し不満がある」「良い会社があれば話を聞いてみたい」と考えている層のことです。

事実、LinkedIn(リンクトイン)の調査によると、労働市場全体の約75%が、積極的に仕事を探していないものの、良い話があれば聞きたいと考えている「潜在的な候補者(パッシブ・キャンディデート)」であるとされています。

例えば、休憩中に何気なくInstagramを見ていたドライバーが、御社のきれいに洗車されたトラックや、社員同士が楽しそうに話している動画を目にしたとします。「この会社、雰囲気が良さそうだな」と興味を持ち、フォローしてくれるかもしれません。

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藤村
この接点を作っておくことで、そのドライバーがいざ転職を考えたときに、真っ先に御社を思い出してもらえます。求人媒体の掲載期間に縛られず、自社独自の採用ルートを構築できるのが大きな強みです。

2. マッチング精度向上:ミスマッチによる早期離職の防止

2つ目のメリットは、入社後のミスマッチを減らし、早期離職を防げることです。

「採用してもすぐに辞めてしまう」というケースの多くは、入社前に抱いていたイメージと、実際の現場とのギャップが原因です。求人票の良いことばかり書かれた情報を見て入社し、現場の厳しさに直面して心が折れてしまうのです。

実際に、エン株式会社の調査によると、転職者の約9割が「入社後にギャップを感じたことがある」と回答しており、その原因として「職場の雰囲気」や「仕事内容」が上位を占めていることが明らかになっています。

約9割が「入社後にギャップを感じた経験がある」と回答。
(中略)
約7割が、入社後ギャップが理由で転職を考えた経験あり。

採用ブランディングでは、仕事のやりがいだけでなく、大変さや厳しさも含めた「ありのままの姿」を発信します。例えば、手積み手降ろしの作業風景や、雨の日の配送の様子なども隠さずに見せます。

一見すると応募が減るように思えるかもしれません。しかし、楽な仕事を求めている人は応募を控えるようになり、逆に「稼ぐために汗を流したい」「体力には自信がある」という自社にマッチした人材だけが集まるようになります。

採用コストだけでなく、入社後の教育にかかる時間や、採用担当者の労力といった見えないコストの削減にもつながります。

3. インナーブランディング:既存ドライバーの誇りと定着率向上

3つ目は、意外と見落とされがちですが、既存社員の定着率向上という効果です。

採用向けに作ったかっこいいWebサイトやプロモーション動画は、実は社内の人間が一番よく見ています。

自分の会社が外向けに魅力的に発信されているのを見ると、ドライバーは「自分は良い会社で働いているんだ」という誇りを感じることができます。また、ご家族に「これが俺の会社だよ」とWebサイトを見せて紹介するケースも少なくありません。

家族から「お父さんの会社、素敵だね」と言われれば、仕事へのモチベーションは自然と高まります。

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藤村
外に向けた発信が、結果として中の社員の愛社精神を高め、離職を防ぐ。この好循環を作れることこそ、採用ブランディングの真の価値と言えます。

【実践編】運送業の採用ブランディング構築・3ステップ

メリットをご理解いただいたところで、ここからは具体的な実践手順に入ります。

「ブランディング」と聞くと、難解なマーケティング用語や高額なコンサルティングが必要だと思われるかもしれません。しかし、基本となるのは以下の3つのステップだけです。

抽象的な理論ではなく、今日から社内で話し合えるワークシートのように手順を整理しました。

STEP1:自社の「らしさ」の棚卸し(コンセプト設計)

最初のステップは、自社の「強み」や「らしさ」を見つけることです。ここで重要なのは、経営者や役員の思い込みだけで決めず、現場で働くドライバーの声に耳を傾けることです。

経営者が「うちはアットホームだ」と思っていても、現場では「単に干渉が激しいだけ」と感じられているかもしれません。逆に、経営者が「当たり前」だと思っていることが、他社にはない強みであるケースが多々あります。

例えば、以下のような些細な日常が、立派なブランディングの種になります。

些細な日常 アピールできる強み
洗車を徹底している 「きれいなトラックに乗れる」「道具を大切にする文化がある」という強みになります。
挨拶の声が大きい 「人間関係が良い」「活気がある」という証明になります。
全車にタブレット導入 「伝票の手書きが不要」「IT化が進んでいて働きやすい」というアピールになります。

現場のドライバーに「うちの会社のどこが好きですか?」「他社よりマシなところはどこですか?」と聞いてみてください。そこに出てきたリアルな言葉こそが、飾らない自社のコンセプトになります。

