エンジニアの有効求人倍率は10倍を超え、もはや求人媒体への掲載やスカウトメールの送付といった従来の手法だけでは、優秀な人材に出会うことが困難な状況が続いています。
採用担当者の中には、「あらゆる施策を打ったのに反応がない」「競合他社に条件面でどうしても勝てない」と焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。
特に非エンジニア出身の人事担当者にとって、エンジニア採用は孤独な戦いになりがちです。「技術のことが分からないため現場エンジニアと共通言語で話せない」「テックブログを立ち上げたものの、専門的なネタが続かず更新が止まってしまった」といった悩みは、多くの企業で共通しています。
現場の協力を得られず、一人で空回りしてしまう現状を変えたいと願うのは当然のことです。
本記事では、単なる手法の紹介にとどまらず、エンジニアの心に響く「技術広報」の本質と、リソース不足の組織でも無理なく継続できる「仕組み作りの極意」を解説します。
採用広報代行サービスを提供する弊社ミズサキが、多くの成功企業の事例や失敗パターンを分析し、再現性の高いノウハウとしてまとめました。
この記事を読み終える頃には、明日から現場エンジニアに自信を持って協力を仰げるようになり、自社の技術的な魅力を正しく届けるためのアクションプランが明確になっているはずです。
エンジニア採用広報の目的とは?売り手市場で技術広報が必要な理由
エンジニア採用広報を行う最大の目的は、単なる認知拡大ではなく、自社の技術的な魅力を正しく伝え、ミスマッチのない採用を実現することにあります。
現在、レバテックの調査によると、IT人材の求人倍率は約12倍とも言われ、全職種の中でも売り手市場です。
このような環境下では、企業側が一方的に選ぶのではなく、エンジニアから選ばれるための情報発信が欠かせません。しかし、多くの企業はまだ「求人票を出して待つ」というスタンスから抜け出せていないのが実情です。
ここで重要になるのが、技術広報という視点です。一般的な採用広報が企業の雰囲気や制度を伝えるのに対し、技術広報は「開発環境」「技術スタック」「エンジニアリング組織としての姿勢」を発信します。
エンジニア採用広報と一般的な採用広報の大きな違い
エンジニア採用広報と一般的な採用広報の決定的な違いは、ターゲットが重視する判断軸です。
一般的なビジネス職の採用広報では、「風通しの良い社風」や「充実した福利厚生」、「安定した経営基盤」といった要素が響きやすい傾向にあります。しかし、エンジニア採用においてこれらの要素だけをアピールしても、優秀な層の心をつかむことはできません。

エンジニアが転職先を選ぶ際に最も重視するのは、「どのような技術を使って開発しているか」「開発プロセスはモダンか」「技術的負債とどう向き合っているか」といった、日々の業務に直結する技術的な環境です。エンジニアにとって、技術は単なるツールではなく、自身のキャリアそのものです。
したがって、エンジニア採用広報では、きれいごとのアピールよりも、現場のリアリティをありのままに伝えることが求められます。開発中に発生したトラブルをどう解決したか、なぜその技術を選定したのかといった、泥臭いプロセスこそが、エンジニアにとって信頼できるコンテンツになります。
エンジニア採用広報に取り組むことで得られる3つのメリット
適切なエンジニア採用広報に取り組むことで、企業は大きく分けて以下の3つのメリットを得ることができます。
1. 母集団形成による応募数の増加
技術スタックや開発体制をオープンにすることで、潜在層(今すぐ転職を考えていない層)に対しても、「面白そうなことをやっている会社だ」という認知を広げることができます。この認知が蓄積されることで、いざ転職を考えた際の第一想起群に入ることが可能になります。
2. カルチャーフィットによる入社後ミスマッチの防止
記事やイベントを通じて、自社の技術的なレベル感や開発文化を事前に知ってもらうことで、「入社してみたらレガシーな環境だった」「期待していた技術に触れられなかった」といったミスマッチを防ぐことができます。これは早期離職のリスクを減らし、採用コストの削減にもつながります。
3. 社内エンジニアのモチベーション向上と組織活性化
外部への発信を前提とすることで、社内のエンジニアは自身の取り組みを言語化し、整理する機会を得ます。「自分たちの仕事が外部から評価される」という体験は、社員のエンゲージメントを高め、自律的な学習文化やアウトプット文化を醸成するきっかけとなります。
