大学新卒の選考中離脱…
原因は、学生の"親"を納得させられていないからかも知れません。
今の世代の大学生は、就活に際して親の影響多く受けがちです。
企業が学生に内定を出す際に、保護者の確認を事前に取っておくことを意味する「オヤカク(親確)」という言葉が生まれるほど。
今回は、この「オヤカク」についてご紹介していきます。
今後はさらに、「保護者を納得」させられるかは、重要な採用の要素になってきます。
是非この記事を読んでご参考にしていただければと思います。
「オヤカク」とは、新卒採用において企業が内定を出した学生の親に、内定承諾の確認を行うこと。
または学生本人に親の承諾を得ているかを確認することを指します。
広い意味での「オヤカク」は、子どもの就活に関する親の決裁を確定させるための会社の施策を意味します。
近年、子どもの就職活動において、親が就職先を決めることに大きく関わるケースが増加しています。
そのため、学生本人が入社を希望していても、親の反対により内定を辞退してしまうことがしばしば見られます。
オヤカクを行うことで、このような内定辞退を防ぎ、入社率を高めることに期待しています。
また、 学生の親に企業のことを理解してもらい、安心して子どもを送り出せるようにすることで、学生の入社後の定着率向上にもつながると考えられています。
これには、入社後に学生がスムーズに社会人生活を送れるよう、家族の協力体制を構築することも含まれます。
株式会社マイナビは「大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中」の子供を持つ保護者1,000名を対象とする「就職活動に対する意識調査(2023年度)」を行っています。
調査によると、学生の保護者のうち、
・子供の就職活動に「関心があった」割合は71.3%
・子供の就職活動に「不安になったことがある」割合は56.0%
学生の保護者の多くは、学生の就職活動に関心を抱いたり、心配をしていることが分かります。
また、学生側が保護者に就職先の相談をすることも多いのです。
筆者がこれまで面談、面接をしてきた新卒学生の中にも、「内定承諾時に親の意見を聞いた」「選考に進む企業を親と決めた」という方は多いです。
経験上、就職活動に関わる親の割合は、年々増えているように感じています。
背景としては、学生の保護者世代が就職関連で厳しい環境であったことがまず考えられます。
現在の高卒、大卒の保護者はバブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期 (概ね1993年~2003年)に学校卒業期を迎えた方々であり、『就職氷河期世代』(現在35歳〜56歳の方で、 正社員雇用の機会に恵まれず、 安定した雇用を希望している方) と重なります。
就職関係の苦労を実際に感じたからからこそ、我が子の就職に関心が高い傾向にあると言えるでしょう。
また、少子化の影響もあると考えられます。
子どもの数が少ないと、親が子どもに注ぐことができる時間が増え、以前よりも親子関係が強固なものになりやすいです。
その分、親が子どもに入れ込んでしまうことも。
子ども側も、親の意見やアドバイスを進んでもらおうとする関係性が築かれやすいのです。
こうして、親子二人三脚のように就職活動をする、というケースも珍しくはありません。
筆者の経験則になりますが、学生の就職活動に親が関与するというケースは、世間的に高学歴と言われる大学出身の学生に多いように思います。
「これまで自分の教育にお金をかけてくれているから、就活では親の”期待”に応えたい」と思う学生が多いのではないでしょうか。
または「良い大学へ行きなさい」と親に”指導”され進路を決めた学生が、そのまま次の就活でも”指導”されているのかも知れません。
このように、学生の就職活動に保護者の意向は大きく影響されるようになりました。
つまり、応募者を集めたり、選考辞退を防ぐためには就職先として保護者から認められる会社になることが重要になり始めているのです。
このような中、「オヤカク」はどのぐらいの企業が実施しているのでしょうか?
