「求人媒体に掲載しても、応募がまったく来ない」
「やっと内定を出した優秀な人材が、結局大手企業や競合他社に行ってしまった」
「採用エージェントに支払う紹介手数料ばかりがかさみ、採用コストが限界に近い」
このような悩みを抱えているスタートアップの経営者や人事担当者は少なくありません。リソースが限られている中で、日々の業務に追われながら採用活動を行うのは非常に過酷です。「専任の広報担当なんて雇えない」「現場社員も手一杯で協力なんて頼めない」というのが正直なところでしょう。
しかし、知名度や資金力がなくても、優秀な人材を惹きつけ続ける企業は存在します。その違いは「採用広報」に取り組んでいるかどうかにあります。
本記事では、リソース不足のスタートアップでも実践できる「5つの具体的な採用広報施策」と、兼務で運用を継続する体制の作り方を解説します。これらは多くの成長企業が実践し、実際に採用単価を大幅に削減することに成功した再現性の高いノウハウです。
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なぜ、スタートアップに採用広報が必要不可欠なのか
採用広報は、余裕のある企業だけが取り組む「流行りの施策」ではありません。リソースの限られたスタートアップにとってこそ、企業の存続と成長を左右する「生存戦略」そのものです。
従来の「応募を待つ」スタイルから脱却し、「自ら攻めて獲得する」スタイルへ転換しなければならない理由を解説します。
採用広報は知名度不足を補い優秀層を採用する仕組みになる
知名度が低いスタートアップにとって、能動的な情報発信は「認知の壁」を突破する有効な手段です。
その理由は、求人媒体などの既存プラットフォームが、基本的に「知名度がある企業」に有利な仕組みになっている点にあります。求職者が社名を知らなければ検索されず、数千件の求人情報の中に埋もれてしまうのが実情です。つまり、知られていないことは「存在しない」のと同義だと言えるでしょう。
たとえば、どれだけ革新的な技術を持っていても、それを語らなければ誰にも届きません。しかし、ブログやSNSを通じて「なぜこの事業をやるのか」「どんな技術的課題に挑戦しているのか」を発信すれば、検索やシェアを通じてターゲット層に直接届くようになります。知名度がゼロでも、ストーリーや熱量に共感してもらえれば、優秀層を採用できるチャンスが生まれるのです。
資産に変わるストック型の広報活動が採用コストを削減する
採用広報に取り組むことは、掛け捨てのコストを削減し、永続的な資産を築くことと同義です。
人材紹介エージェントを利用する場合、採用決定時に年収の30〜35%(1人数百万円単位)の手数料が発生します。これは採用のたびに支払いが必要な「フロー型コスト」です。資金調達直後ならまだしも、事業拡大フェーズで数十人を採用する場合、このコストは経営を圧迫しかねません。
一方で、社員インタビュー記事や会社紹介資料などの広報コンテンツは、一度作成すればWeb上に残り続け、24時間365日自社を宣伝してくれる「ストック型資産」になります。
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カルチャーマッチが早期離職を防止する
採用広報には、入社後のミスマッチを未然に防ぎ、定着率を高める効果があります。
スタートアップにおける早期離職の最大の原因は、「思っていた環境と違った」というリアリティショックです。スキルや条件面だけで採用してしまうと、変化の激しい環境や未整備な制度に耐えられず、短期間で辞めてしまうケースが後を絶ちません。
だからこそ、事前に広報を通じて「価値観」や「リアルな社風」を伝えておく必要があります。時には厳しい現実や課題も隠さず発信することで、「それでも挑戦したい」という覚悟を持った人材だけが集まるようになります。フィルタリングとしての機能も果たすため、結果として組織にフィットする人材の採用につながります。
採用広報と採用ブランディング・マーケティングの違い

「採用広報」「採用ブランディング」「採用マーケティング」。これらの言葉の違いに戸惑う方は多いですが、スタートアップの現場においては、学術的な定義を厳密に区別する必要はありません。
