内定辞退が起きると、かけた時間と労力、そして期待が無駄になってしまいます。
「また一からやり直しか」「自分のフォローが足りなかったのではないか」と、自分を責めてしまう採用担当者の方も多いのではないでしょうか?
しかし、いま内定辞退が多発しているのは、採用担当者の努力不足だけが原因ではありません。現在の採用市場は、かつてないほどの「売り手市場」であり、どの企業も同じような構造的な課題に直面しているのです。
この記事では、最新の市場データに基づいた「学生が辞退する本当の理由」から、明日からすぐに使える「コピペ可能な返信テンプレート」、そしてミスマッチそのものをなくす「根本的な採用戦略」までを網羅的に解説します。
リクルートなどの最新データや、RJP理論(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)といった専門的な知見をもとに、現場ですぐに役立つノウハウを凝縮しました。
なぜ今、「内定辞退が多い」のか?最新データで見る採用市場の現実
「以前より内定辞退が増えた気がする」という感覚は、決して間違いではありません。
まずは、なぜこれほどまでに内定辞退が頻発するのか、客観的なデータを用いて市場の現実を紐解いていきましょう。
売り手市場の加速と「1人平均2社以上」の複数内定
結論から言うと、現在の学生が「選ばれる立場」ではなく「選ぶ立場」にあることが原因です。
株式会社インディードリクルートパートナーズが発表した『就職プロセス調査(2026年卒)2025年10月1日時点 内定状況』によると、10月時点での内定率は93.9%を超え、学生一人あたりの内定取得平均社数は2.5社以上にのぼります。
つまり、あなたの会社が内定を出したその学生は、すでに他社からも1〜2社の内定を持っている可能性が極めて高いのです。
学生の手元には複数の「内定カード」があり、その中から最も条件や印象が良い1枚を選び、残りをすべて捨てる(辞退する)という行動をとります。この「複数内定」が常態化している以上、どれほど魅力的な企業であっても、一定数の辞退が発生するのは避けられない構造になっているのです。
平均値よりも重要!「辞退が起きやすい」3つの構造的要因
「業界平均は何%なのか?」と他社の数字が気になるかもしれませんが、実は平均値を知ることにあまり意味はありません。なぜなら、内定辞退率は「企業の知名度」「採用時期」「職種」によって大きく変動するからです。
数字に一喜一憂するのではなく、自社が「構造的に辞退が起きやすい状況にあるか」を客観的に判断することが重要です。一般的に、以下の3つの要素に当てはまる場合、内定辞退率は高くなる傾向にあります。
| 条件・待遇 |
内定辞退の理由 |
| 選考スケジュールの「後手」要因 |
初任給が他社より2万円低い |
| 採用競合との「バッティング」要因 |
希望勤務地(都心など)への配属が確約されていない |
| 知名度と「親ブロック」要因福利厚生 |
家賃補助や年間休日数で見劣りする |
もし自社がこれらに当てはまる場合、辞退率が高いのは人事担当者の責任というよりは、「構造上の課題」です。
「うちは辞退されやすい立ち位置にいる」と認識した上で、平均値を目指すのではなく、「自社のターゲット層における歩留まりをどう上げるか」という独自の目標設定に切り替える必要があります。
オンライン面接の普及による「企業理解」の希薄化
もう一つ、近年の大きな要因として見逃せないのが「採用活動のオンライン化」です。
Web面接は効率的ですが、画面越しでは「オフィスの活気」「社員同士の何気ない会話」「すれ違った時の挨拶」といった“温度感”が伝わりません。その結果、内定が出ても学生の心の中に、次のような迷いが生じやすくなっています。
- 「内定はもらったけれど、本当にこの会社でやっていけるのかな?」
- 「画面越しの優しい面接官しか見ていないけれど、実際の職場はもっと殺伐としているのでは?」
このように、企業理解が浅いまま・解像度が低いままの状態で内定に至ってしまうため、入社決断の土壇場で不安が増幅し、「内定ブルー」から辞退へと繋がってしまうのです。
また、採用コンサルティング事業を行うプレシャスパートナーズの調査によると、オンライン面接では自分の良さが伝わらないと考えている学生が42.3%いることがわかっています。