多くの企業が陥りがちなエンジニア採用広報の誤解
採用広報を始めるにあたり、「即効性への過度な期待」と「完璧な実績が必要という思い込み」という2つの誤解を、まず最初に解消しておく必要があります。
これらの誤解を持ったままでは、すぐに結果が出ないことに焦りを感じて施策が続かなかったり、現場のエンジニアと広報の間で摩擦を生んだりする原因になるからです。
具体的には、以下のスタンスへの意識変革が必要です。
| 1. 効果に対する認識 |
記事を1本出した翌日に応募が殺到することは稀です。しかし、半年、1年と継続して発信し続けることで、確実に自社の「採用基礎体力」は向上します。 |
| 2. 発信内容に対する認識 |
「高度な技術力」や「輝かしい成功事例」は必須ではありません。エンジニアの多くは、完璧な結果よりも、課題に対してどう試行錯誤したかという過程・プロセスに共感します。例えば、「これからモダンな環境へ移行しようとしている」という変革のフェーズ自体が、非常に魅力的なコンテンツになり得ます。 |
成功企業が実践するエンジニア採用広報の具体的な手法6選
エンジニア採用広報の目的と重要性を理解したところで、次は具体的にどのようなアクションを起こせばよいのかについて解説します。
採用広報にはいくつもの手法がありますが、全てを同時に行う必要はありません。自社のリソース状況や、解決したい課題(認知がないのか、応募はあるがミスマッチなのか)に合わせて、最適な手法を選択することが大切です。
ここでは、特に効果が高いとされる6つの手法について、その特徴と実践のポイントを紹介します。
1. テックブログ運用による技術情報の継続的な発信
テックブログ(技術ブログ)は、自社の技術スタックや開発の裏側を発信する、エンジニア採用広報の王道とも言える手法です。
エンジニアは日々の業務において、技術的な課題解決の方法を検索します。その検索結果として自社のブログ記事がヒットすることは、自然な形で認知を獲得する絶好の機会となります。
例えば、「特定のライブラリのバグ対処法」や「大規模トラフィックをさばくためのアーキテクチャ設計」といった記事は、同じ課題を持つエンジニアから高い信頼を得ることができます。
運用には「note」や自社ドメインの「WordPress」などがよく利用されます。記事単体での短期的な採用効果を追うのではなく、良質な技術記事を蓄積し、検索エンジン経由で長期的にアクセスを集め続ける「資産」として捉えることが重要です。継続難易度は高いですが、その分、定着すれば強力なブランディングツールとなります。
2. 研修資料や社内勉強会資料の一般公開と再利用
リソースが不足している企業に最もおすすめしたいのが、既存の資料を一般公開する手法です。
新たにブログ記事を一から執筆するには、多大な労力がかかります。しかし、社内ですでに使われている「新卒エンジニア向けの研修資料」や「社内勉強会の登壇スライド」であれば、公開用に少し手直しをするだけで立派なコンテンツになります。
これらを「SpeakerDeck」や「SlideShare」といったスライド共有サービスにアップロードするのです。
例として、レバレジーズ株式会社がSpeakerDeckにアップロードしている「今日から始める技術的負債の解消」という資料をご覧ください。
特に研修資料の公開は、ジュニア層や実務未経験者にとって非常に有益な情報源となるため、SNSで拡散されやすい傾向にあります。また、「入社すればこのような手厚い教育を受けられる」という教育体制のアピールにもなり、採用候補者の安心感に直結します。
3. エンジニア特化型イベントやカンファレンスへの協賛
オフラインやオンラインでのイベントを通じて、エンジニアとの直接的な接点を作ることも有効です。
自社で勉強会を主催するには集客や運営のハードルが高いですが、既存の技術カンファレンスやコミュニティイベントへの「協賛(スポンサー出展)」であれば、比較的容易に参入できます。RubyKaigiやiOSDCといった特定の技術領域に特化したカンファレンスには、その技術に熱心なエンジニアが全国から集まります。
スポンサーブースを出展し、自社のエンジニアが参加者と技術的な会話を楽しむことで、「面白そうなエンジニアがいる会社」という印象を残すことができます。
4. SNSを活用した社員個人の発信と拡散力強化
エンジニアの情報収集源として、X(旧Twitter)などのSNSは非常に大きな割合を占めています。