あえて整理するならば、それぞれの役割は以下のようになります。
| 項目 |
詳細 |
| 採用ブランディング |
企業のイメージや価値を構築し、「この会社が好きだ」という感情を育てる活動(長期的なファン作り) |
| 採用マーケティング |
認知から応募、採用に至るプロセスを数値で管理し、最適化する活動(仕組み作り) |
| 採用広報 |
上記を含み、社外に向けて情報を発信し、候補者との接点を作る活動全般(具体的なアクション) |
重要なのは、これらが独立しているのではなく、密接に関わり合っているということです。
スタートアップにおいては、「採用広報」という言葉を「自社のファンを作り、応募へと導くための具体的な発信活動全般」と捉えてください。ブランディングやマーケティングは、広報活動を続ける中で自然と強化されていくものです。まずは難しく考えすぎず、アウトプットすることに焦点を当てましょう。
スタートアップのための採用広報戦略の設計手順
「よし、採用広報をやろう」と思い立ったとき、多くの人がいきなりブログを書き始めたり、SNSのアカウントを開設したりします。しかし、これは失敗する典型的なパターンです。誰に何を届けるかが定まっていない発信は、誰の心にも響かず、すぐにネタ切れを起こして頓挫します。
成果を出すためには、執筆前の「設計図」作りが8割を占めます。ここでは、スタートアップが勝てる戦略設計のステップを解説します。
求める人物像の解像度を上げる
最初に行うべきは、ターゲット(ペルソナ)の明確化です。ただし、「20代の優秀なエンジニア」や「経験豊富な営業マン」といった解像度では不十分です。これでは競合他社とターゲットが被り、埋もれてしまいます。
ターゲットの解像度を上げるとは、その人が抱えている不満や、求めている環境、価値観まで深掘りすることです。

たとえば、以下のように具体化します。
| 修正前 |
修正後 |
| Javaでの開発経験がある20代後半のエンジニア |
SIerで働いており、レガシーなシステムの保守運用に飽き飽きしているエンジニア。新しい技術スタック(GoやRustなど)に挑戦したいが、現職では叶わず、技術選定から携われる環境に飢えている人。 |
ここまで具体的になれば、「当社の技術スタックはGo言語で、ゼロからアーキテクチャ設計ができます」というメッセージが、その一人に深く刺さります。万人受けを狙う必要はありません。たった一人の「欲しい人材」に響くメッセージを作ることが、スタートアップ採用の鉄則です。

すべての項目を埋める必要はありません。ですが、このレベルまで詳細を書き出すことで、求職者と面談をしているようなリアリティのある記事を書くことができるようになります。
競合のリサーチと分析で勝ち筋を見つける
ターゲットが決まったら、次は競合の動きをリサーチします。ターゲットとなる人材を奪い合うライバル企業が、どのような発信をしているかを知らなければ、差別化することはできません。
具体的には、採用競合となる3〜5社の採用サイト、Wantedly、note、テックブログなどを徹底的に読み込みます。そして、「彼らが何を言っているか」「何を言っていないか」を探してください。
たとえば、競合他社がこぞって「福利厚生の充実」や「オフィスの綺麗さ」をアピールしているとします。その場合、同じ土俵で勝負しても資金力のある企業には勝てません。逆に、競合があまり触れていない「泥臭い開発現場のリアル」や「創業期のカオスな環境」を押し出すことで、安定よりも挑戦を求める層を取り込むことができます。
競合の空白地帯を見つけることが、弱者の勝ち筋となります。
自社のリアルと課題を武器に変える
スタートアップの採用広報において、綺麗事は逆効果です。「風通しの良い職場です」「成長できる環境です」といったありふれた言葉は、求職者に見透かされます。
むしろ、自社の「未整備な環境」や「困難な課題(ハードシングス)」を、透明性を持って公開してください。これを「課題」と捉えるか、「チャンス」と捉えるかが、採用のフィルターになります。
たとえば、「整った教育制度はありません。その代わり、入社初日から事業責任者として裁量権を持って働けます」と伝えます。安定志向の人は応募を控えますが、自分で道を切り開きたい野心的な人材にとっては、これ以上ない魅力的なオファーとなります。