STEP2:誰に刺すか?ターゲット別の「訴求軸」設計【具体例あり】

自社の強みが見えたら、次はそれを「誰に」伝えるかを決めます。

「やる気のある人なら誰でもいい」という全方位に向けたメッセージは、結局誰の心にも刺さりません。欲しい人材のターゲットを絞り、その人が最も魅力に感じるポイント(訴求軸)を尖らせる必要があります。

以下に、ターゲット別の具体的な訴求メッセージの例を挙げます。自社が狙う層に合わせて、言葉を選んでみてください。

ターゲット別・刺さるメッセージの具体例

ターゲット 訴求ポイント メッセージ例
若手・未経験層 成長、カッコよさ、安心感 「免許取得費用は全額会社負担」「未経験から3年で年収〇〇万円」「最新のカスタムトラックに乗れる」「IT点呼で無駄な待ち時間なし」
女性ドライバー 設備環境、体力への配慮、働きやすさ 「女性専用の更衣室とトイレ完備」「カゴ台車・パレット輸送で力仕事なし」「保育園のお迎えに間に合う16時退社コースあり」
経験者・ベテラン層 稼ぎ、車両スペック、休日の確実性 「長距離なしで月給〇〇万円保証」「1人1車制でカスタム自由」「週末は必ず家に帰れる運行スケジュール」「退職金制度あり」

このように、相手が何に不安を感じ、何を求めているかを先回りして提示することで、「自分のための求人だ」と感じてもらうことができます。

STEP3:最適な「伝える場所」を選ぶ(Webサイト・SNS・動画)

最後に、そのメッセージをどこで発信するか(媒体選定)を決めます。ターゲットが普段スマホで何を見ているかに合わせるのが鉄則です。

ターゲット 伝える場所 理由
若手・女性層 SNS(TikTok・Instagram) 文章よりも、動画や写真で直感的に雰囲気を伝えます。短い動画でトラックのカッコよさや、職場の明るい雰囲気を流れてくるタイムラインで認識させます。
経験者・ベテラン層 Web検索・YouTube・Indeed 仕事内容や条件をしっかり吟味したいこの層は、Google検索やIndeedで求人を探します。また、YouTubeで長尺のトラック紹介動画や、実際の配送ルート解説などを見ると、専門的な関心を満たせます。

「とりあえず流行っているからSNSをやる」のではなく、「ターゲットに届けるために最適な場所を選ぶ」という視点を持ってください。これが最短距離で成果を出すコツです。

応募が殺到する!運送業ブランディングの「キラーコンテンツ」とは

ターゲットと媒体が決まったら、次は「具体的にどんな内容を発信すればいいのか」というコンテンツ制作の段階に入ります。

ここで難しく考える必要はありません。実は運送業には、他業界が羨むような「映える」素材がすでに手元にたくさんあります。

求職者が思わず画面を止めて見てしまう、運送業ならではの2大キラーコンテンツをご紹介します。

「トラック・車両」は最強の武器!設備を魅せるビジュアル戦略

綺麗に整備されたトラック

1つ目の最強コンテンツは、皆さんが毎日使っている「トラックそのもの」です。

ドライバーにとって、トラックは単なる移動手段ではありません。1日の大半を過ごす「自分の城」であり、仕事を共にする「相棒」です。そのため、車両に対するこだわりや扱われ方は、会社選びの決定的な要因になります。

求職者は、トラックの写真一枚から多くの情報を読み取っています。

例えば、きれいに洗車され、タイヤのホイールまで磨き上げられた車両が並んでいる写真。「この会社は道具を大切にする規律がある」「メンテナンスにコストをかけているから、経営状態も安定しているはずだ」と判断されます。

逆に、泥だらけで傷のついたトラックばかり写っていれば、「忙しすぎて手入れもさせてもらえないのか」「整備不良で事故が起きないか」と不安を与えてしまいます。

投稿する際は、以下のポイントを意識してみてください。

POINT
  • 新車納車の様子: 「最新設備に投資している」という企業の成長性をアピールできます。
  • こだわりのカスタムや内装: 1人1車制で自分好みにできるなら、その自由度は経験者にとって魅力です。
  • 洗車風景: 愛車を大切にするドライバーの姿は、プロ意識の高さを伝えます。
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藤村
言葉で「社員を大切にします」と書くよりも、ピカピカに整備されたトラックを1枚見せる方が、会社の姿勢は雄弁に伝わります。