企業公式アカウントからの発信も大切ですが、それ以上に効果的なのが現場エンジニアの個人アカウントからの発信です。エンジニアは企業のアカウントよりも、同じエンジニア個人の生の声に信頼を置く傾向があるためです。
「今こういう機能を実装している」「新しい技術を試してみた」といった日常のつぶやきが、結果として企業の技術的な活発さを伝えることになります。
企業としては、社員がSNSで発信しやすいガイドラインを整備したり、会社のブログ記事を社員同士でシェアし合ったりする文化を作ることが求められます。社員一人ひとりがインフルエンサーとして機能すれば、広告費をかけずに広範囲へ情報を届けることが可能になります。
5. 社員インタビューや座談会動画による雰囲気の伝達
技術的なスキルマッチだけでなく、「誰と働くか」「どんな雰囲気のチームか」というカルチャーマッチを重視する層には、社員の「人となり」を伝えるコンテンツが刺さります。
テキストだけの記事では、どうしても職場の温度感までは伝わりきりません。そこで有効なのが、写真や動画を活用したインタビューや座談会コンテンツです。「開発チームのランチ風景」や「若手とベテランの対談」などを通じて、チームの仲の良さやフラットな関係性を可視化します。
最近では、YouTubeや採用ピッチ資料の中に動画を埋め込む企業も増えています。動画であれば、話している時の表情や声のトーンから、テキスト以上に多くの非言語情報が伝わります。「この人たちと一緒に働いてみたい」という感情的な動機付けを行う上で、動画は非常に有効な手法です。
6. エンジニア特化の採用サイト作成とピッチ資料の公開
最後に欠かせないのが、エンジニア専用の受け皿となる「特化型採用サイト」や「採用ピッチ資料」の用意です。
ビジネス職向けの採用サイトでは、どうしても全職種に共通する抽象的な情報が中心になりがちです。しかしエンジニアは、「Macのスペックは選べるか」「エディタは自由か」「コードレビューの体制はどうなっているか」といった詳細な情報を求めています。これらが不明確だと、応募への心理的ハードルが上がってしまいます。
そこで、会社概要とは別に、開発環境や使用ツール、チーム構成などを詳細に記した「エンジニア向け会社紹介資料(採用ピッチ資料)」を作成し、SpeakerDeckなどで公開することをおすすめします。
参考までに、株式会社ラクスパートナーズがSpeakerDeckにアップロードしている、エンジニア向けの会社紹介資料をご覧ください。
このように透明性高く情報を開示することで、「エンジニアの働き方を理解している会社だ」という信頼を獲得できます。
採用ピッチ資料の作り方は、以下の記事で詳しく解説していますので、これから制作を検討している方は、ぜひご覧ください。
採用ピッチ資料の作り方ガイド|構成案・テンプレート・事例を網羅解説
非エンジニア人事でも失敗しない現場エンジニアの巻き込み方
前章では効果的な広報手法を紹介しましたが、多くの採用担当者が「手法は分かったけれど、現場のエンジニアが協力してくれない」という悩みを抱えています。
「忙しいから無理」と断られたり、専門用語が飛び交う会話に入れず萎縮してしまったりすることは、非エンジニアの人事担当者なら誰もが経験する道です。しかし、技術的な知識がないことは、必ずしも広報活動の足かせにはなりません。
人事の役割は技術理解ではなく編集者視点を持つこと
まず意識を変えるべきなのは、人事担当者が無理にプログラミングや技術詳細を学ぶ必要はないということです。
あなたの役割は、エンジニアと同等の知識を持つことではありません。候補者と同じ「分からない側の視点」を持ち、エンジニアの言葉を分かりやすく翻訳する「編集者」としての役割を担うことこそが重要です。
エンジニアが書く文章は専門的になりすぎる傾向がありますが、それでは学生や経験の浅い候補者には魅力が伝わりきらないことがあります。
例えば、エンジニアから上がってきた原稿に対して、「この専門用語は学生にも伝わりますか?」「この技術を選んだ理由を、文系の人にも分かるように例えられませんか?」と問いかけてみてください。
この素朴な疑問が、記事の読みやすさを高め、結果として多くの人に届くコンテンツへと磨き上げます。技術が分からないことは弱点ではなく、読者に寄り添うための武器になると考えてください。
記事執筆を依頼せずインタビュー形式で話してもらう
エンジニアを巻き込む際に最もやってはいけないのが、「テックブログの記事を書いてください」と丸投げすることです。