「不完全であること」を隠すのではなく、最大の武器として提示しましょう。課題を公開することで、その課題を解決したいと願う、覚悟を持った人材が集まります。
採用広報の方針を決定する
ここまでの分析(3C分析)を統合し、採用広報の全体方針を決定します。
- Customer(ターゲット): 誰に届けるのか(例:大企業の歯車でいることに疲れた若手エース)
- Competitor(競合): 他社は何を訴求しているか(例:安定性と高待遇)
- Company(自社): 自社だけが提供できる価値は何か(例:圧倒的な裁量権と、社会課題解決への手触り感)

これらを組み合わせ、「誰に対して、他社にはない自社の何の魅力を、どの媒体で伝えるか」を言語化します。これが固まっていれば、ブログのネタに困ることも、発信内容がブレることもありません。戦略が定まって初めて、具体的な施策へと進むことができます。
リソース不足でも勝てるスタートアップの採用広報施策5選
戦略が固まったら、いよいよ実行フェーズです。しかし、あれもこれもと手を出すとリソースが分散し、どれも中途半端に終わります。
ここでは、時間も予算も限られたスタートアップが優先的に取り組むべき、費用対効果の高い5つの施策を紹介します。これらは単独で行うのではなく、組み合わせることで相乗効果を発揮します。
1. 採用ピッチ資料の公開
採用広報において最も即効性が期待できる施策は、採用ピッチ資料(会社紹介資料)の公開です。この資料は面談時間を短縮し、応募者の質を高める効率的なツールとして機能します。
採用ピッチ資料とは、ビジョン、事業内容、組織図、給与制度などを1つのスライドにまとめたものです。これをSpeakerDeckなどのプラットフォームで公開し、スカウトメールや求人票にURLを記載しましょう。
事前に情報を届けることで、求職者は応募前に企業の詳細を理解でき、面談で「会社説明」をする必要がなくなります。面談の時間を、最初から「互いのマッチング確認」という本質的な対話に使えるようになるのです。
資料作成のポイントは、前の章でも触れた「現在の課題」を1ページ加えることです。「今、エンジニアが足りずに新機能開発が止まっています」と正直に書くことで、その課題を解決したい意欲的な人材からの反応率が高まります。
採用ピッチ資料の作り方は、以下の記事で詳しく解説しています。
採用ピッチ資料の作り方ガイド|構成案・テンプレート・事例を網羅解説
2. オウンドメディア・ブログの運用
次に着手すべきは、noteやWantedlyを活用したブログ発信です。自社でサーバーを立てる必要はなく、既存のプラットフォームを使えばコストはかかりません。
ここで発信すべき鉄板コンテンツは「社員インタビュー」です。スタートアップへの転職を考える人は、事業内容と同じくらい「誰と働くか」を重視しています。「なぜ大企業を辞めてこの会社に来たのか」「今の仕事の何が一番楽しいか」という個人の物語は、求職者の感情を強く揺さぶります。
作成した記事は、採用サイトに載せるだけでなく、エージェントへの共有資料としても使えます。担当者に記事を読んでもらうことで、自社のカルチャーを深く理解してもらえるため、紹介される人材のマッチ度が上がるという副次的な効果も期待できます。
3. SNSを活用した拡散とファン化
ブログ記事やピッチ資料を多くの人に届けるためには、拡散力のあるSNSの活用が欠かせません。特にスタートアップ界隈と親和性が高いX(旧Twitter)や、ビジネス特化のLinkedInが有効です。
ポイントは、企業公式アカウントだけでなく、代表や社員「個人」のアカウントを活用することです。無機質なロゴマークのアカウントよりも、実名で顔が見える個人の発信の方が、圧倒的にエンゲージメントが高くなるからです。
「今日リリースした機能の裏側」「社内勉強会の様子」などを、社員がそれぞれの言葉で発信し、互いにリポストし合う。この熱量の伝播が、周囲を巻き込み、いつの間にか会社のファンを増やしていきます。まずは代表自らが先陣を切り、発信を楽しみながら継続することが重要です。