リアルな接点が減った分、意図的に信頼関係を築くためのタッチポイントを設計しなければ、学生の心は簡単に離れてしまいます。
学生が本音で語る「内定を辞退した理由」4選
学生から辞退の連絡が来る際、「他社とのご縁がありまして」や「一身上の都合」といった定型的な理由を伝えられることがほとんどではないでしょうか。
しかし、これらはあくまで建前です。その裏側にある「本当の辞退理由」を理解しなければ、有効な対策を打つことはできません。
ここでは、学生が内定辞退を決断する際に決定打となりやすい、4つの本音を解説します。
【理由1】条件・待遇の見劣り(給与・勤務地・福利厚生)
最も現実的かつシビアな理由は、競合他社と比較した際の「条件面の差」です。
前述の通り、今の学生は複数の内定を持っています。「第一志望の企業の選考が進むまでの滑り止め」として受験していた場合、本命から内定が出れば、当然条件の良い方を選びます。
| 条件・待遇 |
内定辞退の理由 |
| 給与額 |
初任給が他社より2万円低い |
| 勤務地 |
希望勤務地(都心など)への配属が確約されていない |
| 福利厚生 |
家賃補助や年間休日数で見劣りする |
これらは企業規模や経営方針に関わるため、人事担当者の一存ですぐに変えることは難しい部分です。しかし、実は条件面で負けていても、後述する「人への魅力」や「働きがい」で逆転できるケースは多々あります。「条件が悪いから仕方ない」と諦める前に、他の要因で減点されていないかを見直す必要があります。
【理由2】面接官・人事の対応への不信感(レスポンス・態度)
学生の志望度を一瞬で下げてしまうのが、「企業の顔」である人事や面接官の対応です。
特に学生が敏感になるのは、以下の3点です。
| 面接官・人事の対応 |
内定辞退の理由 |
| レスポンスの遅さ |
質問メールの返信に3日以上かかる、選考結果の連絡が予定より遅れる。 |
| 事務的な対応 |
内定通知が定型文のメール1通のみで、フィードバックや熱意が感じられない。 |
| 高圧的な態度 |
面接官が腕を組んで話を聞く、否定的な発言をする(圧迫面接の名残)。 |
学生は、「選考中の対応=入社後の社員への扱い」と捉えます。「入社しても大切にされないのではないか」という不信感は、内定辞退の強力なトリガーとなります。
【理由3】入社後の働き方に「リアリティ」を感じられなかった
「社風が良い」「成長できる環境」といった抽象的なアピールばかりで、具体的な業務内容や日常の風景が見えない場合も、辞退につながります。
学生にとって、就職は人生を左右する大きな決断です。情報が不足している状態では、「入社後に想像と違ったらどうしよう」という恐怖心が勝ってしまいます。
- 「1日のスケジュールが具体的にイメージできない」
- 「配属部署の先輩がどんな人か知らされていない」
- 「残業の実態や繁忙期の様子がわからない」
このように解像度が低い状態のまま放置されると、より情報開示が進んでいる、働くイメージが明確な他社へと心が傾いてしまいます。
【理由4】「オヤカク」親や家族からの反対
特にBtoB企業や中小・ベンチャー企業で頻発するのが、親や家族からの反対、通称「オヤカク課題」です。
学生本人はその企業に入社したいと考えていても、いざ親に報告した際に以下のように言われてしまい、説得しきれずに辞退するケースです。
- 「そんな聞いたこともない会社で大丈夫なの?」
- 「せっかく大学を出たのだから、もっと安定した大手企業にしなさい」
学生は社会経験がないため、親の言葉を重く受け止めます。また、親を説得するための企業の「将来性」や「安定性」を示すデータなどを持っていないことも多く、辞退を選択することになります。
この場合、敵は学生本人ではなく「学生の背後にいる家族」であると認識し、適切なフォローを行う必要があります。
【即効性あり】内定辞退を防ぐための具体的フォロー施策(戦術編)
学生の本音が見えてきたところで、ここからは「明日からすぐに実践できる」具体的な対策について解説します。
採用担当者がコントロールできる最大の変数は、内定出しから入社までの「コミュニケーションの質と量」です。学生の不安を先回りして解消し、心理的な結びつきを強化するための3つのアクションを実行しましょう。