「現場のリアル」こそ信頼の証!社員インタビューと日常風景

社員インタビューのイメージ画像

2つ目は、そこで働く「人」の姿です。

採用サイトを作る際、プロのカメラマンに依頼して、腕組みをした集合写真や、不自然なほど笑顔の作業写真を撮りがちです。しかし、求職者が見たいのは「作られた広告」ではなく「日常のリアル」です。

実は、スマートフォンで撮影した手ブレのある動画や、加工していない写真のほうが、SNS上では反応が良い傾向にあります。

「本当に休憩時間は取れているのか」「先輩は怖くないか」といった求職者の不安を解消するには、嘘のない日常を見せるのが一番です。

POINT
  • 積み込み作業のタイムラプス動画: プロの技術や、パレット輸送で身体への負担が少ない様子を可視化します。
  • 休憩所の雑談風景: 飾らない笑顔や、先輩後輩が冗談を言い合う空気感は、文章では絶対に伝わりません。
  • 点呼の様子: 安全管理がしっかり行われているという安心感を与えます。

「顔出しは恥ずかしい」という社員がいる場合は、無理強いする必要はありません。運転席を握る手元、洗車をしている後ろ姿、あるいは西日を浴びて走るトラックのシルエットだけでも十分です。

かっこよく見せようと背伸びをする必要はありません。汗をかいて働く姿や、真剣な眼差しこそが、同じプロのドライバーの心を動かす信頼の証となります。

Webサイト×SNS×地図対策の「トリプルメディア戦略」

魅力的なコンテンツ(素材)が揃ったら、次はそれを効果的に届ける仕組みを作ります。

ここで重要なのは、SNSだけ、Webサイトだけと単発で考えるのではなく、3つのメディアを連携させることです。それぞれの役割を理解し、求職者をスムーズに応募へと誘導する「採用ブランディングの勝ちパターン」を解説します。

運送業の採用におけるSNS・Webサイト・Googleマップ(MEO)の連携戦略図

SNS(Instagram/TikTok)で「認知」と「親近感」を獲得する

まず、入り口となるのがSNSです。InstagramやTikTokの役割は、まだ転職を本気で考えていない層も含めて「認知」を広げ、「親近感」を持ってもらうことです。

運用において最も大切なのは、「バズらせようとしない」ことです。

再生回数を稼ぐために、ダンスを踊ったり、過激なことをする必要は全くありません。運送会社のSNS採用で重要なのは、100万人の一般人に見られることではなく、たった10人の「地元のドライバー」に届くことです。

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藤村
「今週も無事故で帰ってきました」「今日は社長が差し入れをしてくれました」といった、飾らない日常を継続的に発信し続けてください。「この会社、いつも楽しそうだな」と刷り込むことができれば、SNSの役割は十分に果たせています。

採用サイト(オウンドメディア)で「信頼」と「応募」を決める

SNSで興味を持ってくれた人が、次に必ず訪れるのが自社の「採用サイト(または採用ページ)」です。この場所の役割は、企業の信頼性を証明し、最終的な「応募」を決断させることです。

SNSは流れていく情報ですが、Webサイトは蓄積された情報です。ここで情報がスカスカだと、「SNSでは楽しそうだけど、ちゃんとした会社なのかな?」と不安になって離脱されてしまいます。

募集要項の給与や条件だけでなく、以下のようなコンテンツを充実させて、「ここなら大丈夫だ」という確信を与えてください。

コンテンツ種類 コンテンツの内容
1日の仕事の流れ 出社から退社までを時系列で紹介し、働き方をイメージさせる。
キャリアパス事例 入社3年目でどれくらい稼げるか、管理職への道はあるかを示す。
よくある質問(FAQ) 未経験者の不安や、休日の取り方など、聞きにくい疑問に答える。

SNSが「雰囲気」を伝える場所なら、Webサイトは「事実と詳細」を伝える場所です。この2つが揃って初めて、求職者は安心して応募ボタンを押すことができます。

Googleビジネスプロフィール(MEO)で「地元の評判」を制する

Googleマップ検索における運送会社の口コミとビジネスプロフィールの表示例

そして、多くの運送会社が見落としている、しかし極めて重要なのが「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」の活用です。これはGoogleマップ上に表示される店舗情報のことで、地域密着の採用において強力な武器になります。