4. プレスリリース・寄稿による露出最大化
資金調達、新機能リリース、業務提携といった企業の節目は、最大の採用広報チャンスです。単に事実を伝えるだけでなく、「この挑戦のために、新たな仲間が必要です」というメッセージを込めてPR TIMESなどでプレスリリースを配信しましょう。
TechCrunchやBridgeなどのテック系メディアに取り上げられると、感度の高い優秀層への認知が一気に広がります。記事を読んだエンジニアが「面白そうなことをやっている会社だ」と興味を持ち、採用サイトへ流入するケースは非常に多いです。
ニュースがない時期でも、業界のトレンドに関する知見をテックブログや外部メディアへ寄稿することで、専門性をアピールできます。
5. 採用イベント・動画コンテンツで更なるリアリティの提供
テキストや静止画だけでは伝わりにくい「オフィスの空気感」や「社員同士の話し方」を伝えるには、動画やイベントが有効です。
動画といっても、制作会社に数百万円を払って綺麗なプロモーションビデオを作る必要はありません。スマホで撮影したオフィスツアーや、社員がランチを食べている様子を1分程度のショート動画にするだけで十分です。手作り感がある方が、飾らない日常が伝わり親近感が湧きます。
また、Zoomを使ったカジュアルなオンラインミートアップ(説明会)も効果的です。「CTOに技術の話を聞く会」のようにテーマを絞れば、少人数でも密度の濃い接点が持てます。
専任の広報担当者がいない場合の運用体制
「採用広報が重要であることはわかった。しかし、専任者を雇う予算もなければ、今のメンバーも手一杯だ」
これが、多くのスタートアップが直面する壁です。しかし、成功している企業の多くも、最初は兼務や片手間の状態からスタートしています。
重要なのは、一人の担当者に依存するのではなく、「仕組み」で回すことです。ここでは、専任不在でも継続できる、実務的な運用体制の作り方を解説します。
ひとり広報ではなく全員で広報を推進する文化を作る
採用広報を人事や広報だけの仕事にしてはいけません。全社を巻き込んだ「総力戦」の体制を作ることが、リソース不足を解決する確実な近道です。
なぜなら、求職者にとって最も信頼できる情報は、人事の美辞麗句ではなく「現場で働く社員の生の声」だからです。エンジニアの採用ならエンジニアが、営業の採用なら営業が発信する情報こそが、最高の訴求力を持ちます。
具体的には、リファラル採用(社員紹介)と広報活動を連動させましょう。たとえば、Slackなどのチャットツールに「SNS拡散依頼チャンネル」を作成し、記事を公開したらURLを投稿します。社員はそれをワンクリックでシェアするだけ、という状態を作ってください。
社員が自社の魅力を語ることは、採用だけでなく、既存社員のエンゲージメント向上にもつながります。「採用は全員の仕事」という文化を醸成し、全員を広報担当に変えていきましょう。
ネタ切れを防ぐ社内コンテンツの再利用
広報活動が続かない最大の理由は「ネタ切れ」と「執筆工数」です。ゼロから記事を書こうとすると、平気で3〜4時間が溶けてしまいます。これを防ぐために、社内にある既存コンテンツを再利用(リサイクル)する「省エネ運用」を徹底してください。
社内を見渡せば、外部に出せる情報は山ほどあります。
- 社内勉強会の録画やログ → 技術ブログやイベントレポートへ
- 日報や週報での気付き → 社員の成長ストーリーとしてNoteへ
- 全社総会での代表スピーチ → 創業の想いやビジョン記事へ
- Slackの「称賛チャンネル」のやり取り → カルチャー紹介としてX(Twitter)へ
これらは「編集」するだけで立派なコンテンツになります。ゼロから生み出すのではなく、既に落ちている素材を拾い上げ、整えて出す。この意識を持つだけで、工数は劇的に削減できます。
採用広報のネタ探しなら、以下の記事がおすすめです。
採用サイトのコンテンツ13選|新卒・中途別の必須項目と成功事例リスト
スモールスタートで習慣化を優先する
張り切って「毎日ブログ更新」「1日5ツイート」といった高い目標を立てると、3ヶ月も持たずに挫折します。広報活動は、短距離走ではなくマラソンです。まずは絶対に達成できる低いハードルから始めてください。