コミュニケーションの「頻度」と「質」を見直す(LINE活用・メンター制度)
最も避けるべきは、内定通知後に事務的な書類のやり取りだけで数ヶ月間放置してしまうことです。学生は「連絡がない=自分に関心がない」と受け取ります。
まず、連絡手段を見直しましょう。堅苦しいメールではなく、LINEやチャットツールを活用することで、心理的な距離を一気に縮めることができます。
また、人事担当者だけでなく、年齢の近い若手社員を「メンター・相談役」としてつけるのも非常に効果的です。
「上司や人事には聞きづらいけれど、給与の手取り額や残業の実態について知りたい」という学生のリアルな疑問に応えることで、入社後の不安を払拭できます。これは、「ナナメの関係」を作ることで孤立を防ぐテクニックです。
【コピペOK】内定者フォローメッセージのテンプレート
定期連絡を入れたいけれど、「何を話せばいいかわからない」「催促だと思われたくない」と悩む担当者向けに、学生に負担をかけず、かつ好印象を与えるメッセージを用意しました。状況に合わせて調整してご活用ください。
「同期・先輩」と会わせるリアルイベントの開催(懇親会・社内見学)
オンライン選考が中心だった企業ほど、内定後は意識的に「対面・リアル」の接点を作るべきです。
人は理屈・条件で会社を選びますが、最終的には感情・人を入社を決めます。
「この会社に入りたい」という気持ちを、「この同期たちと一緒に働きたい」「あの先輩のようになりたい」という具体的な「人」への愛着に変換させることが重要です。
| 施策 |
具体例 |
| 内定者懇親会 |
同期との横のつながりを作る。 「自分だけじゃない」という安心感を醸成する。 |
| 社内見学・ランチ会 |
実際に働くオフィスを見せ、社員が食べているランチを共にする。 「自分がここで働いている姿」を具体的にイメージさせる。 |
これらを実施することで、他社から条件の良いオファーが来ても、「仲良くなった同期を裏切りたくない」という心理的ハードルが働き、辞退の抑止力となります。
家族へのフォロー(オヤカク対策・親向けパンフレット)
前述した「親ブロック」を防ぐためには、学生本人だけでなく、その背後にいる保護者を「安心」させるアクションが不可欠です。
特に知名度が高くない企業の場合、保護者は「ブラック企業ではないか」「すぐに潰れないか」と心配しています。この不安を取り除くには、以下のような「誠意の可視化」が有効です。
| 施策 |
具体例 |
内定通知にお祝いの手紙を 同封する |
社長や採用責任者の名義で、「〇〇さんのような素晴らしい方を採用できて光栄です」と、親御さん宛のメッセージを添える。 |
| 会社案内・パンフレットを送る |
企業の安定性、福利厚生、研修制度などが詳しく書かれた資料を実家に送付する。 |
保護者向け説明会 (オンライン可) |
希望者向けに、会社の方針や待遇を説明する場を設ける。 |
「わざわざ親にまで?」と思うかもしれませんが、「従業員の家族まで大切にしてくれる会社」という印象は、親にとって何よりの安心材料となり、入社を後押しする存在になってくれる可能性が高まります。
マイナビの「2024年度 就職活動に対する保護者の意識調査」によれば、45.2%の保護者が子供の内定先から「オヤカク」を受けたと回答しており、企業からオヤカクの連絡を受けること対して、7割以上の保護者が「良い印象を受けた」と答えています。
辞退率を根本から下げる「採用構造」の変革(戦略編)
ここまでは、内定を出した「後」の対策についてお話ししました。しかし、どれだけ丁寧にフォローをしても、そもそも「自社に合わない学生」ばかりに内定を出していては、辞退率を劇的に下げることはできません。
内定辞退が多い企業の多くは、フォロー不足ではなく、「集客」や「見極め」の段階に構造的な欠陥を抱えています。
小手先のテクニックではなく、採用活動そのものの基盤をアップデートし、「辞退されない自社に強くマッチした人材」を採用するための4つの戦略変革について解説します。
RJP理論(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)でミスマッチを事前回避
「優秀な学生を逃したくない」という一心で、自社の良いところばかりをアピールしていませんか?