地元の求職者は、「〇〇市 運送会社」といったキーワードで検索します。その際、検索結果の最上部に地図と共に表示されるのがこの情報です。

ここで重視されるのが「口コミ」です。星の数やコメントの内容は、そのまま会社の評判として受け取られます。「面接官の対応が高圧的だった」「マナーの悪い運転をしていた」といったネガティブな口コミが放置されていると、それだけで応募の機会損失になります。

対策として、以下の3点を徹底してください。

徹底すること 詳細
基本情報の整備 住所、電話番号、Webサイトへのリンクを正確に登録する。
写真をアップする トラックや外観の写真を登録し、視覚的にアピールする。
口コミへの返信 良い口コミには感謝を、悪い口コミには真摯な謝罪と改善の姿勢を返信する。

特に悪い口コミへの誠実な対応は、それを見た第三者(求職者)に対して「しっかりした対応ができる会社だ」というポジティブな印象を与えるチャンスにもなります。無料でできる対策ですので、今すぐ確認することをお勧めします。

中小運送会社でもできる!採用ブランディング・スモールスタートの始め方

ここまでお読みになって、「やれることは分かったが、うちは予算も人も足りない」と頭を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、大手がやっているような数百万円かけたリニューアルや、プロによる動画制作はハードルが高いものです。しかし、採用ブランディングはお金をかけなければできないわけではありません。

むしろ、中小企業ならではの機動力を活かした「スモールスタート」こそが、成功への近道です。今日からできる、低コストな始め方をお伝えします。

予算がなくても大丈夫?まずはスマホ1台からの情報発信

結論から申し上げますと、いきなり高額な採用サイトを制作する必要はありません。まずは手元のスマートフォン1台と、無料のツールを使って情報を発信することから始めてください。

なぜなら、どれだけ立派なWebサイトという「箱」を作っても、そこに入れる「中身(写真や言葉)」がなければ、求職者の心は動かないからです。まずは素材を蓄積することが先決です。

具体的におすすめなのは、以下の3つのステップです。

SNSアカウントの開設(コスト0円)

InstagramやX(旧Twitter)のアカウントを会社名で作成します。これらは無料で、今すぐに始められます。

既存ブログの活用(コスト0円)

すでに会社のホームページをお持ちなら、「お知らせ」や「ブログ」コーナーを活用します。特別なシステム改修をしなくても、日々の出来事を投稿するだけで立派なメディアになります。

noteなどの無料ブログ(コスト0円)

自社サイトの更新が難しい場合は、noteなどの無料プラットフォームを使って、社長の想いや社員インタビューを記事にします。

まずは、洗車したトラックの写真や、社内バーベキューの様子を1枚アップすることから始めてみてください。完璧を目指す必要はありません。その積み重ねが、半年後には自社独自の強力な資産になっています。

失敗しないための注意点:継続性と「盛らない」勇気

お金をかけずに始める際、気をつけていただきたい落とし穴が2つあります。それは「更新の停止」「情報の盛りすぎ」です。

最も避けるべきなのは、意気込んで始めたSNSやブログが、1ヶ月で更新ストップしてしまうことです。最終更新日が3年前のWebサイトを見た求職者は、「この会社、もう稼働していないのでは?」「管理が行き届いていない」と不安を感じてしまいます。

これを防ぐためには、最初から無理な目標を立てないことが重要です。「毎日更新」は挫折のもとです。「毎週金曜日の午後に1回だけ投稿する」と決め、担当者を一人に押し付けずに現場で持ち回りにするなど、業務の負担にならないルールを決めてください。

また、自社を良く見せようとして情報を「盛る」のも危険です。「楽な仕事です」「誰でも稼げます」といった実態とかけ離れたアピールは、一時的に応募を増やせても、入社後の「こんなはずじゃなかった」という早期離職を招きます。

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藤村
「夏場の積み下ろしは暑くて大変ですが、空調服を支給しています」といったように、厳しさも含めて正直に(等身大で)伝える勇気を持ってください。その誠実さが、結果として長く働いてくれる良い人材を引き寄せます。

運送業の採用ブランディングに関するよくある質問(FAQ)

最後に、いざ採用ブランディングに取り組もうとした際に、多くの経営者様や担当者様が直面する疑問や不安にお答えします。

失敗を避けるためのリスク管理や、予算判断の基準としてお役立てください。

Q. 採用ブランディングは制作会社に頼むべきですか?自社でやるべきですか?

A. フェーズ(段階)によって使い分けるのが最もコストパフォーマンスが良い方法です。

まだ何も発信していない初期段階であれば、まずは自社でSNSやブログを運用することをお勧めします。理由は2つあります。一つは、外部の人間には「御社ならではの日常の空気感」を捉えるのが難しいため。もう一つは、何が求職者に響くかわからない状態で高額なサイトを作っても、的外れなものになるリスクがあるためです。