先述した「就職に対する保護者の意識調査」によると、子供の内定企業から内定確認の連絡(いわゆる「オヤカク」)を受けたことがある保護者の割合は52.4%。
これは年々増加傾向にありますので、多くの企業で「オヤカク」が行わるようになってきています。
保護者の世代に人気があるような”ネームバリュー”のある企業は、逆に保護者が勧めてくれるので「オヤカク」は必要ないかもしれません。
保護者世代から認知度の低い、ベンチャー企業や中小企業の場合には「オヤカク」に取り組む必要性が高いと言えます。
ただ、オヤカクに関しては近年話にあがってきている内容で、まだまだ賛否両論があります。
それぞれの意見は以下のようなものです。
メリットとデメリットを理解した上で、自社や採用人物像に照らして実施するかを判断しましょう。
<賛成意見>
・内定辞退防止に効果がある ・企業への理解促進につながる ・家族の協力体制が構築できる
<反対意見>
・プライバシー侵害 ・学生の自主性を尊重すべき ・親の世代との価値観の違いによる摩擦が生じる可能性
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また、オヤカクを行う際には、以下の点に注意する必要があります。
・法的な問題: プライバシー保護に関する法律に抵触しないように、個人情報の取り扱いには十分注意する必要があります。 ・コミュニケーションスキル: 直接学生の親とコミュニケーションをとる際には、話をする社長、社員は企業の看板となりますので、丁寧かつ誠実に対応することが求められます。
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オヤカクのやり方によっては、企業のイメージが悪くなってしまう可能性もありますので、十分に準備を行いましょう。
さて、ここまで学生の就職活動における親の関与、関心をご紹介してきました。
これからはより、学生の就職活動において親の影響が大きくなっていくと思われます。
保護者をいかに「納得させられるか」。保護者からいかにあなたの会社が「認められるか」が重要になってくるのです。
では、保護者が子供の入社する企業に求めるポイントは何でしょうか?
先ほどの「就職活動に対する意識調査(2023年度)」では、上位3ポイントがこちら。
・経営が安定している 48.6%
・子どもの希望や意思に沿っている 22.7%
・企業の成長性が見込める 16.4%
この観点を意識し、学生に十分な判断材料を与えることができれば、学生は親に「説明がしやすくなり、親からの了承を得やすく」なります。
「オヤカク」は具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか?
第一歩は学生に直接ヒアリングすることです。
具体的に次のようなステップで進めます。
就職活動で相談している人を尋ね、親御さんが含まれているか確認します。
保護者が会社選びで重視している点(大手志向、地元志向など)を学生から聞き出します。
一般的な質問から始めると、学生も話しやすくなります。
保護者が会社に対してどのような印象を持っているかを学生に聞きます。
この情報が、今後の対策を立てる上で非常に重要です。
保護者が不安に思っていること、知りたいと思っていることを把握し、十分にその情報を伝えていきます。
学生が親からあなたの会社への印象を聞き出せていない場合は、次の面談までに情報を集めてくるようお願いしましょう。
最後に、学生が親に説明しやすく、親から納得感を引き出すノウハウをご紹介します。
・選考中の学生同士を会わせる
「他にもこんな子がいたんだよ」という話をできるようにする→子どもと似た学生が集まっていることを知ってもららうことで安心できる。
・学生と親和性の高い社員を会わせる
同じ大学出身、勉強内容、スポーツや文化経験等。「自分のキャリアモデルとなるような先輩がいるんだ」という話をできるようにする→子どもの安定した成長、活躍をイメージできるようになります。
・会社の「安定性」「成長性」「長く勤められる環境」を打ち出す
実績や"今後"実現していきたいこととして、会社への信頼を獲得できる要素を用意します。
求人票、面談、面接でこうした側面を伝えていくことが大切です。
また、「オヤカク」に対しては"企業パンフレット"が有効…!
学生が親へあなたの会社を説明する時には、"企業パンフレット"が活躍するのです。
企業パンフレットは学生への魅了付け+保護者へのアプローチの役割を担います。
ミズサキ株式会社では、上のような採用広報用の企業パンフレットを作成しています。
興味がございましたら、是非お問い合わせください!
今回は採用活動における「オヤカク」についてご紹介しました。
オヤカク対策は、内定辞退を防止したり離職率を下げることにもつながります。
自社の状況に合わせて、必要な場合には取り入れてみてください。