実は、これが入社直前の辞退や早期離職の最大の原因です。
採用心理学には「RJP理論(Realistic Job Preview)」という考え方があります。これは、仕事の厳しさやネガティブな情報も含めて「ありのままの現実」を事前に伝えることで、定着率を高める手法です。
RJPは直感に反するかもしれません。「厳しいことを言ったら、学生が逃げてしまうのではないか?」という懸念があることもわかります。
しかし、兵庫県立大学のRJPに関する資料によると、RJPが以下の4つの効果を通じて、結果的に定着率を高めることを示しています。
| 項目 |
伝統的な採用手法(Selling) |
RJPを活用した採用手法 |
| 情報開示 |
ポジティブな情報のみ(魅力、特典) |
ネガティブな情報も含む(厳しさ、課題) |
| 目的 |
応募者数を最大化する |
適合者(Fit)を抽出する |
| 学生の期待 |
入社時にピークに達し、過剰な期待を抱く |
期待が調整され、現実的な見通しを持つ |
| 入社後の反応 |
「話が違う」という失望 |
「聞いていた通りだ」という納得感 |
| 結果 |
入社直前・直後の辞退や離職が多い |
定着率が高まり、組織適応が早い |
例えば、「残業はほとんどない」とあいまいに濁すのではなく、以下のように伝えます。
「基本的には18時退社を推奨していますが、繁忙期の3月だけは全員で協力するため、20時頃まで残業が発生します。その分、4月には長期休暇を取得しています」
このように「厳しさ」と「その背景・対価」をセットで正直に伝えることで、学生は「この会社は誠実だ」「自分でもやっていけそうだ」と納得感を持ちます。
逆に、この説明で去っていく学生は、入社してもすぐに辞めてしまう層ですので、お互いのために事前のミスマッチを防げたとポジティブに捉えるべきです。
【採用ブランディング】発信力強化で「見込み客のファン化」を促す
条件比較で競合他社に負けないためには、学生を「条件で選ぶ客」から「会社そのものを愛するファン」に変える必要があります。これが採用ブランディングの本質です。
採用広報とは、単に「募集要項」や「綺麗なオフィス写真」を載せることではありません。「企業のカルチャー」を伝えることです。
| おすすめ媒体 |
使い方の例 |
オウンドメディア (note・ブログ) |
社員の「成功談」だけでなく「失敗談」や「苦労話」を発信する。 |
SNS (X・Instagram) |
飾らない日常のランチ風景や、部活動の様子を見せる。 |
人間味のある情報を継続的に発信することで、学生は応募前から「この会社の人たちが好きだ」という感情的な結びつき(エンゲージメント)を持つようになります。
「給料はA社の方が高いけど、私が働きたいのはB社(御社)の人たちだ」と思わせることができれば、条件競争から脱却し、辞退率は劇的に下がります。
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「待ち」から「攻め」へ:ダイレクトリクルーティング・リファラル採用の導入
もし、ナビサイトからの「一般応募」経由の辞退率が異常に高いのであれば、母集団の形成方法そのものが間違っている可能性があります。
不特定多数に向けたナビサイトは、多くの学生を集められますが、その分「とりあえずエントリーした」という志望度の低い層(記念受験組)も大量に含まれます。
内定辞退を減らすには、「待ち」の採用から「攻め」の採用への転換が急務です。
| 攻めの母集団形成 |
説明 |
| ダイレクトリクルーティング |
自社のカルチャーに合いそうな学生に、スカウトメールで直接アプローチする。 |
| リファラル採用 |
自社をよく知る社員からの紹介で採用する。 |
ダイレクトリクルーティングやリファラル採用で出会った学生は、最初から「あなただから声をかけた」という特別感があり、かつマッチング精度が高いため、内定辞退率は極めて低くなる傾向にあります。
求める人物像(ペルソナ)の再定義とターゲットの修正
最後に、「誰を採用するか」というターゲット設定(ペルソナ)の見直しです。
内定辞退が多い企業は、ターゲットを「なんとなく優秀な人(高学歴・コミュ力高い)」に設定しがちです。しかし、そのような「万能な人材」は、大手企業を含めたすべての企業が欲しがるため、当然競争倍率は跳ね上がり、辞退率も高くなります。