推奨するペースは、「SNS投稿は週に1回」「ブログ記事は月に1本」程度です。これなら、他の業務と兼務しながらでも無理なく続けられます。
重要なのは頻度よりも「継続」です。半年、1年と続けることで、Web上にコンテンツが蓄積され、それが資産となって効いてきます。習慣化するまでは、クオリティや頻度を追い求めすぎず、止まらないことだけを目標にしましょう。
アウトソーシングを利用する
どうしても社内リソースだけで回らない場合は、外部の運用代行やライターを活用するのも一つの手です。プロの手を借りることで、クオリティを担保しながら立ち上げ期のブーストをかけることができます。
ただし、業者選びには注意が必要です。単に綺麗な文章を書くだけの会社ではなく、綿密なインタビューを通じて「自社の熱量」や「社員の生の声」を汲み取ってくれるパートナーを選んでください。表面的な記事では、スタートアップの魅力は伝わりません。
また、スタートアップは事業の方向性が頻繁に変わります。半年契約や年単位の契約で縛られる会社よりも、状況に合わせて柔軟にプラン変更ができたり、最終的には自社運用(インハウス化)できるよう支援してくれたりする会社を選ぶのが賢明です。外部リソースはあくまで「加速装置」として使い、将来的には自社の言葉で語れる体制を目指しましょう。
採用広報の成果を可視化するKPI設定と効果測定の手順
「採用広報を始めたけれど、成果が出ているのかわからない」
「記事を書いても応募が増えないから、意味がないのではないか」
これは、多くの企業が運用開始から3ヶ月ほどで陥る悩みです。しかし、採用広報は種まきから収穫までに時間がかかる施策です。焦って間違った指標(KPI)を追いかけると、芽が出る前に活動を止めてしまうことになりかねません。
正しい判断をするために、適切な目標設定と効果測定の方法を知っておきましょう。
フェーズごとに追うべき指標(KPI)を変える
採用広報の効果は、階段を登るように現れます。そのため、最初から「応募数」だけを追いかけてはいけません。運用フェーズに合わせて、見るべき指標を柔軟に変えていく必要があります。
具体的なKPI設定例は以下の通りです。
定量データだけでなく定性的な声を拾う
スタートアップの採用広報において、PV数などの「数字」と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「定性的な声」です。
たとえ記事のPVが100しかなくても、そのうちの1人が「この記事を読んで、御社のビジョンに共感し、応募しました」と言ってくれたなら、その広報施策は大成功と言えます。自社に最適な人材と出会うことこそが、スタートアップ採用の本質だからです。
効果測定のためには、カジュアル面談や面接の場で必ずこう聞いてください。
- 「弊社のブログやSNSで、ご覧になったものはありますか?」
- 「その中で、特に印象に残った言葉やエピソードはありましたか?」
候補者から具体的な感想が返ってくれば、そのコンテンツは確実に機能しています。逆に、「見ていません」と言われたら、届ける経路を見直す必要があります。
スタートアップの採用広報に関するよくある質問(FAQ)
最後に、これから採用広報を始めようとするスタートアップの経営者や担当者から、頻繁に寄せられる質問に回答します。不安を解消し、最初の一歩を踏み出すための参考にしてください。
採用広報は企業の資産となり成長を加速させる
ここまで、リソースの限られたスタートアップが取り組むべき採用広報の戦略と具体的な手法について解説してきました。
本記事のポイントを改めて整理します。
採用広報への取り組みは、単に優秀な人材を採用するためだけの活動ではありません。自社の魅力を言語化し、発信し続けるプロセスそのものが、既存社員の会社への愛着(エンゲージメント)を高め、組織文化を強固なものにします。つまり、採用広報は企業の成長エンジンそのものと言えます。
完璧な記事を書こうとする必要はありません。まずは今日、X(Twitter)で自社の魅力を一つだけツイートしてみる、あるいは採用ピッチ資料の構成案をメモ書きしてみる。そんな「小さな一歩」から始めてみてください。その一歩が、未来の最高な仲間との出会いにつながっています。