開発業務で多忙を極めるエンジニアにとって、ゼロから文章構成を考え、執筆し、推敲する作業は非常に重い負担です。「あとでやります」と言われたまま、数ヶ月が過ぎてしまうのがオチでしょう。
そこで推奨したいのが、人事がライターとなり、エンジニアには「話すこと」だけに集中してもらうインタビュー形式の作成フローです。
手順は簡単です。エンジニアに「30分だけ時間をください」と依頼し、Zoomなどでインタビューを行います。「最近解決した難しいバグは?」「なぜこの技術スタックにしたの?」といった質問を投げかけ、その回答を録音します。
あとは人事がその録音を元に記事構成を作り、ライティングを行います。エンジニアの作業は「インタビューに答える」ことと「完成した原稿の技術的なチェック」の2点だけになり、負担は劇的に軽減されます。
全員を巻き込まず発信に前向きなキーマンを見つける
組織全体で一斉に広報活動を始めようとすると、必ずと言っていいほど「広報なんて意味があるのか」という反発や、温度差が生まれます。
最初は全員を巻き込もうとせず、社内で発信に前向きなエンジニアを見つけることから始めてください。
どこの組織にも、新しい技術が好きで誰かに話したいと思っているエンジニアや、採用難に危機感を持ち「なんとかしたい」と考えているCTOやリーダーが必ず一人はいるはずです。まずはその一人とタッグを組み、小さくても良いので成功事例を作ってしまいましょう。
「あの人の記事、すごくSNSで反応が良かったらしいよ」「採用面接で候補者が記事を褒めていたよ」といったポジティブな実績が社内に広まれば、最初は無関心だった他のエンジニアも「それなら自分もやってみようかな」と興味を持ち始めます。
エンジニア採用広報の進め方|成功に導く3つのステップとKPI設計
現場の協力体制が整ったら、いよいよ具体的なアクションに移ります。しかし、いきなりブログ記事を書き始めるのは得策ではありません。闇雲に発信しても、ターゲットに届かなければ徒労に終わってしまいます。
ここでは、エンジニア採用広報を確実な成果につなげるための手順を、3つのステップに分けて解説します。
ターゲットとなるペルソナと自社の技術的強みの整理
最初のステップは、「どのようなエンジニアに」「自社の何を」伝えたいのかを言語化することです。
ターゲット像(ペルソナ)が曖昧なままでは、発信内容がブレてしまい、誰の心にも刺さらないコンテンツになってしまいます。「30代のテックリードクラス」なのか「ポテンシャルのある第二新卒」なのかによって、響くメッセージは全く異なります。まずは現場のリーダーとすり合わせを行い、採用したい人物像の解像度を高めてください。
次に、そのターゲットに対してアピールすべき自社の「技術的な強み」を棚卸しします。
ここでよくある悩みが「うちはモダンな技術を使っていないから強みがない」というものです。しかし、それは誤りです。「レガシーなシステムを最新技術でリプレイスしようとしている」というフェーズであれば、技術的負債の解消に挑戦したいエンジニアにとっては非常に魅力的な環境です。
完成された環境だけでなく、変化の過程こそが強力な武器になることを忘れないでください。
既存資産のコンテンツ化によるリサイクル戦略の実行
ターゲットが決まったらコンテンツ作成に入りますが、ここでもゼロから記事を書く必要はありません。社内に眠っている既存資産を外部に公開する「リサイクル戦略」から始めましょう。
社内のSlackやNotionなどのドキュメントツールには、すでに質の高い技術情報が蓄積されているはずです。
例えば、「特定のライブラリを選定した際の議論ログ」や「新入社員向けの環境構築手順書」、「開発ルールのドキュメント」などです。これらは、社外のエンジニアにとっても有益な知見の宝庫です。
これらの情報を、個人情報や機密情報を伏せた上で、少し整えてテックブログや登壇資料として公開します。これなら、エンジニアに新たな執筆負担をかけることなく、スピーディーに良質なコンテンツを生み出すことができます。
継続的な発信サイクルの構築と効果測定の指標設定
最後のステップは、発信を単発で終わらせず、継続的なサイクルとして定着させることです。そして、その活動が採用に貢献しているかを測るための指標(KPI)を設定します。
継続のためには、「毎週火曜日にネタ出し会をする」「持ち回りで月1回担当する」といったルーティンを仕組み化することが有効です。無理のないペースを決め、まずは半年間続けることを目標にしてください。