まずは半年ほど自社で発信し、「洗車動画の反応が良い」「若手のインタビューがよく読まれている」といった勝ちパターンが見えてきたタイミングで、プロの制作会社に依頼してください。蓄積した素材やデータを渡すことで、より精度の高い、失敗しない採用サイトを作ることができます。

Q. SNSをやっても炎上が怖いです。対策はありますか?

A. 炎上を防ぐためには、運用担当者の感覚に任せず、明確な「投稿ガイドライン(ルール)」を設けることが不可欠です。

運送業は公道を利用するビジネスである以上、他業界よりもコンプライアンスに対する視線は厳しくなります。

具体的には、以下の3点を鉄の掟として定めてください。

  1. 撮影は必ず停車中に: 走行中の撮影はもちろん、信号待ちでのスマホ操作も誤解を招くため禁止とし、完全に駐車した状態で撮影する。
  2. 個人情報の保護: 映り込んだ他社のトラックや一般車両のナンバープレート、通行人の顔は、スタンプや加工アプリで必ず隠す。
  3. 公開前のダブルチェック: 担当者が投稿する前に、運行管理者や責任者が内容を確認するフローを作る。

これらを徹底すれば、リスクは最小限に抑えられます。「安全最優先」という会社の姿勢を示すためにも、ルールの遵守はSNS運用においても絶対条件です。

Q. 効果が出るまでにどのくらいの期間が必要ですか?

A. 採用ブランディングは、広告のように即効性のある施策ではありません。効果を実感できるまでは、最低でも半年から1年は見ておく必要があります。

求職者がSNSで認知し、何度も投稿を見て親近感を持ち、最終的に「転職するならこの会社」と決断するまでには時間がかかるからです。最初の3ヶ月間は、フォロワーが増えなかったり、応募に直結しなかったりして焦ることもあるかもしれません。

しかし、そこで止めてしまえば、それまでの労力がすべて無駄になります。まずは「応募数」という数字だけでなく、「面接に来た人がSNSを見てくれていた」「社員が楽しそうに撮影に協力してくれるようになった」といった小さな変化に目を向けてください。その積み重ねが、1年後に大きな成果となって返ってきます。

まとめ:採用ブランディングは「会社の未来」への投資

ここまで、運送業における採用ブランディングの重要性と、具体的な実践方法について解説してきました。

最後に、お伝えしたいことがあります。それは、採用ブランディングは単なる「人集めのテクニック」ではないということです。自社の「らしさ」を見つめ直し、それを社会に堂々と発信していくプロセスは、会社そのものを磨き上げる経営戦略に他なりません。

「うちは何が強みなのか」を真剣に考え、現場のドライバーと対話することで、社内の結束は強まります。そして、自社の価値を正しく伝えることができれば、不毛な価格競争や条件競争から抜け出し、「あなたたちがいい」と選ばれる会社へと進化できます。

多額の予算や、専門的な知識がなくても、今日からできることはたくさんあります。

  • 明日の朝、ドライバーに「うちのいいところって何かな?」と聞いてみる。
  • きれいに洗車されたトラックの写真を1枚撮ってみる。
  • Instagramのアカウントを開設してみる。

その小さな一歩が、半年後、1年後の御社の未来を大きく変えるきっかけになります。

人手不足というピンチを、会社が生まれ変わるチャンスに変えてください。まずはスマホを手に取るところから、新しい採用活動を始めましょう。

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ハローワーク求人票の作成時に困るのが、ハロワ独特の文字数と行数の制限。 項目ごとに縦の行数や横の文字数、全体の文字数が決まっています。 「ハローワークの求人票の作成」がより効率的にできればと想いを込めて、ハロワ求人票専用の文字数カウンター&表記調整ツールを作成しました。 是非ご活用ください!

2025年の転職市場動向予測!今知っておくべき採用市況感

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2025年の転職市場や中途採用の市況感について知りたい企業の人事担当者や経営者の方に向けて執筆しています。 最新の市場動向や注目トレンド、業界別・地域別の採用事情、今後の採用戦略や成功のポイントまで解説します。 2025年の採用・転職市場で成功するために、今知っておくべき情報を網羅した記事です。