戦略的に辞退を減らすには、ターゲットを「自社の価値観に強く共感してくれる人」へと絞り込む必要があります。
| Before |
After |
| MARCH以上で、コミュニケーション能力が高い学生 |
学歴不問だが、〇〇という当社の泥臭いビジョンに共感し、行動力がある学生 |
ターゲットを鋭く絞れば、母集団の数は減るかもしれません。しかし、最終的な入社数と定着率は向上します。「全員に好かれようとしない」ことが、結果として相思相愛の人材を獲得する近道なのです。
それでも辞退が発生してしまったら?「次」につなげる対応方法
どれほど完璧な対策を講じても、学生の価値観やタイミングによっては、内定辞退をゼロにすることはできません。
しかし、重要なのは「辞退されたこと」そのものではなく、「その後の対応」です。ここで感情的にならず、プロとして振る舞えるかどうかが、企業のブランド価値を左右します。
辞退を単なる「損失」で終わらせず、将来の資産に変えるための対応方法について解説します。
辞退連絡への返信マナー(将来の顧客・取引先として扱う)
辞退の連絡を受けた際、怒りを露わにしたり、無視したりすることは厳禁です。
今日、辞退したその学生は、数年後には「貴社の顧客」や「取引先の担当者」になっているかもしれません。あるいは、SNSで「あの会社の人事は酷かった」と拡散されれば、翌年以降の採用活動に甚大な悪影響を及ぼします。
逆に、ここで温かいエールを送ることができれば、「良い会社だったな」という好印象を残せます。近年では、他社に入社したものの合わずに辞めた人材が、対応の良かった会社に再応募してくる「出戻り(アルムナイ採用)」の事例も増えています。
「去る者は追わず、しかし拒まず」の精神で、将来の可能性を残す対応を心がけましょう。
【コピペOK】辞退メールへの返信テンプレート(神対応版)
感謝を伝え、相手の新たな門出を応援しつつ、「いつでも戻ってきていい」というニュアンスを含めた、リスク管理としても完璧なテンプレートです。
「本音の辞退理由」を聞き出し、PDCAを回す
辞退を受け入れた後、最後に一つだけやるべき仕事があります。
それは「なぜ自社を選ばなかったのか」という本音のヒアリングです。
辞退者の声は、自社の採用プロセスの欠陥を教えてくれる「宝の山」です。
「給与が低かったのか」「面接官の印象が悪かったのか」「他社の何が魅力的だったのか」。これらを知ることは、痛みを伴いますが、次年度の採用成功率を高めるための最強の武器になります。
ただし、詰問調(「なんで辞退するの?」)で聞いても、本音は引き出せません。以下のように、あくまで「今後のための勉強」という低姿勢で聞くのがポイントです。
このように切り出せば、「実は、福利厚生のこの部分が……」と正直に話してくれることもあります。
このフィードバックを社内で共有し、「来年はここを改善しよう」とPDCAを回せる組織だけが、内定辞退という壁を乗り越え、採用力を高め続けることができるのです。
内定辞退に関するよくある質問(FAQ)
最後に、内定辞退の対応において、現場の採用担当者が抱きがちな疑問にQ&A形式で回答します。
まとめ:内定辞退は「自社の採用力」を進化させるチャンス
内定辞退の連絡を受けることは、採用担当者にとって辛い経験です。しかし、それは同時に「自社の採用プロセスにおける課題」を浮き彫りにし、組織を強くするチャンスでもあります。
今回の記事のポイントを改めて整理します。
- 市場の現実を知る: 売り手市場で「複数内定」は当たり前。一定数の辞退は構造的に避けられないと割り切る。
- 戦術(フォロー)を見直す: 事務連絡だけで放置せず、LINEや懇親会を通じて「人との繋がり」を強化する。
- 戦略(構造)を変革する: RJP理論でリアルを伝え、採用ブランディングで「ファン」を作り、ミスマッチそのものをなくす。
内定辞退への特効薬は存在しませんが、「誠実な情報開示」と「丁寧なコミュニケーション」の積み重ねは、決して裏切りません。
今日からできる「メール一通の改善」「ターゲットの見直し」から始めてみてください。その小さな変化が、来年の採用活動で「御社だから入社したい」と熱望する学生との出会いにつながるはずです。
あなたの採用活動が実りあるものになることを、心から応援しています。