効果測定において注意すべきは、PV(ページビュー)数だけを追わないことです。採用広報の目的はあくまで採用です。したがって、「スカウトメールにブログURLを添付した際の返信率」や「カジュアル面談で候補者が記事に言及した回数」、「選考辞退率の低下」といった、採用実務に直結する数字をKPIに設定すべきです。
こうした質的な変化を可視化することで、経営陣や現場エンジニアに対しても広報活動の価値を証明しやすくなります。
エンジニア採用広報の成功事例から学ぶポイント
ここまで具体的な手法や進め方を解説してきましたが、実際に他社がどのように取り組み、どのような成果を上げているのかを知ることは、自社の戦略を練る上で非常に参考になります。
成功している企業には、共通して「透明性の高さ」と「継続する文化」があります。
ここでは、圧倒的なリソースを持つ大手企業の理想的な事例と、リソース不足を工夫でカバーしているベンチャー企業の事例の2つの視点から、明日から真似できるエッセンスを紹介します。
【大手企業】オウンドメディア戦略で採用力を強化した成功事例
大手企業におけるエンジニア採用広報の成功事例として、株式会社メルカリと株式会社サイバーエージェントの取り組みは、目指すべき一つの到達点と言えます。
メルカリが運営するオウンドメディア「mercan(メルカン)」は、採用広報の教科書とも呼べる存在です。

特徴的なのは、広報担当者だけでなく、経営陣から現場のエンジニアまでが主体的に情報発信に関わっている点です。
「全員採用」の文化が根付いており、日々の開発風景や組織の課題までもが赤裸々に語られています。これにより、候補者は入社後の働く姿を鮮明にイメージでき、強力なカルチャーフィットを生み出しています。
また、サイバーエージェントは、技術領域ごとに特化した複数のブログ運営や、大規模な技術カンファレンスの主催など、多角的なアプローチを行っています。
特筆すべきは、若手エンジニアにも積極的に登壇や執筆の機会を与えていることです。これが「技術で成長できる環境」というブランディングに直結し、優秀な学生や若手層の獲得に成功しています。
【ベンチャー企業】個人の発信力と独自性を活かした成功事例
一方で、潤沢な予算や専任の広報チームを持たないベンチャー企業でも、知恵と工夫で大きな成果を上げている事例は数多く存在します。
例えば、調剤薬局向けのシステムを提供する株式会社カケハシは、noteを活用した手作り感のある温かい発信でファンを増やしています。

社員インタビューでは、単なる経歴紹介にとどまらず、個人の価値観や苦労話にフォーカスを当てることで、読者の共感を呼んでいます。高価なWebサイトを構築しなくても、無料のプラットフォームであるnoteを使えば、十分に魅力的なコンテンツは発信できるという好例です。
また、株式会社フィードフォースでは、エンジニア自身がポッドキャスト配信を行ったり、Twitter(現X)で活発に技術情報を発信したりと、個人のキャラクターを前面に出した広報を行っています。
「会社の看板」ではなく「面白いエンジニアがいる」という認知の広げ方は、知名度で劣る企業が大手に対抗するための有効な戦略です。
エンジニア採用広報に関するよくある質問
エンジニア採用広報を進めていく中で、多くの担当者がつまずきやすいポイントをQ&A形式でまとめました。事前にこれらの疑問を解消しておくことで、運用開始後の迷いを減らし、自信を持って施策を継続できるはずです。
現場との共創こそがエンジニア採用広報成功への近道
本記事では、エンジニア採用広報の重要性から具体的な手法、そして非エンジニア人事が現場を巻き込むための実践的なテクニックまでを解説してきました。
エンジニア採用広報は、単に求職者を集めるための集客ツールではありません。その本質は、広報活動というプロセスを通じて、社内のエンジニアと人事が互いの専門性を尊重し合い、信頼関係を深めていく組織開発そのものです。
「うちには発信するような立派な技術がない」と卑下する必要は全くありません。現場のエンジニアが日々向き合っている課題、試行錯誤のプロセス、そして技術への情熱をありのままに伝えることこそが、未来の仲間を引き寄せるメッセージになります。
まずは社内のエンジニアに「最近の仕事で、技術的に面白かったことは何ですか?」と、小さな質問を投げかけてみてください。そのたった一つの対話から、御社独自の魅力的なコンテンツが生まれ、採用成功への道が開かれていくはずです。
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